第7回 読者調査結果 アットマーク・アイティ マーケティングサービス担当 |
最近のストレージ市場は、NASやSANといったネットワーク接続型ストレージの登場や、大手ベンダ間の提携/買収の発表など、何かと話題が多い。では、システム管理の現場では、ストレージの導入/管理についてどのような課題や希望を持っているのだろうか? System Insiderフォーラムが実施した「第7回 読者調査結果」から、その動向をレポートしよう。
ストレージ管理の課題:容量増に管理スキルが追いつかない
まずは、読者のかかわるシステムにおけるストレージ管理の課題を聞いた。その結果、「バックアップ/リカバリのノウハウや管理者の不足」および「データ容量の増加に伴う必要ストレージ容量の増大」を挙げる人が全体の4割以上となった。ネットワークの広帯域化や、ハードディスクの低価格化/大容量化によって、サーバに蓄積されるデータ容量が拡大する一方で、多くの人は大容量化時代に対応した新たな管理スキルの獲得に苦労しているようだ。確かに、急激にハードディスクの容量が大きくなったにもかかわらず、ベンダからはリーズナブルなバックアップ・ソリューションが提供されていないのが現状だ。こうした状況を反映した結果ともいえるだろう。
ストレージ管理についての課題(3つまでの複数回答 N=316) |
ストレージ製品使用状況:ネットワーク・ストレージに普及の予兆?
続いて読者がかかわるシステム内のストレージ製品について、現在の使用状況および今後の導入予定がどのようになっているのかを見ていこう。
まず現在の状況では、「サーバに内蔵/直結したRAIDなどの磁気ディスク装置」「CD-R/RWやDVD-RAM/DVD+RWなどのリムーバブル・ディスク装置」および「DDS/DLT/LTOなどの磁気テープ装置」の順に使用している比率が高い。一方、今後1年以内の導入予定では、NAS/SANといったネットワーク接続型ストレージが、わずかながら磁気テープなど既存装置を上回っている。これがストレージ製品の世代交代の前兆を示しているのかどうか、引き続き注目していきたい。
ストレージ製品使用状況/導入予定(N=316) |
ネットワーク・ストレージ導入ベンダ:群雄割拠から集約へ
今後成長が見込まれるネットワーク接続型ストレージの分野では、どのようなベンダが支持されているのだろうか。上のグラフでSAN/NAS/IPストレージを使用中または導入予定と答えた読者を対象に、導入対象(予定)企業を聞いた結果、「デルコンピュータ」「日本アイ・ビー・エム」「日立製作所」「EMCジャパン」といったベンダ名が上位に挙がった。奇しくも2001年〜2002年にかけて、EMC+デルコンピュータ、日立製作所+IBMは、それぞれストレージ事業に関する戦略的な提携を発表している。ネットワーク接続型ストレージ市場はまだ立ち上がって間もないが、主要プレイヤーの勢力図は今後、大規模かつ少数のグループに集約されていきそうだ。
導入予定のネットワーク接続型ストレージ・ベンダ(ネットワーク接続型ストレージ使用者/導入予定者 N=128) |
ストレージ管理ソフト:独立ソフトウェア・ベンダがリード
ストレージというとハードウェアが主役と思われがちだが、最近ではSAN環境などの複雑化するストレージ管理を対象にしたソフトウェアが注目されている。そこで読者のかかわるシステムで、使用予定のあるストレージ管理ソフトウェア・ベンダを聞いた。その結果、「ベリタスソフトウェア(Backup Execなど)」「コンピュータ・アソシエイツ(ARCserveなど)」「日本ヒューレット・パッカード(HP OpenView Omnibackなど)」がトップ3となった。ハードウェア・ベンダも独自のストレージ管理ソフトウェアの開発に注力しているが、いまのところ、どちらかといえば異機種環境対応などで先行するソフトウェア・ベンダ製品への志向性が強いようだ。
ストレージ管理ソフトウェアの使用/導入予定ベンダ(N=316) |
ストレージ製品選択:決め手は信頼性/可用性
最後に、読者がストレージ製品を選択/導入する際にどういった点を重視しているのかを紹介しておこう。以下のグラフのとおり、複数回答であるにもかかわらず「信頼性/可用性」に7割弱の回答が集まった。現在の企業活動において情報資産の持つ価値は計り知れないだけに、その“守護神”であるストレージ製品には、絶対の信頼性が求められているのだろう。
ストレージ製品選択時の重視点(N=316) |
調査概要 | |
調査方法
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System Insider フォーラムからリンクしたWebアンケート |
調査期間
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2002年6月24日〜7月26日 |
有効回答数
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316件 |
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「System Insider 資料」 |
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