特集 1. 高密度最優先のブレード・サーバ「ProLiant BL」 |
コンパックコンピュータのProLiant BL e-Classは、2002年2月に日本で発表されたブレード・サーバのシステムである。まずはこのProLiant BL e-Classを例に、ブレード・サーバの基本的な構成を見ていこう。
ブレード・サーバのシステムを構成するコンポーネントは、各種の「ブレード」とそれを収納する「エンクロージャ」の2つに大別される。ProLiant BL e-Classの場合、ブレードとして販売されているのはサーバ・ブレード「ProLiant BL10e」シリーズのみである(2002年6月時点)。製品によっては、イーサネット・スイッチやリモート管理システムなどの周辺機能を受け持つブレードがラインアップされていることもある。本機の場合、こうした機能はエンクロージャである「ProLiant BL e-Class サーバブレードエンクロージャ(以下、BL e-Classエンクロージャと略)」内の「インターコネクトトレイ」に実装されている。このように、ブレードやエンクロージャの役割分担という基本的な部分ですら、メーカーや製品ごとに異なっているのが現状だ。
コンパックコンピュータのProLiant BL e-Class |
BL e-Classエンクロージャに5枚のサーバ・ブレード(ProLiant BL10e)を、向かって左側のスロットから装着したところ。エンクロージャの厚みは3Uで、最大20枚のサーバ・ブレードが実装できる。例えば高さが42Uのラックなら(一般的なラックの高さは38U〜44U程度)、280台のサーバを実装できるわけだ。1Uサーバ(=42台)に比べても、けた違いに超高密度設計であることが分かる。 |
ProLiant BL e-Classのブロック・ダイアグラム |
サーバ・ブレードの外部インターフェイスは、コンソール接続用アダプタやパッチパネルを介して外部デバイスなどと接続される(ただしコンソール接続用アダプタは後述するように常時接続するものではない)。パッチパネルとは、サーバ・ブレードが持つ2系統のイーサネット・インターフェイスを外部コネクタと接続させるための回路基板だ。これは前述のインターコネクトトレイの一部であり、ギガビット・イーサネット・スイッチなど別のオプションと交換可能だ。 |
シンプルな構成のサーバ・ブレード「ProLiant BL10e」
各種パーツが密集しているサーバ・ブレード | ||||||||||||||||||
これがProLiant BL10eの本体である。縦119×横394mmというコンパクトな回路基板に、ところ狭しとパーツが実装されているのが見える。電源と外部コネクタを除けば、サーバとしての基本機能はこれ1枚で実現している。 | ||||||||||||||||||
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イーサネット・コントローラ「NC3163 Fast Ethernet NIC 10/100 WOL」×2 |
2個のコントローラにより、2系統のイーサネット・インターフェイスを持つ。イーサネット・コントローラはIntel製82559が採用されており、負荷分散や耐障害機能もサポートしている。各コントローラは、バックプレーンとインターコネクトトレイを介して外部コネクタに接続される。 |
チップセットの「ServerWorks LELP 3.0」 | |
ServerWorksのエントリ・サーバ向けPentium III用チップセット「ServerSet III LE」の派生品と思われる。このサーバ専用チップセットにより、本機はECCによるメイン・メモリの耐障害機能を確保している。 |
ハードディスクの「DK23CA-30F」 |
これは日立製作所製の容量30Gbytesの2.5インチIDEハードディスクである(Pentium III-800MHz搭載モデルでは40Gbytes)。本来はノートPC用だが、サーバ・ブレードの小型化と低消費電力化を優先して3.5インチではなく2.5インチを選んだのだろう。回転速度は4200RPMと、一般的なノートPC向けハードディスクと変わらない。 |
バックプレーンとの接続コネクタ |
このカードエッジ・コネクタは、エンクロージャ側にあるバックプレーン上のコネクタと接続される。ブレードとエンクロージャ間の回路的な接続はここだけで、イーサネット×2系統と電源供給など、最低限の信号/電力しか通っておらず、端子数はそれほど多くはない。イーサネットは、ここを介してインターコネクトトレイ(パッチパネル)と接続される。 |
次のページでは、ProLiant BL e-Classのエンクロージャに注目してみよう。
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