忙しい管理職、若手メンバーとの「対話の時間」をどう確保する?:仕事が「つまんない」ままでいいの?(128)(1/3 ページ)
「時間がない」と諦めるのは早過ぎるかも。若手との対話は、離職防止、チーム強化、そして多忙な管理職を救う「先行投資」となるかもしれません。
突然ですが……もしもあなたがリーダーや管理職で、チームのメンバーと「毎月1人30分、話をする」ことになったら、どう思いますか?
僕の仕事の一つは、組織作りやコミュニケーションに関する企業研修や講演です。近年は、世代間ギャップに関する講演依頼が増えています。なぜ、講演依頼が増えているのか? それは、「最近の若い世代は何を考えているのかよく分からない」という管理職が増えているからかもしれません。
講演依頼のリクエストは以下が大半です。
- Z世代とはどういう人を指すのか?
- 若い世代の価値観は何か?
- 若い世代との上手な関わり方や成功事例を知りたい
つまり、多くの人が「若い世代の価値観は○○だから、□□のように接しよう」といった「情報」を求めているようです。
一方僕は、そんな情報をいくら知っても、若い世代と良好な関係は築けないのではないか? と思っています。なぜなら、そもそも人は多様な存在であり、考え方も人それぞれだからです。ある世代を丸っとひとくくりにして、「○○世代の価値観はこうだ!」と決めてかかっても、かえってコミュニケーションギャップを広げてしまいます。
相手が何を考えているのかを知りたければ、一人一人と対話をするしかありません。そこで、講演では対話の重要性やそのやり方についてお話ししているのですが、管理職の皆さんからよくこんな質問が届きます。
「対話の重要性はよく分かりました。でも忙しいので、一人一人と対話をしている時間はありません。また、若手メンバーの時間を奪うのも申し訳ないです。この場合、どうすればいいのでしょうか?」
「若手が何を考えているのかよく分からない」「でも、対話する時間はない」では、「分かりようがないではないか」と思うのですが、もし皆さんがリーダーや管理職だったら、どんな選択をされるでしょうか?
「忙しい」が理由で対話をしないと起こるリスク
確かに、管理職は忙しいですよね。自分の仕事もしなければならないし、メンバーの支援もしなければならないし。
でも、もし「若手メンバーが何を考えているのかよく分からない」ことが課題だと思っているのであれば、「忙しい」の一言で片付けないでほしい。なぜならば、対話をしないことによって、若手の「離職のきっかけ」を作ってしまう恐れがあるからです。
以前、ある企業に講演に伺ったときのことです。人事によると、その企業は「若手従業員の離職が問題になっている」そうです。
詳しく伺うと、若手従業員は、「上司が話を聞いてくれない」といって辞めていくそうです。彼らとしては、本当は、仕事の悩みや将来の不安について上司にもっと話を聞いてほしいし、相談に乗ってほしい。けれども、上司は話を聞いてくれない。
仮に話せたとしても、上司はすぐに「俺の時代はなぁ……」と自分の話をしてくる。その結果、「これ以上、上司に言っても無駄だ」と対話をするのを諦めてしまい、退職するケースがままあるのだそうです。
皆さんの周りでも「理由はよく分からないが、若い世代が辞めていく」といったことが起こっていませんか? もしも「○○さんが話を聞いてくれない」「○○さんの下では成長できない」といった理由で若手が離職を選んでいるのだとしたら大きな問題です。また、管理職の評価にも影響を与えることになります。
言い方を変えると、離職に影響を与えるほど「対話が重要だ」ということです。
とはいえ、管理職にとって「忙しい」のも事実でしょう。対話を実践するに当たっての論点は2つです。
- 若手との「対話する時間」をどう確保するか?
- 若手は、管理職と対話をすることをどう思っているのか?
この2つの論点についてお話ししていきます。
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