リッチなユーザーインターフェイスを体験
β版で試すMoblin
Moblinは、Linuxをベースにしたネットブックやモバイルインターネットデバイス向けのプラットフォームです。手元の環境でMoblinを試してみる方法を紹介します。(編集部) |
K.I.マヘーシ
2009/7/17
多様化するモバイル向けプラットフォーム
モバイル向けのプラットフォームとしては、Windows Mobile、Symbian OS、BlackBerry OSなどがありますが、近ごろはLinuxベースのOSも急速に増えてきました。
具体的なモバイルLinuxとしては、「Moblin」(米Intel→The Linux Foundation)、「Android」とネットブックを対象とした「Chrome OS」(Google)、「LiMo」(LiMo Foundation)、「Maemo」(フィンランド・Nokia)などが注目を浴びています。また英Canonicalの支援を受けるUbuntu Mobile and Embedded communityは、オープンなプラットフォームであるMoblinと連携しながら、モバイルインターネットデバイス(MID)向けのLinuxディストリビューションを「Ubuntu MID Edition」として提供しています。
この記事では、この中からMoblinを取り上げ、その特徴とUSB/CD Live Imageからの導入方法を紹介します。
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Moblinとはどんなもの?
Moblinは次世代モバイルを対象とした、オープンソースのLinuxディストリビューションです。主にIntel Atomプロセッサ搭載ハードウェアに対応しています。
Moblinは、小型ノートPC(いわゆるネットブック)やモバイルインターネットデバイス(MID)で動作するように設計されていますが、それらと同様な仕様を備えるノートPCでも動作します。
当初は、米IntelがMoblin開発プロジェクトを運営していました。しかしMoblin開発プロジェクトは、2009年4月から米The Linux Foundationに移管され、多数の開発者からより多くの支持を得られるようになりました。
Moblinは、USB Live ImageまたはCD Live Image(HDDのOSに変更を加えません)からのブートが可能です。もちろん、ハードディスクにMoblinをインストールすることも可能です。Moblin v2.0のパッケージフォーマットとしてはRPMが採用されており、RPMパッケージのインストールも可能となっています。
MIDやネットブックをターゲットとしたほかのLinuxディストリビューションと比較すると、Moblinは、CPU(Intel Atomなど)の性能を最大限に活用し、そのうえ、適切な電源管理により長時間の駆動や高速起動を実現しているといえます。
また、ユーザーインターフェイスツールキットとして「Clutter」を採用することにより、リッチな外観および高速なアニメーションを実現しています。起動後に表示される「M-Zone」という画面には、カレンダー、タスクリスト、最近アクセスしたWebサイト、よく使用するアプリケーション、SNSサイトからの最新のメッセージなどを1つの画面に表示し、利用できるように最適化されています。
またMoblinは、Moblin用のアプリケーションはもちろん、将来的にはAndroid用のアプリケーションも実行できる機能を含む方向で開発が進んでいます。
Moblinアーキテクチャの特徴
Moblinアーキテクチャは、ネットブックからモバイルインターネットデバイス(MID)まで、幅広い多数のプラットフォームをサポートするように設計されています。1つの利用モデルとして、車両infotainment(情報+娯楽番組)システムへの組み込みが挙げられます。
関連リンク: | |
http://moblin.org/vehicle-infotainment-ivi |
Moblinアーキテクチャの中核を、「Moblinコア」と呼びます。Moblinコアの下には、Linuxカーネルと特定のハードウェアプラットフォーム向けのデバイスドライバがあります。一方Moblinコアの上には、特定のユーザーインターフェイスおよびターゲットのデバイス向けの、ユーザー相互作用モデルがあります。
図1 Moblinアーキテクチャの略図 |
Moblinコアは、多数のオープンソースライブラリおよびアプリケーションサービスを提供しています。Moblinコアに含まれるいくつかの機能は、下記のとおりです。それぞれの機能によって、ユーザーには以下のようなメリットが提供されます。
- 電源管理 :長時間の使用および節電が可能になります。
- 高速起動 :起動後すぐに各種アプリケーションを使用可能な状態になります。
- ネットワーク接続管理サブシステム :Wi-Fi、イーサネット、3G、WiMAXなどを1カ所で管理可能になります。
- ジオベース(位置情報)サービス :現在位置周辺の情報を取得可能なサービスを受けられるようになります。
- 電話通信 :ハンズフリー(ボイスダイヤリングなど)が可能になります。
- 最新の3Dベースのユーザーインターフェイスツールキット :ツールバーやパネルにより、ユーザーインターフェイスが体験できます。
- マルチメディア管理ライブラリ :USBやローカルネットワークの音楽、動画、イメージを自動検索し、再生可能です。
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