サーバ市場のキーワードはLinux、アプライアンス、SIAS

2001/6/23

 今後のサーバ市場動向の鍵を握るのは、Linux、アプライアンス、IA(Intel Architecture)をもつSIAS(Standard IA Server)――、先日開催された「Oracle Linux Summit 2001」のセッションで、IDC Japan サーバー/ワークステーション リサーチマネージャー 塚本卓郎氏は3つのキーワードを掲げた。

 ここ数年、サーバの低価格化が進んでおり、サーバ市場の出荷台数は伸びているが出荷金額は減少している。機種別の推移を見ると、高額なメインフレーム、オフコンの出荷台数は減少の一途をたどっている。UNIX、PCは現在のところ順調に伸びているが、同社の予測ではUNIXの伸びには早晩ブレーキがかかるという。右肩上がりを固守するのはPCサーバだけになりそうだ。PCサーバが成長を続ける理由は、Webサーバ用途への高い需要とIA64登場によるハイエンド市場での採用だ。

 「サーバ市場の構成が今年大きく変わりそうだ」と塚本氏は語る。変化をもたらすのは、押し寄せるオープンシステムの波、市場の2極化だ。そして将来、オープンシステム化したサーバ市場の主役となるのが、IA64、アプライアンス・サーバ、Linuxなのだという。

 SIASでは、IA32と今年投入されたIA64により、エントリからハイエンドまで市場を拡大した。SIASの市場での競争力を分析してみると、IA32からIA64への互換性によるシステムの拡張性という点がある。価格の面でも、高可用性を低コストで実現できる。そしてWindows、UNIX、LinuxなどのOSに対応するマルチOS型を実現している。「3〜5年後にSIASの需要は大きく拡大する」(塚本氏)。

 サーバを単一機能に特化させたアプライアンス・サーバが登場したのは2年ほど前のことだ。その後、アプライアンス・サーバは急速に受け入れられ定着しつつある。OS、アプリケーションをプリインストールすることによる導入のしやすさ、運用のしやすさといったメリットを提供する。低い価格設定も強みとなり、技術者不足に悩む中小規模企業を中心に支持を集めたようだ。

 3つ目のキーワードのLinuxは、アプライアンス・サーバ、SIASの両方と密接に結びついている。

 Linux搭載サーバの予測出荷台数は2004年には50万台を上回るという。2000年は5万台にも満たない数だったことを考えると、その成長率は極めて高いといえる。現在、88%がWebサーバやMailサーバなどのWebサービスアプリケーションで、そのうちの86%がアプライアンス・サーバ、7.4%がIAサーバだ。

 Linuxは、WebサーバやMailサーバなどWebアプリケーション・サーバとしての地位は確立したといえよう。Windows、UNIXと比較して、「低価格、オープンソースである利点(容易な最適化や移植)、Webアプリケーションとの親和性などが優位性となった」と塚本氏は言う。

 IDCでは、アプライアンス・サーバに関して2004年には60万台の出荷台数を予想しており、そのうちの65%はLinuxを搭載しているという。SIASに関してもLinux搭載型の成長が見込まれている。塚本氏によれば、主要サーバベンダーからLinuxプリインストールモデルが投入された結果、2004年にはアプライアンスサーバ並みの60万台程度の出荷台数を見込んでいる。これは、SIASサーバの4台に1台がLinux搭載モデルになるということでもある。

 塚本氏は締めくくりとして、“業務に適応したソリューションがない”、“中・大規模システムに対応できない”、“信頼性に疑問”といったLinux導入否定理由が解消されつつあることに触れ、「Linuxは着実にエンタープライズへ受け入れられつつある」との見解を示した。

(編集局 末岡洋子)

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IDC Japan

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