[プロダクトレビュー]
CORBA基盤のeプラットフォーム
iPortal Application Server 1.3
2.iPAS 1.3の詳細な機能 |
現在、iPASはバージョン1.3がリリースされています。以下に、より詳細なiPASの機能について見ていきます。
iPASの実行環境 |
■完全なJ2EE対応
いまやアプリケーションサーバ製品の必須要件となっているJ2EE 1.2の互換性テストにパスし、J2EE APIのすべてに対応しています。具体的にはServlet、JSPをはじめとしてJNDI、JDBC、JTA、JMSなどに関して最新のバージョンをサポートしています。
■POAに基づく可用性とスケーラビリティ
前述のPOAアーキテクチャに基づき、ダイナミックで効率的なEJBオブジェクト管理とプーリングを行います。コンテナ稼働中にBeanの移動・再配置が可能な「ホット・デプロイ」機能も、POAを利用して実現されます。
■調整可能なスレッドプールモデルを採用したマルチスレッド
完全なマルチスレッドに対応し、スレッドプールモデルを採用しています。初期スレッド数、最大スレッド数などは実行時コンフィグレーションにより調整可能です。
■サーバサイドコネクションマネージメント
ARTで共通に採用されているActive Connection Management技術により、確立済みのコネクションをLRUベースで切断し、コネクション数を一定値以内に制御します。これは主にJSPエンジンやサーブレットエンジンなどからEJBサーバに確立するコネクション数をサーバ側で制限するのに役立ちます。上限値は実行時に設定可能です。
■Merant JDBCドライバによる幅広いDBサポートとコネクションプーリング
iPASには、JDBCドライバとして最高の評価を与えられているMerant社のSequeLinkをバンドルしています。これによりタイプ3ドライバのもたらす高い保守性と幅広いDBサポートの両立が期待でき、さらにDBへのコネクションプーリングも実現します。
開発・デプロイのサポート |
■GUIによるBeanの連携・アセンブリ・検証・デプロイ
Graphical Application Builder(図3)により、Beanのアーカイブ構成の変更、DD(Deployment
Descriptors)の表示・設定、外部参照の解決などを行います。DDの設定ではBeanのセキュリティロール、トランザクションモードなどの指定を行うことができます。また、作成されたEnterprise
Applicationのデプロイを行う前にDDの検証を行い、実際にデプロイを行うWizard形式のGUIも提供し(図4)、デプロイヤのサポートを行います。
図3 Graphical Application Builder |
図4 アプリケーションの検証・デプロイを行うWizard |
■Cloudscape DBの同梱による単体での検証
インストールセット中にInformix社のCloudscape とそれに対応したJDBCドライバをバンドルしています。この軽量DBにより、商用DBを別途セットアップしなくとも、JDBCやJTAの機能を開発、検証できるようになっています。
運用管理 |
■JMXインターフェイス
比較的新しい仕様であるJava Management Extension(JMX)のサポートにより、EJBコンテナの運用管理をAPI経由で行うことが可能になっています。
■iPortal Administrator Console からの運用管理
iPortal Administrator Console(iPAC) GUIにより、サーバおよびコンテナの状態モニタ、停止、Beanの環境確認、パッシベーションタイムアウトなどの運用管理作業がダイナミックに行えます。
先進的な金融サービスプロバイダの システム統合とBtoB・BtoC |
ここで、実際のケーススタディを見てみましょう。スイスのWinterthurは、クレディ・スイスグループの金融サービスプロバイダであり、基本的な損害保険・自動車保険などの組み合わせからなるさまざまな金融商品を提供しています。また顧客も、ほかの金融機関から投資家、代理店など多岐にわたります。
ほかの例にもれずWinterthurでも、サービスをWebで提供したいというニーズは高かったわけですが、彼らの基本商品のサービスデータとロジックはすでに、メインフレーム・UNIXを含む大規模なシステムとして存在していました。これを外側から利用して、複合した金融商品を構成し、さらにその取引をWebを通じて呼び出せるようにしなければなりません。
また、顧客ごとに基本商品の組み合わせを微妙に変える必要があり、その組み合わせも、時々の状況に応じ頻繁に変更がかかります。
従って、既存のシステムと可能な限りシームレスに接続してWebまでの仲介を果たす環境、およびサービスの組み合わせロジックのための柔軟で生産性の高い開発環境の両方が求められていました。Winterthurでは、この両方を満たす環境をe-Platformという名前で自社にて構築する戦略を立案しました。e-Platform を実現するのに最も適しているのは、やはりJ2EEということになりました。
上のような要件を満たす可能性のあるアプリケーションサーバとして、4つの製品が検討されましたが、標準のシステム接続技術の装備、スケーラビリティなどの観点で高い評価を得たiPASが最終的に選択され、WinterthurはiPAS上のEJBとして、複雑な金融商品を迅速に提供するロジックを構築しました(図5)。
図5 Winterthurのe-Platformを実現するシステム構成 |
e-Platform はBtoB(パートナー向け)とBtoCを同時に実現するシステムであり、高い信頼性が要求されますが、iPASはその要求にこたえています。また、Webサイトに当然求められるX.509証明書ベースの認証・SSLなどのセキュリティも確保しています。
e-Platformにより、WinterthurはOMG Application Award 2000における既存システムの再利用、および再利用可能なコンポーネント技術の構築に関連する部門で、最優秀賞を受賞しています。
iPASの今後 |
■SOAPプラグインほかのWebサービスサポート
IONAでは既存コンポーネントをWebサービスとしてラッピングするためのミドルウェア製品「iPortal XMLBus」のリリースを今年上半期に予定しています。XMLBusでは前述したSOAPプラグインのほかに、Webサービスを実現するためのWSDL作成サポート、UDDIレジストリ機能などが考えられていますが、これらの機能をiPASの将来のバージョンと統合することで、J2EEアプリケーションサーバが同時にWebサービスとして見えるようになります。
■開発環境にForte for Java を採用
本年2月に、IONAとSun Microsystems の間で、Javaの開発・実行環境に関する戦略的提携が交わされました。最も重要なのは、その中でSunの提供するJava開発環境であるForte
for Java(Community Edition)が、iPASと統合された形でIONAから提供されるということです。Forte for
Javaはプラグインにより他製品との密接な連携が可能な構成となっており、IONAはこれを活用してEJBの開発〜検証〜デプロイ〜実行をシームレスに行う統合環境を提供するということになりました。開発者の方にとって、さらに使いやすい環境をまとめて提供できるようになります。
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