運用 Windows 2000 Service Pack 1日本語版がついに登場 1.Windows 2000 Service Pack 1とは?デジタルアドバンテージ2000/09/08 |
|
|
Windows 2000に限らず、出荷されたソフトウェアには何らかの不具合が見つかるのが普通である。特にOSのような大規模なソフトウェアでは、これは避けることができないといえる。そこで、このような不具合を解消するためにマイクロソフト社では、バグフィックスのためのパッチ用モジュール群を提供している。Windows NT/2000では、これらをService Packとか、Hotfixと呼んでいる。Service Packは、通常半年から1年くらいの間隔で提供され、たとえばWindows NT 4.0では、最初の製品版の出荷後、SP2からSP6aまで提供された(日本語版Windows NTでは、NT 4.0の最初の版はSP1が適用された状態で出荷されている)。これに対して、セキュリティ ホールのバグをふさぐためのパッチなど、比較的緊急を要するものに対しては、(見つかったバグなどにすぐ対応するために)Hotfixという形で随時提供されており、ユーザーは必要に応じてHotfixなどを適用する必要がある。
今回提供が開始されたSP1も、従来のNTのService Packと同様に、SP1出荷までに見つかったバグを直したり、Hotfixを適用したりするためのものである(ただしすべてのHotfixやバグが直されているわけではない。そのため今後も必要に応じて、Hotfixのためのサイトなどから情報を得るように努力する必要がある)。対象となるOSは、Windows 2000 Professional、Windows 2000 Server、Windows 2000 Advanced Serverの3つであり、いずれのOSに対しても、同じ手順でSP1を適用することができる。
今回のSP1は、従来のWindows NTのService Packと異なる点がいくつかある。詳細については後述するが、簡単に述べると、以下の3つが挙げられる。
まず第一に、このSP1は、何ら新機能を提供するものではない、ということが挙げられる。従来のWindows NTのService Packは、単なるバグフィックス以外に、NTの機能を拡張する新機能を盛り込んでいることが多かったが、このSP1では、基本的に不具合の修正だけに限っている。新機能は(人によっては)望ましいかもしれないが、それが原因で新たな不具合を起こしているという例も過去にはあった。将来的にもずっとこの方針が貫かれるのかどうかはともかく、SP1を導入してもトラブルが起こる可能性は小さくなっていると思われる。
2つめに挙げられる大きな違いとして、一度Service Packを適用してしまえば、システムの構成を変更しても、再度Service Packを適用し直す必要がないということが挙げられる。従来のNTでは、このService Packの再適用を忘れるといろいろな不具合が生じることがあったが、Windows 2000のService Packからは、システム内にSP1のファイルをすべて保存しておいて、必要に応じてそれらのファイルが参照されるようになっている。
3つめの改良点は、SP1を適用したWindows 2000のインストール イメージをあらかじめ用意しておいて、それを使ってWindows 2000の新規インストール(もしくはアップグレード インストール)ができるようになったことだ。従来ではまず製品版のオリジナルのWindows NTをインストールしてから、次にService Packを当てるという手順が必要であったが、今回からは、Service Packが適用されたWindows 2000システムを直接新規インストールすることができる。
2番目と3番目の特徴は、従来のService Packにおける問題点としてよく取り上げられていたものであるが、今回の改良により、Service Packが容易に利用できるようになったのはありがたい。これらの詳細については、後で実際にSP1の組み込みを行いながら詳しく解説することにする。
SP1をインストールする前に
Windows 2000 Professional |
Windows 2000 Professional/Serverは2000年2月18日に、Advanced Serverは3月3日に発売された。これらに今回発表されたService Pack 1を組み込むことで、製品発売後に行われたバグ フィックスなどをまとめて反映させることができる。 |
Windows 2000は2000年2月18日の発売開始以来すでに半年以上が過ぎているが、その間には数多くの不具合などが見つかり、TechNetで提供されるKnowledgeBaseや、サポート技術情報ページなどを通じてバグの症状や対処法が公開されており、Hotfixなどが公開・ダウンロードできるようになっている(これらのHotfixはWindows 2000のダウンロード ページやWindows Update、セキュリティ情報ページなどからダウンロード可能)。これらのバグフィックスやHotfixを集大成したのが、今回のSP1である(ただし時間的な制約からかもしれないが、Knowledge Baseなどには載っているものの、SP1では未対応の事項もある。それらについては、各ユーザーが独自にHotfixを適用する必要がある)。現在使用中のシステムに、これらに載っているような不具合があるようなら、SP1の導入を検討するべきであろう。しかし、ただ無条件にSP1を導入すればよいというものでもない。SP1を導入すると、システム内部のファイルなどが書き変わってしまうので、新たな不具合が発生する可能性がある。そこで、まずはテスト的に導入して、既存のアプリケーションなどが正しく動作するかどうかのテストを慎重に行い、何か問題があれば、アンインストールするとか、別の対策を考えるという慎重さは必要である。
今回のService Pack 1は、Windows 2000にとって初めてのService Packである。Windows 2000の構造やシステム構成などは、それ以前のWindows NTとは大きく変わっている。そのWindows 2000の製品出荷後、さまざまなユーザー環境に実際に大量に導入されて、開発時には分からなかったような数多くのバグも見つかっている。そういう意味では、このSP1は、非常に重要なService Packといえるかも知れない。実際、SP1が提供されるまでは、Windows 2000の導入を見合わせていたユーザー(特に企業ユーザー)も多いようである。しかしその一方で、現状のSP1適用前のWindows 2000でも特に何の問題もなく利用できているユーザーも多い。Service Packは必ず適用しなけれならないというものではないが(Service Packは、現状で問題がないのであれば導入する必要はない、ということになっている)、Windows 2000が実際にユーザー環境へ広く導入され、それに基づくフィードバックを経て、SP1が作られたことを考えると、Windows 2000+SP1という組み合わせこそが、完成されたWindows 2000といえるかもしれない。となると、このSP1に関しては積極的に導入を考えてもよいといえよう。
もっともいずれにしろ、これからWindows 2000の普及が進んで、使用するアプリケーションやデバイスがWindows 2000+SP1必須というような状態になれば(メーカーとしては、ユーザーが最も多い環境に合わせて動作保証をするので、いずれこうなることは間違いない)、SP1は必ず導入する必要がある。特にサーバ系のソフトウェアは、常に最新のService Packを要求することが多いので、SP1は必須ということになるかもしれない。必要に迫られるまで、SP1の導入を待つというのも一つの選択肢である。
ところで米国版Windows 2000向けのSP1は7月末から提供が始まっているが、米国版のSP1の導入にまつわるトラブルなどもすでにいくつか報告されているようである。たとえばある特定のウィルス チェック ソフトウェアやファイアウォール製品がインストールされていると、システムがうまくインストールできないなどという報告がある。これはSP1アップデート時の問題であるが、たとえばウイルス対策ソフトウェアのNorton AntiVirus 2000が、SP1日本語版の一部のファイルをウイルスだとして誤認するという問題が明らかになっている(この問題に関するシマンテックの情報ページ)。このような恐れがあるときには、SP1適用前にそれらのソフトウェアを無効にしたり、アンインストールしておくとか、ソフトウェア メーカーによるSP1の動作検証などを待つ、などの対策が必要になるかもしれない。SP1のダウンロード ページにも、「アンチウィルス ソフトウェアによってはインストールが中断される場合があります。SP1 のインストール中はアンチウィルス ソフトウェアを無効にしてください。 」と書かれている。SP1がうまくインストールできないときは、これらのチェックも必要だろう。
これ以外にも、SP1をインストールする前に注意しておかなければならない情報などについて、 SP1のダウンロード ページなどに掲載されているので、あらかじめチェックしておく必要があるだろう。たとえば、SP1をインストールするとIEをアンインストールできなくなる(J055382)とか、J052309のHotfixをインストールした環境では、場合によっては、SP1のインストール プログラムを起動することができなくなることがある(J053653)、などである。
INDEX | ||
[運用]Windows 2000 Service Pack 1日本語版がついに登場 | ||
1.Windows 2000 Service Pack 1とは? | ||
2.Service Pack 1の入手方法 | ||
3.SP1のインストール(1) | ||
4.SP1のインストール(2) | ||
5.SP1適用後のシステム | ||
更新履歴 |
||
|
運用 |
- Azure Web Appsの中を「コンソール」や「シェル」でのぞいてみる (2017/7/27)
AzureのWeb Appsはどのような仕組みで動いているのか、オンプレミスのWindows OSと何が違うのか、などをちょっと探訪してみよう - Azure Storage ExplorerでStorageを手軽に操作する (2017/7/24)
エクスプローラのような感覚でAzure Storageにアクセスできる無償ツール「Azure Storage Explorer」。いざというときに使えるよう、事前にセットアップしておこう - Win 10でキーボード配列が誤認識された場合の対処 (2017/7/21)
キーボード配列が異なる言語に誤認識された場合の対処方法を紹介。英語キーボードが日本語配列として認識された場合などは、正しいキー配列に設定し直そう - Azure Web AppsでWordPressをインストールしてみる (2017/7/20)
これまでのIaaSに続き、Azureの大きな特徴といえるPaaSサービス、Azure App Serviceを試してみた! まずはWordPressをインストールしてみる
|
|