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連載:SAPで実現するIFRS対応(3)

ERPのIFRS対応 成功へのシンプルな必須条件

鈴木大仁
アクセンチュア株式会社
2009/12/18

IFRSに対応したERPの構築はゼロベースでシンプルに考えれば、決して不可能なことでない。ガバナンスのルールや実機構築/導入展開方式を採用することが成功への必須条件である (→記事要約<Page 3 >へ)

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SAP ERP導入企業の状況

 現在、多くのSAPユーザー企業が、SAP ERPの以前のバージョン(V4.7=Enterprise以前)から最新のSAP ECC(ERP Central Component)6.0へのバージョンアップを検討している。正確に現状を捉えると、「すでにバージョンアップを実施済み、もしくはグループ企業全体へのバージョンアップを継続して実施中のユーザー企業」と、「2009年はじめのSAP保守料の値上げ、及びリーマン・ショックによる世界同時不況の影響を受け、バージョンアップ投資を一時凍結していたが、ここに来て再開に動き始めたユーザー企業」と、大きく二手に分かれるのではないだろうか。

「SAPで実現するIFRS対応」連載インデックス


  前者のユーザー企業は、バージョンアップで複数会計基準に対応したECC6.0を導入しようとしていても、IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)対応については考慮していないケースがほとんどである。一方で、グローバル経営管理の高度化、ITコスト削減を狙ったERPの海外拠点展開、ERPインスタンス統合などを目的とし、複数国業務にも対応できる高度なグローバルERPを導入することにより、意図せずIFRSにも対応可能なITシステム基盤をすでに手にしている企業も存在する。しかし、日本全体のSAPユーザー企業からすると、このような基盤の整ったユーザー企業はわずかである。

 さて、後者に属する大半のユーザー企業は、何から考え始めるべきか? また、これから新規にERP導入を検討している企業は、どのようなアクションをとるべきか?

 保守料の値上げと世界同時不況によるバージョンアップの立ち止まりは、SAPユーザー企業にとって、多極化世界におけるグローバル経営環境の変化をしっかり捉え、自社の経営の方向性を改めて考えるうえでの、1つの機会である。私は2009年を日本におけるIFRS元年と表現しているが、2009年は企業の成長にとっては失われた1年だった。

 だが、同時に、多極世界で生き残る共通ビジネス・インフラであるIFRSを学び、取り入れていくために、一呼吸入れることができた実りの1年だと前向きに捉えている。そして、IFRSを機に経営を再度考えることで、日本企業には再び世界の頂点を目指してほしいと思っている。

IFRS対応した新型ERPとは?

 ここではIFRS対応したSAP ERPを“新型ERP”と呼びたい。ただ新型ERPは、SAP社から複数会計基準に対応したECC6.0の提供を受ければ、それがそのまま新型になるというものではない。

 では、IFRS対応した新型ERPとはどういったものなのか? 検収基準での収益計上、開発費の資産計上など、SAPにおけるIFRS対応の機能面での論点はさまざまあるが、ここでは質的な面から新型ERPを定義し、推奨したい。その条件は 「以下3つの情報構造を、各社の事業内容や事業範囲、及び経営の狙いを踏まえた適切なレベルで統合し実装したERP」である。

  1. 総勘定元帳/勘定科目コード(Group Operating Chart of Account)
  2. 組織構造/組織コード(Strategic Organization Code)
  3. セグメント体系/商品・顧客等の主要コード (Micro Management by Segment Code)

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