IDC、CRM市場動向を発表「堅調な伸び」
2000/11/21
調査会社IDC Japanは、1999年度の日本国内のCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)市場規模と今後の見通しを発表した。同社によれば、昨年度の国内CRMサービス市場は1444億円を上回り、今後5年間は年平均成長率15.8%程度で堅調に伸びると予測している。
同社が11月20日に発表したレポートでは、CRM市場の好調な成長の要因を、経営戦略におけるCRMの重要度が高まったためと見ている。企業における基幹システムの再構築への投資は活発に行われており、効果を最大に引き出すための連動したフロントオフィス機能の拡充が見こまれるという。また、従来のカスタマイズ志向から、短期に構築できるパッケージ型のCRMソリューション導入が増えており、経営者層の間ではコンサルティングなどの付加価値サービスに対する抵抗が少なくなってきたと指摘している。
技術面での傾向としては、WebベースのeCRMへのニーズが高く、ビジネスパートナーや同一産業各社との関係などから連鎖的にeCRMシステムの導入が伸びていくものと見ている。
課題としては、既存システムとの連動性があるという。CRMは、情報共有、業務プロセス連動など全社導入的要素が強く、部署ごとに異なるシステムを構築している企業ではスムーズな導入が行えないからだ。
同社では、SI各社ではサービスと製品とをセットにして販売する傾向が強く、CRM市場成長を阻害する要因の1つに挙げている。背景には、製品の売上を重視するプロダクト志向が依然として強いことがある。一方で、サービスに特化した独立系SIベンダーやコンサルティング会社の市場シェアの伸びが顕著だという。
“サービス”というテーマはSI会社に限らずメーカー各社でも持ちあがっている。今後、いかにしてサービス分野から収入を得る体質に変革を遂げるかが情報システム関連企業の成長の鍵を握ってくるといえそうだ。
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