運用 ITProから見たSQL Server 2005―― 満を持して登場したマイクロソフトの新世代DBシステム ―― 第1回 SQL Server 2005の概要 デジタルアドバンテージ 小川 誉久2005/12/16 |
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マイクロソフトが最新のデータベース・システムであるSQL Server 2005を発表した。これは2000年発売のSQL Server 2000から5年ぶりとなるバージョンアップ版で、さまざまな新機能追加や機能強化が行われている。本稿では、Windowsシステム管理者の視点から見たSQL Server 2005の新機能、拡張機能概要についてまとめる。
米国版は11月7日より発売開始、日本語版は12月15日より公開開始
米Microsoftは、2005年11月7日、.NET Framework 2.0に対応した最新の開発環境であるVisual Studio 2005(以下VS 2005)と、データベース・システムの最新版SQL Server 2005を発表し、同時に発売を開始した。
これを受けて日本のマイクロソフトは、11月17日に日本語版の発売スケジュールについて発表した(ニュース・リリース)。この発表は、日本語版SQL Server 2005およびVS 2005は、12月15日に開発を完了し、この開発完了とともにMSDNサブスクリプション・ダウンロードにて公開して購読者向けに提供を開始、ボリューム・ライセンスやパッケージ製品の発売は2006年2月より順次段階的に行うというものだ。
そして12月15日、マイクロソフトは、前記の発表どおり両製品のMSDNサブスクリプション・ダウンロードでの公開を開始するとともに、ボリューム・ライセンス製品を2006年2月1日より、パッケージ製品を同2月3日より発売すること、各製品価格などについて改めて発表した。
これによれば、Oracleなどの他社製品ユーザーを対象とし、期間限定(2005年12月1日〜2006年6月30日)で最大50%のディスカウントを行うコンペティティブ・アップグレード・キャンペーンを実施するとしている(マイクロソフトのキャンペーン概要解説ページ)。対象製品は、Oracle Enterprise/Standard Edition、IBM DB2 Enterprise/Workgroup Edition、Informix、Sybase ASE、Hitachi HiRDB、Fujitsu Symfowareとのことだ。
またこの発表同日である12月15日より、無償版のSQL Server 2005 Express Edition(詳細は後述)のダウンロード・サービスを開始した。
SQL Server 2005の歴史
以後、SQL Server 2005の新機能について見ていくことになるが、その前に、今回のSQL Server 2005の位置づけについて、簡単に歴史を振り返るとともに、本稿では割愛するSQL Server 2005の開発者向けの機能について簡単に触れておこう。
SQL Server 2005は、SQL ServerシリーズとしてはSQL Server 6.0/6.5、SQL Server 7.0/2000に続く第三世代に当たるデータベース・システムである。
SQL Server 2005の歴史 |
今回発表されたSQL Server 2005は、SQL Serverシリーズの第三世代にあたる。XMLへのネイティブ対応を始め、中小規模から大規模システムに至るまで、安全かつ効率的なデータ・ストレージを提供するためのさまざまな新機能追加、機能強化が施されている。 |
第2世代のSQL Server 7.0では、それまでのSQL Server 6.5からリレーショナル・エンジンのアーキテクチャが再構築され、続くSQL Server 2000では、SQL Server 7.0を土台にして処理性能の向上などが図られた。
SQL Server 2005の主要な機能強化点については上図に示した。管理者向け機能としては、可用性向上やセキュリティ性能を向上し、管理コストを削減するための機能追加が実施されている(詳細は後述)。
開発者向けとしては、マイクロソフトの最新ソフトウェア開発プラットフォームである.NET FrameworkがSQL Server 2005に統合された点が大きい。SQL Server 2005のデータベース・エンジンには、.NETの共通言語ランタイム(CLR:Common Language Runtime)が統合されており、ストアド・プロシージャをVisual BasicやC#などの高級開発言語で記述できる。従来のストアド・プロシージャ開発は、古いSQL言語ベースのT-SQL(Transact SQL)を使用する必要があった。このためアプリケーション本体の開発ではC#などを使用していても、ストアド・プロシージャ開発では、それとはまったく別のT-SQLによる開発スキルが必要だった。SQL Server 2005のCLR統合により、今後はアプリケーション本体も、ストアド・プロシージャも、使い慣れた高級言語と機能豊富な.NET Frameworkクラス・ライブラリ、そして統合開発環境(Visual Studio 2005)を利用して開発し、デバッグできるようになる。
ストアド・プロシージャ以外にも、CLRがデータベース・エンジンに統合されたことで、ユーザー定義型やユーザー定義関数、ユーザー定義トリガなどもVisual BasicやC#で記述可能である。VS 2005による.NETアプリケーション開発において、SQL Server 2005は必須というわけではないが、両者を組み合わせることで利用可能になる開発支援機能は強力なので、今後は多くの.NETアプリケーションでSQL Server 2005が求められることになると思われる。
現実には、過去のソフトウェア資産(T-SQLベースのストアド・プロシージャなど)の継承や、開発者の学習(C#などによるストアド・プロシージャ開発)も必要になるので、そう簡単に移行できるわけではないが、長い目で見れば、SQL Server 2005の新規導入、SQL Server 2000など既存データベースのバージョンアップ要求は高まっていくだろう。
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