元麻布春男の視点統合型プロセッサの損得勘定 |
米国時間の4月9日、Intelは動作クロック850MHzのデスクトップPC向けCeleronを発表した。100MHzのFSBをサポートしたCeleronとしては、800MHz版に続き2番目ということになるが、以前に比べてCeleronに対する注目度が下がっているような気がするのは筆者だけだろうか。
Pentium IIIの低価格化がCeleronの影を薄くする
Celeronに対する注目度が下がっているように思う最大の理由は、上位製品であるPentium IIIの低価格化だ。現在、インテルのデスクトップPC向けプロセッサのラインアップは、上位からPentium 4、Pentium III、Celeronの3製品で構成されている。インテルは、Pentium 4をメインストリームまで引きおろすべく、積極的な価格の引き下げを行っている(2001年4月末にも、従来の半額になるほどの大幅な引き下げを予定しているという)。その結果、Pentium IIIの価格も引き下げられており、Pentium IIIの価格とCeleronの価格には、かつてほどの差がなくなってしまった。価格差が小さければPentium IIIを買おうという消費者は増えるだろうし、インテルにしても少しでも価格が高い方を売りたいに違いない。結果、Celeronはどうも影が薄くなっているような気がしてならないのである。
Pentium 4
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1.50GHz
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519ドル
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1.40GHz
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375ドル
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1.30GHz
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268ドル
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Pentium III
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1GHz
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225ドル
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933MHz
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193ドル
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866MHz
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163ドル
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Celeron
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850MHz
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163ドル
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138ドル
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800MHz
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163ドル
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93ドル
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766MHz
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−
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79ドル
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750MHz
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153ドル
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−
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733MHz
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153ドル
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76ドル
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700MHz
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143ドル
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73ドル
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667MHz
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69ドル
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インテルのデスクトップPC向けプロセッサの価格(2001年4月15日付) | |||
2001年4月15日改定された1000個ロット時のプロセッサ1個の価格。Pentium IIIとCeleronの価格差は、同じ動作クロックで約30〜70ドルと、以前と比べてそれほど大きくはない。4月末にさらにPentium 4が値下げされるとうわさされており、そうなるとPentium 4とPentium IIIの差は大幅に縮まるか、場合によっては逆転することもあり得る。 |
この状況を見て筆者が思うのは、キャンセルの憂き目に遭った開発コード名「Timna(ティムナ)」のことだ。Timnaは、P6コアにノースブリッジとグラフィックス機能を統合したもので、600ドル以下のローエンドPC向けのプロセッサとして企画されていた(インテルは絶対に「ローエンド」という言葉を用いず、バリューPCと呼ぶ)。が、メモリ・コントローラのネイティブ・インターフェイスがDirect Rambusチャネルだったこと、そこに接続するDirect RDRAMの価格がバリューPCに使えるほど低下する見込みが立たなかったこと、Direct RambusチャネルにSDRAMを接続するための変換チップの開発がうまくいかなかったこと、などの理由から結局キャンセルされてしまった。もし、Celeronの後継としてTimnaがあれば、メモリ・インターフェイスの問題は別にして、上からPentium 4、Pentium III、Timnaと見事にすみ分けたのではないかという気がしてならない。
VIAが企画中の統合型プロセッサ
同じことを考えたわけではないだろうが、VIA Technologiesもプロセッサ・コアにメモリ・コントローラとグラフィックス機能を統合した製品を企画している。「Matthew(マシュー)」という開発コード名で呼ばれるこの製品は、もちろんキャンセルになることもなく、順調に開発が進められているようだ。
Matthewは、VIA TechnologiesがIDTから買収したCentaur Technologyの技術をベースにしたSamuel 2(開発コード名:サミュエル2)のプロセッサ・コアに、Apollo Pro266相当のメモリ・コントローラ機能と、ProSavage PM133相当のグラフィックス機能を統合したものだ。Samuel 2は、現在市販されているCyrix IIIに用いられているSamuelコアを、0.15μmプロセス製造にすることでシュリンクし、より高い動作クロックを実現すると同時に、64Kbytesの2次キャッシュを統合したプロセッサ・コアだ。PGA370ソケット(Pentium III/Celeron)互換の単体プロセッサとして「VIA C3」という名称で市販されるのに加え、Matthewにも採用される(VIA C3に関しては、「ニュース解説:VIA C3はCeleronの対抗になれるのか」を参照のこと)。つまりMatthewも0.15μmプロセスによる製品ということになる。
WinHECで公開したMatthewの試作機 |
WinHECで公開されたMatthewの試作機。ファン付きのヒートシンクが取り付けられているのがMatthew。一般的なマザーボードでAGPスロットに相当する位置に、ACRスロット(オーディオとネットワークなどのコミュニケーション用の拡張スロット)が用意されている。サウスブリッジ・チップにはPCIバス接続のVT8231が使われており、V-Linkを採用したApollo Pro266とはこの点で異なる。 |
Matthewの性能については、まだ具体的に明らかにされていないものの、Matthewを構成する各コンポーネントの性能から、ある程度の推測は可能だろう。Samuel 2を用いたVIA C3のセールス・ポイントは、「Celeron並みの性能を、Celeronより低い消費電力と価格で」というもの。ただし、Samuelコアの例からいって、浮動小数点演算性能はCeleronをかなり下回るものと思われる。ただ、組み合わされるメモリ・コントローラがApollo Pro266相当だということは、メモリにDDR SDRAMを使用可能ということ(実際にどんなメモリが使われるかは価格次第だろうが)であり、この点でも性能の向上が期待される。
ProSavage PM133のグラフィックスは、一般にS3のSavage 4相当の3Dグラフィックスに、Savage 2000相当の2Dグラフィックスを組み合わせたものといわれる。なぜSavage 4の2Dグラフィックスを使わないかだが、もともと外部メモリ・インターフェイスが64bit幅であったSavage 4の2Dグラフィックスは、内部128bitといいながらも、一部で64bitのオペレーションがあったらしい。外部128bitのSavage 2000では、内部オペレーションが完全に128bit化されている、という話を2001年春のWinHECでVIA Technologiesの技術者から聞いた(ほかにもおそらくバグフィックスがあるのだろう)。組み合わせるメモリ次第だが、DDR SDRAMが使えるようだと、Matthewのグラフィックス性能はPC133メモリベースのProSavage PM133を大きく凌ぐことができるだろう。蛇足になるが、そのときのVIA Technologiesの技術者によると、Apollo Pro133A(VT82C694X)やApollo Pro266は、ハードウェア的には最大4プロセッサまでサポート可能とのこと。ただ、メモリの帯域などの面で十分な性能が出ないため、そのような構成のマザーボード・デザインを行うベンダがいない、ということであった。
2チップへの集約はどの組み合わせが得なのか
TimnaやMatthewのように、プロセッサ・コアとノースブリッジ(メモリ・コントローラおよびグラフィックス機能)を統合する方向に対し、ノースブリッジとサウスブリッジを統合する方向性を打ち出しているのがSiSだ。同社のPentium III/Celeron向けのSiS63xファミリ、およびAthlon/Duron向けのSiS73xファミリの各チップセットは、プロセッサこそ別になっているものの、ノースブリッジとサウスブリッジが一体になっている。
いずれの方式にせよ、一般的なPCでは、プロセッサ、ノースブリッジ、サウスブリッジの3チップで構成される機能を、2チップに集約しているという点では同じだ。おそらく、プロセッサとノースブリッジを統合する方が性能的な最適化を行いやすく、また半導体プロセスと必ずしも性能向上のペースが同じではないI/Oを分離できる、というメリットも考えられる。半面、プロセッサを別にした方が組み合わせるプロセッサにより、1種類のマザーボードで異なる価格セグメント向けのPCを構成できる、という利点があり、一概にどちらが絶対的に優れているとはいえない面がある。
関連記事 | |
VIA C3はCeleronの対抗になれるのか |
関連リンク | |
VIA C3の製品情報ページ | |
ProSavage PM133の製品情報ページ | |
Apollo Pro133Aの製品情報ページ | |
Apollo Pro266の製品情報ページ | |
SiS63xファミリの製品情報ページ | |
SiS73xファミリの製品情報ページ |
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「元麻布春男の視点」 |
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