Webサイトのパフォーマンス向上を目指し誕生する新技術

2001/8/22
By Michael D'Alise, VARBusiness 5:26 PM EST Tues., Aug. 07, 2001

 日々新しい技術が登場するハイテク業界だが、このところ注目を集めているものにWebサイトのパフォーマンスに関する技術がある。標準的なWebサイトパフォーマンス測定技術は、プローブ(探針)をインターネットのトラフィックの高いポイントに設置し、各々のページのダウンロード速度を計測する手法。

 Webサイトのパフォーマンス測定に関心を寄せるオンライン・ビジネスは増加している。Nielsen/NetRatingsが最近発表した調査レポートによれば、平均的なeカスタマーがWebページをダウンロードする際の待ち時間は、最大6〜7秒。逆にとれば、これ以上時間を要すると、顧客はより高速なサイトを探し始めるということになる。さらに、専門家の中には、今年中にこの許容範囲は5秒に縮小するという人もいる。技術開発が進み、高速サービスに対する顧客の期待値も上がるからだ。

 Webサイトのパフォーマンス測定技術の目的は、エンドユーザーと同じ状況下での効率を追跡することだ。しかし、今日市場に出回っている製品の多くは、パフォーマンスを正確に評価できているとはいえない。70〜80%のエンドユーザーが56kbpsで接続している(Jupiter Communications調べ)のに、これらの製品の評価はT-1やDSL接続のみに限定されているからだ。

 さらに、現在のWebサイト・パフォーマンス測定技術の多くは、ランダムにプローブを“インターネットのエッジ”に置くのではなく、プローブを主要地点に固定設置して測定する。これらの測定技術は確かに価値あるサービスを提供している。しかし、ランダムに設置すればより精密なパフォーマンス・データが得られるのに、そのビジネスチャンスに気がついているところは少ないようだ。

「Probester」をプローブする

 SolidSpeed Networkが開発した「Probester」は、より正確なWebサイトのパフォーマンスモニタリング技術を提供しているエンジンだ。この技術は特許取得済みで、同社はWebホスティング企業に運用管理サービスを提供している。Probesterはもともと、企業のコンテンツ配信ネットワーク(CDN)をテストするために開発された製品。同技術は、インターネットに接続した通常は使用されていないPCを用い、Webサイトのパフォーマンスをエンドユーザーのデスクトップ、つまりインターネットの外側の“エッジ”から測定する。

 Probesterは、分散コンピューティング企業と提携しており、数カ所に設置が可能。まず、リソースを提供するボランティア・ユーザーのPCのバックグラウンド・プロセスにProbesterを組み込む。URLのグループがPCに送られ、ランダムにプローブと接続する。設定されたとおりに測定を行ったProbesterは、SolidSpeed Networkに接続し、新しく得た情報をアップロードする。この新しい情報は、グラフなどに変換され、サイトの信頼性や速度を統計データとして表示する。この情報がクライアントに届けられるという仕組みだ。

 「測定量の膨大化により、正確な評価技術を提供できるようになった」とSolidSpeed Networksのビジネス開発・マーケティング担当 副社長 Dean Massab氏は語る。「Probesterはもともと、自社のCDNのパフォーマンス測定のために開発したのだが、この技術があまりにも正確なので、われわれのクライアントにも提供しようということになった」とMassab氏は種を明かす。

 この技術の採用は、ビジネスにどのような利点をもたらすのだろうか? Massab氏は、他のモニタリング・ツールやサービスに比べ、コストが低く抑えられる点を挙げる。インターネット上の数千台ものデスクトップPCから正確なパフォーマンスを測定するProbesterの手法は、コスト面でも効率的だからだ。

 Probesterにより得られたデータを“パフォーマンスの証明”に用いれば、ビジネスはより高度なSLA(Service Level Agreement)を実現することができる。「企業はProbesterのデータを利用して自社のWebサイトの設計を、カスタマーのインターネットへの接続方式(ケーブル、ダイアルアップ、DSLなど)に合わせることができる」と同社社長兼CEO Niel Dueweke氏は語る。

 1秒の差が大きな違いを生む今日の市場では、企業は、正確なWebサイト・パフォーマンス・サービスを利用することにより、ライバル企業に対して優位を保ちつつ、自社のサイトの効率性を測定できるのだ。

ボトルネック解消のためのDWDM

 Webサイト・パフォーマンス市場にはその他にも、インターネットの効率を最大限に押し上げる技術が誕生しつつある。その1つに、切迫した“インターネットのボトルネック”問題や、ビデオ・オン・デマンド、リモート・データ・ストレージなどが引き起こす帯域への高いニーズといった問題にインパクトを与えそうなものがある。それが高密度波長分割多重(DWDM)装置だ。

 業界リサーチとコンサルティングを行っているRyan Hankin Kentによれば、DWDMコンポーネント市場は急成長が見込まれる市場だという。同社では、2000年には50億ドルだったDWDMコンポーネント市場は、2004年には240億ドルに膨れ上がると予想している。同社はまた、DWDM関連の製品市場は80%以上で成長するとの予測も発表している。

 DWDMは、通信キャリアが既存の光ファイバの帯域を、ファイバを追加することなく太くできる技術だ。例えば、BTI Photonicsでは、EDFA(エルビウム・ドープ・ファイバ増幅器)製品やFBG(ファイバ・グレーティング)の開発・製造を行っているベンダだ。EDFAは、光アンプで、光信号を長距離のファイバ・ネットワーク上で増殖できるもので、FBGは、光の波長のフィルタリングやリダイレクトができるものだ。

 光コンポーネント市場の成長に対し、BTIをはじめ、多くのメーカーではDWDM関連技術に焦点を当て始めている。「DWDM製品の需要は世界的に高い。インターネットのトラフィックが増加し、帯域への需要が高まるにつれ、ネットワークのボトルネックを緩和する製品への要求は高まりつつある」とBTI Photonics社長 Vincent So博士は言う。同社はこの市場でリーダーシップを取ると意気込んでいる。

 DWDMをはじめとした新技術の登場や、Webサイト・パフォーマンス測定サービスは、ビジネスと消費者に新しい機会を提供するとともに、時代がより効率的なインターネットへ向かっていることを示唆している。

*この記事は一部編集しています。

[英文記事]
Getting a Hand On Web Site Performance

[関連リンク]
SolidSpeed

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