月刊IFRSフォーラム(1)
12月:IFRS総まとめ/トップ10/必読記事
垣内郁栄
IFRS 国際会計基準フォーラム
2009/12/25
この1月のIFRS関連の動きや、IFRSフォーラムの記事を紹介する新連載です。第1回ではこの半年のIFRS関連のトピックスやIFRSフォーラムのトップ10記事をまとめてみました。
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読者の皆さん、こんにちは。このIFRSフォーラムを編集している垣内です。いつもIFRSフォーラムをお読みいただき、ありがとうございます。唐突ですが今月から、IFRSフォーラムと会計・財務に関するその月のトピックスをまとめる新連載「月刊IFRSフォーラム」を始めたいと思います。といってもスタートが12月ですので、結果的に第1回は2009年をまとめる、ということになりました。
この半年に何があったのでしょうか
2009年夏以降のIFRSを取り巻く盛り上がりはすごかったですね。このIFRSフォーラムを始め、Webにはさまざまな情報が出始め、新聞・雑誌でも何度もIFRSが取り上げられました。また、書店には解説本が多く並び、12月にはIFRSの公式翻訳本が出版されました。
この盛り上がりのきっかけになったのが2009年6月に金融庁の企業会計審議会が出したIFRS受け入れに向けたロードマップでした。このロードマップでIFRSの2010年3月期の任意適用と、2015年または2016年の強制適用が大筋で決まりました。金融庁は実際に強制適用をするかどうかを2012年に判断するとしています。大手商社などすでに米国会計基準で連結決算をしていたり、グローバル展開をする製造業などは任意適用を狙っています。
この金融庁の判断からさまざまな動きが見え始めました。主なプレーヤーは4者です。1人は日本の会計基準の設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)、そして大手企業の業界団体である日本経済団体連合会(経団連)、最後が日本公認会計士協会です。いままでのところ、日本のIFRSの動向を決めているのは大きくいって金融庁を合わせたこの4者といっていいでしょう。
まず、ASBJは従来の日本基準とIFRSとを近づけるコンバージェンス作業を続けています。9月にはそのコンバージェンス作業を前倒しして進めることを発表。12月にはIFRSや米国基準に含まれる、包括利益を日本基準でも採用するための公開草案を発表しました。IFRSについてもASBJは経団連や公認会計士協会と連携し、「IFRS対応会議」を立ち上げるなど活発に活動しています。
経団連も積極的です。前述のIFRS対応会議での活動のほかに、IFRSの任意適用を検討している20数社の会員企業が集まる「IFRSタスクフォース」を設立。IFRSを適用する場合の課題をお互いで出し合い、課題解決を検討しているといいます。経団連はすでにIFRSを適用している豪州の調査も実施。結果を発表しています。
公認会計士協会はIFRSの最新情報を紹介するWebサイトを立ち上げました。また、欧州でのIFRS適用に関するケーススタディを公開するWebサイトを開設するなど情報提供を続けています。IFRS適用で大きな働きをすると期待されている公認会計士を巡っては合格者の「就職難民」が問題化。金融庁は懇談会を立ち上げて、試験制度などの検討を始めました。
IFRSの法制度対応も2009年最後になって進みました。金融庁はIFRSの任意適用を認める内閣府令を12月に施行。また、開示のサンプルも公開し、企業の対応を後押ししています。