RFID+ICブックレビュー

非接触ICカードの専門知識を磨く3冊


岡田 大助
@IT編集部
2007年12月12日

 日常生活において、非接触ICカードの恩恵を受けることが多くなってきた。しかし、どのような原理でそれが動いているのかということまで考えたことがあるだろうか。

 おそらく、そこまで考えながら身の回りにあるさまざまな機械を操作する方は少ないだろう。照明のスイッチを入れれば光る、TVのリモコンを押せばチャンネルが変わる。これらと同様に、非接触ICカードをかざせば何らかの処理が行われ、快適なサービスが受けられる。1ユーザーであればそれで十分だと思う。

 しかし、ある技術を使ってシステムを構築したり、サービスを提供したりしようと思うならば、そのメカニズムを学ぶ必要がある。非接触ICカードの技術そのものは19世紀の学問を基にしているが、その応用範囲は、電気や電磁気、通信技術やセキュリティまで多岐に渡る。

 今回は、非接触ICカードの基礎知識を押さえるだけでなく、ICカードに関連するセキュリティ技術やモバルFeliCaアプリケーションの開発まで、入門者のステップアップに役立ちそうな3冊を紹介していこう。

■入門書のレベルを超え、電磁気学の入り口に触れる

トコトンやさしい 非接触ICカードの本

苅部浩 著
日刊工業新聞社 2003年
定価1400円+税
ISBN4-526-05193-4


 本書は、非接触ICカードで使われている技術を、イラストを交えて分かりやすく伝えるために力点が置かれている。初版が2003年のため、最近の事例には触れられていないが、この本のキモは非接触ICカードに関する電気回路、電磁気回路、国際標準を含む通信技術を総合的に知ることができる点だろう。  

 全7章の構成となっており、非接触ICカードの歴史や使われ方、物理的な構造、利用周波数帯を解説する4章まではさらっと読める。ところが、電磁気学の世界に突入する第5章からは専門用語が飛び交う。ただし、見開きの左側ページには必ずイラストが用意してあるので、何が書いてあるのかまったく見当もつかないという状態になることは少ない。

 著者も1ページを割いて「電気や磁気の専門家には、説明なしで常識的に使い慣れているものですが、その分野以外の読者のために技術用語の記号と単位を次に示します」と一覧表を用意してくれている。しばらくは本文とこのページを行ったり来たりしながら読み進めていくとよい。

 この本の読了後には、非接触ICカードがなぜ電池不要で動作するのか、通信エラーや混信をどのように防いでいるのかが分かるようになっているだろう。

■ICカードに対する攻撃手法を知って防衛策を練る

カードセキュリティのすべて

神永正博 著
日本実業出版社 2006年
定価1500円+税
ISBN4-534-04103-9


 2006年末に、日本で広く使われている非接触ICカード技術である「FeliCa」の暗号が破られたという報道が話題になったことがある。即座に開発元のソニーが否定し、続報はうやむやになってしまった。

 インターネット上でも、暗号やセキュリティについて詳しい人、非接触ICカードについて詳しい人、技術的なことはよく分からないけどFeliCaを使っているユーザーなどが入り乱れ、さまざまな議論が起こった。また、「耐タンパ」や「サイドチャネルアタック」など日常生活になじみのない言葉が散見された。

 非接触ICカードにビジネスとして関わっている者であれば、セキュリティについても最低限の正しい知識を持つべきだろう。そこでお勧めしたいのが本書である。著者はICカードのセキュリティ技術向上のため、攻撃手法を研究する社内ハッカーとして、机上の理論だけでは見落としてしまう“生の経験”をしてきた。それを基に、耐タンパ技術とは何か、ICカードへの攻撃とはいかなるものかを取り上げ、提言を行っている。

■勝手モバイルFeliCaアプリを作ってみよう

モバイルFeliCaプログラミング

アスキー書籍編集部 編
アスキー 2006年
定価3500円+税
ISBN4-7561-4727-5


 国内の携帯電話キャリア3社がサポートし、デファクトスタンダードになった感のあるモバイルFeliCaのプログラミング手法をまとめている。ただし、FeliCa SDKを用いるアプリケーションはフェリカネットワークスなどとの契約が必要となるため、本書ではNTTドコモのフリー領域用アプリケーションを対象としている。

 Part 1は準備編として、FeliCaやモバイルFeliCaの基礎知識とSDKについて触れ、開発編となるPart 2では、フリー領域にアクセスするためのAPIなどを取り上げている。Part 3では、Javaによるサンプルプログラム13種の使い方と簡単なプログラミング解説がおこなわれている(ソースコードは付属のCD-ROMに収録)。Part 4はリファレンスとして、HTML文書内にFeliCaへのアクセス方法を記載するためのFeliCa HTMLや関連用語集が収められている。

 対象読者は、Javaプログラミングやiアプリの開発を行ったことがある方が前提となっているが、手順どおりにサンプルプログラムを展開するだけでもモバイルFeliCaプログラミングの空気を感じることができるだろう。

 ちなみにサンプルプログラミングは、簡易版ポイントカードプログラムやボーリングの点数表、ドット絵エディタ、ロト6購入支援など。

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