システム、ネットワーク、アプリの全てを一元管理

2001/8/7

 企業にとって、ネットワークや各種のシステムがますます重要な役割を担いつつあるのはいうまでもない。そして、IT管理者の業務は広範になり、複雑さを増しつつある。その傾向に拍車をかけているのが、技術者不足や予算の不足。企業のIT管理者の負荷は肥大する一方だ。

 そんなIT管理者の抱える課題を解決しようと、ネットワークインフラ管理の自動化を実現するソリューションを提供してきたのが、米コンコルド・コミュニケーションだ。同社は先日、性能管理ツールの最新版「eHealth Suite 5.0」を発表するとともに、日本市場での戦略についても明らかにした。

ブライアン・ブルバ氏 「ITインフラがビジネスをサポートすることがゴール」という同社の次の開発課題は、自己設定のエージェントなどにより管理ソフトウェアを自動化させることだという

 IT管理の自動化は“ATM”(Automating Technology Management)や性能管理ともいわれ、徐々に市場を形成しつつある分野。この市場は年率100%で成長しているという予測もある。米コンコルドでは90年代半ばより製品を投入しており、現在の顧客数は世界で2300社を超える。日本では、NTT東西各社やKDDIなどすでに150社の顧客を持つという。

 日本では、テストツールにしろ、性能監視ツールにしろ、目に見えない分野には積極的に投資をしたがらない企業が多い。が、ダウンタイムによる収入の損失は無視できない金額にのぼるという。「2年前に米イー・ベイで起きた22時間のダウンタイムで、イー・ベイは500万ドルものオークション手数料を返金した。米フォレスター・リサーチでは、ダウンタイム1分につき想定される収入損失は8000ドルと発表している」と同社プロダクト・マーケティング担当 副社長 ブライアン・ブルバ(Brian Burba)氏。投資したシステムを最大限に活用するためには、効果的な性能管理は不可欠と続ける。

 同社が発表した「eHealth Suite 5.0」は、システム、ネットワーク、アプリケーションの3つについて、障害、性能、可用性の3つの点で管理する。これにより、システムダウン防止、パフォーマンスの維持のために必要な管理が同時に実現するという。

 例えば、「Fault Manager」機能。全ての警告がクリティカルなものとは限らない。ビジネス活動に影響を与えるような警告かどうかが分かれば、管理者は余計な作業に手間取る必要がなくなる。Fault Manager機能では、管理者が動的にしきい値を設定し、クリティカルな警告だけを受信することが可能となる。

 他にも、グラフィカルに全システムのステータスを表示し、障害発生箇所のドリルダウン表示も可能な「Live Status」や、アプリケーションの応答観察結果が把握できる「Application Response」などの機能がある。また、無線LANやVOIP、ケーブルモデムにも対応する。

 同社は、2001年2月に日本法人を設立し翌3月より本格的に業務活動を開始した。アジア・パシフィックは特に成長が見込まれる市場であることから、積極的に販売・マーケティング活動を展開して行く。日本法人代表取締役社長 遠藤道義氏は、「SLAという概念がなかった時代から性能管理ツールを提供してきた。日本でもこれからますますSLAやQoSが求められてくる」とし、エンド・ツー・エンドで統合的に一元管理できる点を差別化として展開していくと述べた。

(編集局 末岡洋子)

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コンコルド・コミュニケーション

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