[e-Learning WORLD 2002開催]
これからの人材育成にこそeラーニングが必要
2002/7/25
eラーニングに関する総合展示会「e-Learning WORLD 2002」とセミナー中心の「e-Learning Forum 2002 Summer」が、7月24〜26日の3日間、東京ビッグサイトで開催されている。
e-Learning WORLD 2002実行委員会の委員長 岡本敏雄氏 |
開催に当たって主催したe-Learning WORLD 2002実行委員会の委員長 岡本敏雄氏(電気通信大学大学院 情報システム学研究科 教授)が、日本においてeラーニングが果たす役割について語った。岡本氏まず、現在の日本経済の状況の悪さに触れ、過去の「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」の時代は終わり、右肩下がりの時代に入ったという。
また、以前は経済大国になった日本の原動力である教育を視察するため、多くの国の教育関係者などが来日したが、いまではほとんどないという事実を紹介した。そのうえで、「日本人は働かなくなったのではないか。また、甘えやおごりなどといったメンタリティが生じてきたのかもしれない」と指摘する。そのため、「いま一度日本人のメンタリティを立て直す必要がある。これはそのまま人材育成という点にある。単に知識を獲得するというのではなく、自立して責任を持ち、変化に対応でき、生産的に協調できる人が求められる。eラーニングはまさにこうした点を(学習するうえで)求められる」と述べ、日本における人材育成に、eラーニングが役立つとの考えを明らかにした。
木村太郎氏は、最近は書店に行かずほとんどインターネットで書籍を購入するという |
続いてジャーナリストの木村太郎氏が、「e-ラーニングで日本はこう変わる――IT革命の先にあるもの」と題した基調講演を行った。木村氏はまず、“e-”とつく言葉がいくつあるかを会場の聴衆に尋ねてから、実際にGoogleを利用して検索したところ、その数は約4億1600万。会場での予測は多くとも千万単位の予測だったが、それを1けた上回る結果。それを示しながら、「現在のパラダイムシフトとeラーニングは結びついているのではないか? IT革命で変わる日本の中で、eラーニングが大きな役割を果たすのでは」という、大胆な仮説を紹介した。
木村氏は、現在新たなパラダイムシフトが起きていると語る。それがトーマス・フリードマン(『ニューヨーク・タイムズ』の記者)のいう地球化(グローバル化)だという。その時代のため、今後新たな教育が必要になるという。それは大衆教育ではなくて個別教育が、国ごとの教育ではなくて国境を越えた教育が、知識ではなくて知性を重視する教育が必要だと述べる。そして、「そこで、eラーニングが必要になるかもしれない。eラーニングは、新しい時代の担い手を育てるかもしれない」と結論づけた。
このように、岡本氏も木村氏もeラーニングは、これからの人材育成にこそ必要だという認識を示した。その意味では、今後の企業の命運を握る人材を育てるためには、eラーニングをいかにうまく活用できるかにあるといえそうだ。
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