連載:SAPで実現するIFRS対応(2)
SAPのIFRS対応クイック・ソリューションを見る
鈴木大仁
アクセンチュア株式会社
2009/11/30
SAPの経営管理システム製品と連結会計システム製品の活用方法について説明する。これらは日本企業がグローバル化を果たすための、IFRS対応型クイック・ソリューションといえる(→記事要約<Page 3 >へ)
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ビジネス・プラニング・ソリューション
ビジネス・プランニング・ソリューションは、グローバルに広がる事業拠点を網羅し、グループ予算の編成および統制を実現するソリューションである。本ソリューションは、消費財、ハイテク、エネルギーなど業界ごとにグローバル企業として保持すべき業績管理軸(事業、組織、ブランド、商品、顧客や販売チャネルなど)の実装が可能であり、これらのグループ共通の管理軸に基づいた情報粒度から、グループ予算編成/予算・管理連結、業績着地点分析などの実施や、販売/マーケティング戦略立案に当たっての本社からのマイクロ・マネジメント(製品ポートフォリオ分析など)を、一貫した情報に基づいて実現できる。
これまで日本においても、BOPCを導入して予算編成プロセスなどのシステム化を実現した事例は見受けられる。しかし、BOPCは「経営情報の粒度」「経営管理プロセスの一貫性」「導入範囲」(個社のみならず、グループ全体としての導入)といった側面から、強力なグローバル経営管理の仕組みを実現するための拡張性を保有する製品である。
ちなみに、SAPから出荷されたカスタマイズ未設定状態のBOPCは、ユーザー・フロント・エンドが「Microsoft Excel」であり、これに柔軟な情報軸やプロセスやワークフローを設定することが可能なデータベースを加えた汎用的な製品である。この製品は設計思想によって、いかような業務範囲でも活用できるため、導入に当たっては初めに十分な注意が必要である。
以上、今回はSAPで実現するグローバル連結経営として、連結会計ソリューションとビジネス・プランニング・ソリューションを説明した。これらは、IFRS対応における松竹梅モデル共通のグループ経営管理領域の担い手であり、多極化時代における経営管理の高度化、競合他社との大きな差別化の要素と考える。次回は、個社経営(単体会計)システムについて考えていきたい。
筆者プロフィール
鈴木 大仁(すずき ひろひと)
アクセンチュア株式会社
IFRSチーム
システムインテグレーション&テクノロジー本部
パートナー
1989年、 アクセンチュア入社。大手消費財メーカー複数社のIFRS導入やERP再構築プロジェクトを手掛ける。そのほか、大手化学メーカー、大手食品・飲料メーカー、大手自動車会社などでERP導入プロジェクトを担当。IFRSフォーラムで「IFRS対応ITシステムの本質」を執筆
アクセンチュア IFRSサイト
要約
SAPの経営管理システム製品と連結会計システム製品の活用方法について説明する。紹介するのは「SAP BusinessObjects Financial Consolidation」(BOFC)を使った、日本企業のスムーズなIFRSの連結会計システム導入を支援する連結会計ソリューション。
そして「SAP BusinessObjects Business Planning and Consolidation」(BOPC)を利用し、本社とグローバル拠点の一貫したPDCAサイクルの実行を可能とするビジネス・プランニング・ソリューションだ。これら日本企業のグローバル化を果たすための、IFRS対応型クイック・ソリューションといえる。
SAPが提供するIFRS向けスターターキット(IFRSベースの総勘定元帳/連結相殺処理やチェックロジック、財務諸表一式を保有)と、AEPMの設計思想から導かれる個社単体システムからの連結情報抽出機能、BOFCの日本基準からIFRSへの組み替え支援機能、個社注記情報収集機能とを組み合わせることで、IFRSベースの連結決算プロセスを効率的、かつ短期間に構築することが可能となる。
ビジネス・プランニング・ソリューションは、グローバルに広がる事業拠点を網羅し、グループ予算の編成および統制を実現するソリューションである。本ソリューションは、グローバル企業として保持すべき業績管理軸の実装が可能で、本社からのマイクロ・マネジメントを、一貫した情報に基づいて実現することが可能である。
SAPで実現するグローバル連結経営として、連結会計ソリューションとビジネス・プランニング・ソリューションはIFRS対応における松竹梅モデル共通のグループ経営管理領域の担い手であり、多極化時代における経営管理の高度化、競合他社との大きな差別化の要素と考える。