[Network] | ||
IPアドレスの詳細情報を得るには(Windows 2000/NT 4.0編) |
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デジタルアドバンテージ 2000/08/23 |
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ネットワークに関するトラブルの解消は、管理者にとって厄介な仕事の1つである。PCやサーバ、LAN/WANといった経路など、さまざまな要素が絡み合っているネットワーク環境では、トラブルの原因がどこにあるのか特定するのが難しいからだ。ケーブルの断線やネットワーク インターフェイスの故障といったハードウェアの障害か、それともソフトウェアの問題なのか、ネットワーク トラブルの原因となるものにはキリがない。
すみやかにネットワーク トラブルを解消するには、障害が生じている個所を素早く探し出すことが重要だ。そこで役立つのがネットワークの状態をチェックするツール プログラムである。ネットワーク機能を標準装備しているOSには、ネットワークの状態を調べるツールもまた標準で含まれている。その使い方は各OSによって異なるし、また調べる事柄によってツールを選ぶ必要もあるので、ネットワーク管理者はトラブルに備えて、普段から各ツールの使い方などを熟知しておくとよい。
ipconfigコマンドでIPアドレス関連情報を得る
さて、Windows NT 4.0/2000にも、ネットワークの状態を調べるツールが標準でいくつか用意されている。IPアドレスの割り当てなどの情報を参照・設定できるのが、ここで紹介するipconfigというツールである。ipconfigを利用すると、IPアドレスやDNSサーバ、デフォルト ゲートウェイなどTCP/IP関連の情報を表示しできるほか、DHCPクライアントならIPアドレスの解放や更新も可能だ。
ipconfigは、コマンド プロンプトからオプションなどを指定して実行するコマンドの一種であり、GUIは備えていない。プログラムの実体は%windir%\SYSTEM32\IPCONFIG.EXEである。以下にipconfigの実行方法とオプションを記す。
ipconfigのオプション | |
ipconfig [/? | /all | /release [アダプタ名] | /renew [アダプタ名] | /displaydns | /flushdns | /registerdns | /showclassid アダプタ名 | /setclassid アダプタ名 [ID値] ] | |
オプション | 動作 |
(オプション指定なし) | IPアドレスやサブネット マスクなど基本的な情報のみ表示する。 |
/? | オプションとその使い方を表示する。 |
/all | IPアドレスに関する詳細な情報を表示する。 |
/release [アダプタ名] | DHCPで割り当てられたIPアドレスを解放する。アダプタを指定できる。 |
/renew [アダプタ名] | DHCPで割り当てられたIPアドレスを更新する。アダプタを指定できる。 |
/displaydns | DNSによる名前解決キャッシュの内容を表示する。 |
/flushdns | DNSによる名前解決キャッシュの内容をクリアする。 |
/registerdns | DHCPで割り当てられたIPアドレスを更新し、DNSサーバへ名前を再登録する。 |
/showclassid アダプタ名 | DHCPのクラスIDを表示する。アダプタを指定する必要がある。 |
/setclassid アダプタ名 [ID値] | DHCPのクラスIDを設定する。アダプタとクラスIDを指定する必要がある。 |
ipconfigの実行方法 |
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上記のオプションのうち、Windows NT 4.0で使えるのは/allと/release、/renew、/?の4種類だけである。残りはWindows 2000だけで使用できる。 |
上記にある「アダプタ名」とは、ネットワーク カードやダイヤルアップ接続ごとに付けられた名称である。たとえばLANカードの場合、Windows 2000ならアダプタ名はデフォルトで「ローカル エリア接続」である。また、Windows NT 4.0では「E100B1」といったデバイス名が割り当てられる。
たとえば、「ローカル エリア接続」というアダプタで、DHCPにより得たIPアドレスを解放するには、
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と入力・実行すればよい。IPアドレスのリースを更新するなら、
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と入力・実行する。なお、Windows 2000ではアダプタ名を自由に変更できるので、正確なアダプタ名は後述のようにipconfigの実行結果から確認する必要がある。
ipconfigによるIPアドレス等の参照方法
ipconfigをオプションなしで実行すると、IPアドレスとサブネット マスク、デフォルト ゲートウェイなど、わずかな情報しか表示されない。そこで、
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というように/allオプションを指定すれば、以下のように、より詳細なIPアドレス関連情報が得られる。
上記はLAN接続とダイヤルアップ接続の両方が有効な状態で、ipconfig /allをWindows 2000 Professionalで実行した例だ。このようにipconfigは、まず各アダプタ共有の情報を表示し、続いて各ネットワーク アダプタ固有の情報を表示する。このPCの場合、ネットワーク アダプタとして、「ローカル エリア接続」というイーサネット カードと、「IIJ4U (V.90)」というダイヤルアップ接続がそれぞれ1つずつ有効である(正確なアダプタ名は、このようにして確認できる)。なお、ダイヤルアップ接続については、ISPへ未接続の状態ではipconfigでまったく表示されないので注意が必要だ。
ipconfig /allで表示される各項目の意味は、以下のとおりである。
項目 | 意味 |
Host Name | TCP/IPのホスト名。 |
Primary DNS Suffix | 最優先で用いられるDNSサフィックス。ホスト名と合わせてFQDN(Fully Qualified Domain Name)を表現するのに用いられる。 |
Node Type | マシン名(NetBIOS名)からIPアドレスを導く名前解決の方法を表す。Node Typeは4種類(下記の別表を参照)あり、特に指定がなければ、「Hybrid」が選択される。 |
NetBIOS Scope ID | NetBIOSにおけるスコープID。通常は空欄である。 |
IP Routing Enabled | 複数のネットワーク アダプタ間でIPパケットがルーティングされるか否かを表す。 |
WINS Proxy Enabled | WINSプロキシ機能が有効か否かを表す。たいていは「Disable」。 |
DNS Suffix Search List | DNSサフィックスの候補一覧。ホスト名からIPアドレスを導く際、このリストから順番にサフィックスが選ばれ、FQDNが生成される。 |
NetBIOS Resolution Uses DNS | マシン名(NetBIOS名)からIPアドレスを導くのに、DNSを利用するか否かを表す。 |
Connection-specific DNS Suffix | ネットワーク アダプタごとに設定されているDNSサフィックス。 |
Description | ネットワーク アダプタの説明。LANカードの場合は一般的に製品名を表す文字列が表示される。 |
Physical Address | ネットワーク アダプタのMACアドレス。 |
DHCP Enabled | DHCPサーバからIPアドレスのリースを受けるよう設定されているか否かを表す。 |
Autoconfiguration Enabled | APIPA(Automatic Private IP Addressing)によるIPアドレスの自動設定が有効か否かを表す。 |
IP Address | 当該ネットワーク アダプタに割り当てられているIPアドレス。 |
Autoconfiguration IP Address | APIPAにより、当該ネットワーク アダプタに割り当てられたIPアドレス。 |
Subnet Mask | サブネット マスク。 |
Default Gateway | デフォルト ゲートウェイのIPアドレス。 |
DHCP Server | IPアドレスのリースを受けたDHCPサーバのIPアドレス。 |
DNS Servers | DNSサーバのIPアドレス。複数の場合は、先頭がプライマリDNSサーバ、2番目がセカンダリDNSサーバを意味する。 |
Primary WINS Server | プライマリWINSサーバのIPアドレス。 |
Secondary WINS Server | セカンダリWINSサーバのIPアドレス。 |
Lease Obtained | DHCPサーバからのIPアドレスのリースが開始された時間。 |
Lease Expires | DHCPサーバからのIPアドレスのリースが終了する時間。 |
NetBIOS over Tcpip | NBT(NetBIOS over TCP/IP)が有効か否かを表す。 |
ipconfig /allの表示内容とその意味 |
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上記の項目は、Windows NT 4.0/2000のどちらかでしか表示されないものも含む。また無効と設定されている場合は、まったく表示されない項目もある。 |
名称 | 動作 |
Broadcast | IPのブロードキャストで名前解決を図る。 |
Peer-Peer | NetBIOS用のネームサーバを利用して名前解決を図る。 |
Mixed | 最初にブロードキャストを試し、失敗したらネーム サーバを利用する。 |
Hybrid | 最初にネーム サーバを利用し、失敗したらブロードキャストを試す。 |
名前解決の方法を決めるNode Typeの種類 |
ipconfig /allの情報からトラブルの原因を解明する
ipconfig /allの実行結果からは、ネットワーク トラブルの解決に役立つさまざまな情報が得られる。特にDHCPによるIPアドレスのリースに関するトラブル解消には有効だ。以下、ipconfig /allで得られる情報から推測できるトラブル例などを紹介しよう。
■IPアドレスが169.254.x.xになっている
これはWindows 98/2000でDHCPによるIPのリースが失敗した際に現れる現象である。このIPアドレスは、APIPA(Automatic Private IP Addressing:ローカルなIPアドレスの自動割り当て)という機能により設定されたものだ。自動といっても、設定されるのはIPアドレスとサブネット マスクのみであり、そのほかは手動設定されていない限り正しく割り当てられない。一見するとIPアドレスが割り当てられており、正常な状態に見えても、実際にはデフォルト ゲートウェイや各種サーバなどがまったく利用できない。
APIPAによりIPアドレスが割り当てられた場合、ipconfigは「Autoconfiguration IP Address」という項目にIPアドレス(169.254.x.x)を表示する。その場合は、DHCPによるIPアドレスの割り当て失敗を疑ってみる必要がある。APIPAを無効にする方法については、「PC TIPS:IPアドレスの自動設定機能(APIPA)を無効にするには(Windows 2000編)」を参照していただきたい。
■IPアドレスが0.0.0.0になっている
DHCPにより割り当てられたIPアドレスを、ipconfig /releaseを実行するなどして解放すると、IPアドレスの表示は0.0.0.0になる。また前述のAPIPAが無効の場合、DHCPサーバからのIPアドレスのリースに失敗すると、割り当てるべきIPアドレスがないため、やはり0.0.0.0となる。
■各種サーバのIPアドレスが正しくない
DHCPによりIPアドレス自体は正しくリースされているのに、DNSサーバやWINSサーバのIPアドレスが表示されなかったり、0.0.0.0だったりする場合は、DHCPサーバの構成が正しくないことが考えられる。DHCPサーバからは、そのPC(正確にはネットワーク アダプタ)に割り当てるIPアドレスと一緒に、デフォルト ゲートウェイや各種サーバのIPアドレス、サブネット マスクなどが配布される。したがってDHCPサーバの設定に問題があると、正しいサーバのIPアドレスが配布されないことがある。
このトラブルについては、DHCPサーバの管理者に相談して解決を図ることになるが、その前に、TCP/IPの設定項目のうち手動で設定されている部分がおかしくないか確認しておきたい。手動設定の部分は、DHCPで配布された情報より優先して設定される。つまり手動で設定したサーバのIPアドレスが間違っている可能性も考えられるのだ。
なおWINSサーバについては、ネットワークの構成や環境によっては必要とされないこともある。したがって、WINSサーバのIPアドレスが得られなくても、一概に間違っているとはいえない。
■MACアドレスを得る
ipconfig /allを実行すると、各ネットワーク アダプタのMACアドレスが表示される(ipconfigでは「Physical Address」と表現される)。DHCPサーバでIPアドレスを予約するときや、パケット モニタでネットワークを監視してトラブルを解消する際など、管理者にとってMACアドレスの値を必要とする場面は意外に多い。PCやネットワークの管理者なら、Windows NT 4.0/2000の環境ではipconfig /allでMACアドレスの値が得られる、ということを憶えておいた方がよい。
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