第3世代eラーニングの条件は、人事管理システムとの連携

2002/5/10

 経済環境の激変は、企業の人材育成のあり方にも変更を迫っている。従来のような集合研修とOJT(On the Job Training)との組み合わせでは、環境の変化の早さに対応できないためだ。

 だが、企業での人材育成を担う人事部は、長引く不況もあって研修費用などは抑えられる傾向にある。こうした中で注目されたのが、低コストで環境の変化にも対応でき、効果も高いといわれたeラーニングによる研修だ。

 確かに当初はそうした低コストの研修システムや、自動申し込み、スケジューリング、予算管理などを目的にeラーニングを導入する企業があった。しかし、いまはその段階をすでに終わったというのは、企業向けにeラーニングシステムの開発や販売などを手がける、米ドーセントの社長兼CEO R.アンドリュー・エッカート(R. Andrew Eckert)氏だ。「そうした第1世代のeラーニングから、学習活動の一元管理や研修結果のトラッキングを行え、さらにコンテンツのマネジメントが可能となる第二世代へと移行した。そして今後企業は、人事システムと結合、連携できるeラーニングシステムを求める新しい第3世代へと移行する」と語る。

ドーセント 代表取締役社長 村上憲郎氏

 日本でもその傾向が見え始めていると認めるのは、昨年11月にドーセントの日本法人設立とともにその代表取締役社長に就いた村上憲郎氏。村上氏は、「昨年11月に日本法人を設立し、パートナーとともに企業と話をすると、今後1、2年でとりあえず給与などの人事管理システムの基本部分を更新するが、その際にそのシステムと連携できるeラーニングシステム」を求められるという。

 こうした企業の要望を実現するために、ドーセントはEAIベンダのシービヨンド・テクノロジー・コーポレーションと提携し、同社のeラーニング・ソリューション・スイートの「Docent Enterprise 6.0」と、人事管理システムを接続、連携するためのコネクター「Docent Enterprise Connector」を販売することを発表した。すでに両社は欧米でも協力関係にあり、いくつかの人事管理システムとの連携実績があるという。Docent Enterprise Connectorは、シービヨンドのeビジネス統合プラットフォーム「eGate Integrator」を基に開発されている。これにより、社員データに社員の研修制度の履歴や結果などをDocent Enterpriseから抽出して一元管理することが可能になる。

 ドーセントが開発・販売するDocent Enterprise 6.0は、同社最新のeラーニング・ソリューション・スイートで、ラーニング管理を行うソフトウェア「Docent LMS」とコンテンツ管理を行うソフトウェア「Docent LCMS」から構成されている。これらの製品の特徴は、英語、日本語などの主要言語に対応すること、AICC&SCORM 1.2に準拠していること、コンテンツの互換性が高いこと、集合研修、オンライン、バーチャルクラスなどの管理が可能なことなどが挙げられる。

 同社は昨年11月に日本法人を設立し、アクセンチュア、プライスウォーターハウスクーパーズ、NEC、CSKなどが同社のパートナーとなっている。今後はNECとCSKとともにDocent University Japanを作るほか、サポートやサービスにも力を入れていきたいという。日本法人の今年の目標は、トライアルを含め、50社程度への導入が決まることだという。

[関連リンク]
米ドーセント
シービヨンド・テクノロジー・コーポレーション

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