
Linuxで動く便利ツール
Windowsアプリをそのまま実行
「Wine」
北浦 訓行
2008/11/20
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概要
Wineは、Windows用のアプリケーションソフトウェアをLinux上で動作させるためのソフトウェアです。
Linux上でWindowsアプリを動作させるというと、昨今流行しているエミュレータを想像しがちですが、Wineという名称が「"Wine" Is Not an Emulator」から来ているように、WineはXenやVMware、Hyper-Vなどのエミュレータとは違います。Wineは、WindowsのAPI(Application Programming Interface)やカーネルプロセスなどをLinux上で再現することによって、LinuxでWindowsアプリケーションを実行する仕組みになっているのです。
Wineの歴史は古く、プロジェクトの開始は1993年にまでさかのぼりますが、2008年6月にバージョン1.0が公開されました。ただ、1.0がリリースされたからといって開発スピードが低下しているわけではありません。原稿執筆時点での最新版は、バージョン1.1.8となっています。
Wineのインストール
Wineは多くのディストリビューションでパッケージが公開されています。そのため、例えばFedoraやCentOSなどでは、yumコマンドで簡単にインストールすることができます。
# yum install wine |
インストールが完了すると、[アプリケーション]メニューに[Wine]という項目が追加されます。
ソースファイルからインストールする場合は、WineのWebサイトからtarボール(原稿執筆時点での最新版はwine-1.1.8.tar.bz2)をダウンロードして、以下の手順を実行します。
$ tar jxf wine-1.1.8.tar.bz2 |
wininstallは、configureやmakeなどを自動的に実行してくれるシェルスクリプトです。途中で、コンパイル後にインストールするかどうかを尋ねるメッセージが表示されます。インストールする場合は、「yes」と入力して[Enter]キーを押します。その場合、インストール前にrootのパスワードを入力しなければなりません。
ただし、試した限りでは、Fedora 9ではコンパイル中にエラーが発生するため、tarボールからのインストールはできないようです。Fedoraではyumでパッケージをインストールしてください。
Wineの設定変更
Wineの設定は、GUIの[Wine設定]ダイアログボックス(winecfg)で行います。[アプリケーション]メニューの[Wine]-[Wine Configuration]を選択してください。
![]() |
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画面1 [Wine設定]ダイアログボックス | 画面2 [Wine設定]ダイアログボックスの[デスクトップ統合]パネル |
変更すべき項目はフォントの設定です。多くのWindowsアプリケーションは、インストール時やプログラム実行時に日本語で表示を行いますが、フォント設定の関係でメッセージが正常に表示されないことが多いのです。
[Wine設定]ダイアログボックスでフォントの設定を変更する場合、[デスクトップ統合]タブをクリックします。
ダイアログボックスをよく見ると、一部が文字化けしています。[項目]というリストボックスで変更する項目を選択します。ここでは、暫定的に変更可能な項目をすべて[VLゴシック]にしておきます。フォントが変更可能な項目は、以下のとおりです。
- アクティブタイトルのテキスト
- ヒントのテキスト
- メッセージボックスのテキスト
- メニューのテキスト
フォントを変更するには、上記の項目を選択して[フォント]ボタンをクリックします。すると、[フォントの指定]ダイアログボックスが表示されます。
![]() |
画面3 [フォントの指定]ダイアログボックス |
[フォント名]を[VLゴシック]に、[サイズ]を[10]にして[OK]ボタンをクリックします。上記の4項目をすべて変更してください。変更したら[OK]ボタンをクリックして、[Wine設定]ダイアログボックスを閉じます。
Windowsアプリケーションのインストールと実行
Windowsアプリケーションのインストールは、Nautilusから実行できます。インストールプログラムをダブルクリックするか、インストールプログラムを右クリックして、メニューから["Wine Windows Program Loader"で開く]を選択します。すると、アプリケーションのインストールプログラムが実行されます。
![]() |
画面4 Nautilusからのインストーラ実行 |
コンソールまたはターミナルエミュレータでインストールプログラムを実行する場合、インストーラが.exeファイルか.msiファイルかによって、コマンドが異なります。.exeファイルの場合は、
$ wine EXEファイル名 |
とします。.msiファイルの場合は、以下のようにしてください。
$ msiexec MSIファイル名 |
Windowsアプリケーションの実行は、インストーラの実行と同じです。.exeの場合は、Nautilusで該当するファイルをダブルクリックするか、右クリックして["Wine Windows Program Loader"で開く]を選択します。
また、多くのアプリケーションは、[アプリケーション]メニューの[Wine]-[Programs]の下に起動用のメニュー項目(アイコン)が作成されます。この項目を選択すると、Windowsアプリケーションが起動します。
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画面5 [アプリケーション]メニューの[Wine]-[Programs] |
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