第7回
EPCISを使った次世代アーキテクチャ
伊東 英輝
日本オラクル株式会社
システム製品統括本部
Fusion Middleware技術部
RFID&EDAグループ
シニアマネージャー
2007年3月8日
EPCISを支援するEDA技術
生産、製造、倉庫、流通、販売の業務アプリケーションがEPCISに対応することで、標準化技術を使用した物流の可視化ができます。
業務アプリケーションは、イベントをEPCISに送信するだけでなく、EPCISから受け取ったイベントをリアルタイムに処理することが求められます。RFIDとセンサー技術の発展により、アプリケーションはバッチ処理からリアルタイム処理に、手動から自動に、プル型モデルからメッセージ中心モデルに革新できます。
業務アプリケーションのリアルタイム化を支援するのがイベント駆動型アーキテクチャ(EDA)です。既存の業務アプリケーションをEDA対応したときの図を以下に示します(画像をクリックすると拡大します)。
EDA化するために重要な技術は、RFIDミドルウェア、BPM(ビジネスプロセスマネージメント)、ESB、Webサービスのセキュリティ・管理、BAM(ビジネスアクティビティモニタリング)です。これらについて簡単に紹介します。
RFIDミドルウェアはデバイスから送られてきた生データをビジネスで意味のあるイベントに変換します。RFIDミドルウェアを導入することによって、将来にわたるハードウェア環境変化に関係なく、デバイス層の制御を抽象化し、ITインフラの影響を最少化します。
業務アプリケーションは、RFIDやセンサーから感知されたイベントをリアルタイムで処理し、ビジネス情報を加えたイベントをEPCISに格納します。モノを可視化するのが重要なようにビジネスプロセスの可視化も重要になってきます。BPMは業務アプリケーションの中で実行、管理され、ビジネスプロセスを可視化し最適化します。
ESBを業務アプリケーションとEPCISの中間に配置することによって、接続先の変更やデータの仕様変更に柔軟に対応することができます。
Webサービスを使用したクエリインターフェイスを公開するときにはセキュリティが課題となります。Webサービスレベルでセキュリティを強化する中間サーバやエージェントを配置することによって、複数のクライアントの認証、認可、アクセス制御と監視を一元管理することができます。
モノをトレースするにはリアルタイムにモニタリングする仕組みが有効です。BAMはリアルタイムにイベントを処理し最適なダッシュボード画面を表示します。事前に定義したしきい値を超えた場合など異常値が検出された場合はアラートを管理者に送信することもできます。管理者は常にイベントを分析しアクションを起すことができます。
RFID/EPCの普及とシステムのリアルタイム化要求によって、既存システムはメッセージ中心の新しいアーキテクチャを採用する必要があるでしょう。EDAを採用することは次世代アーキテクチャに移行する一番の近道です。
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「RFIDシステム構築エンジニアの道」では、RFIDシステムエンジニアが知らなければならない必要なスキルと知識を説明しました。スキルとしてRFIDミドルウエアとEPCglobal対応を、知識として生産、SCM、物流分野の導入事例を中心に説明しました。紹介した技術要素とユースケースはすぐにでも提案できる内容です。今後も、RFIDシステムを構築しなければならないシステムエンジニアに対して、有益な情報を提供していきますのでよろしくお願いいたします。
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Index | |
EPCISを使った次世代アーキテクチャ | |
Page1 EPCISの配置とDiscoveryサービス EPCISのセキュリティ EPCISとESB |
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Page2 EPCISを支援するEDA技術 |
Profile |
伊東 英輝(いとう ひでき) 日本オラクル株式会社 システム製品統括本部 Fusion Middleware技術部 RFID&EDAグループ シニアマネージャー RFID/EPC製品のプロダクトマネージャーを担当。US本社の製品開発プロセスに参画しパートナーと顧客への製品技術支援がミッション。 同社グローバルバーチャル組織「RFID and Sensor Business Team」のメンバーとして、また、同社アジア研究開発センターとの連携により、グローバルの成功事例を国内と海外に展開。EPCglobal Industry Action Groupに参画し国際標準化を推進。 |
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