SRAの傘下に入るターボリナックス、「安心を与えたかった」
2002/8/21
SI事業者のSRAは8月20日、米ターボリナックスのLinux事業および日本法人のターボリナックス ジャパンを買収することで合意したことを発表した。SRAは新会社「ターボリナックス」を設立し、米ターボリナックスが参画していたUnitedLinuxなどのLinux事業を引き継ぎ、日本およびアジア市場を中心に展開していく。米ターボリナックスは「Centerlex」と社名変更し、PowerCookpit事業のみを継続することになる。
新会社のCEOに就任予定の渡邊肇氏 |
今回の買収によりSRAは、日本はもとより、米ターボリナックスが韓国や中国に持っていたグループ会社を傘下に収め、Linux事業を展開していく。当面の活動の中心は、米ターボリナックスが、米カルデラ、ブラジルのコネクティバ、独SuSE Linuxとともに今年6月に米国で発足させた、Linuxの共通ディストリビューション「UnitedLinux」関連となる見込みだ。これまで米ターボリナックスおよびターボリナックス ジャパンが進めてきた主要な提携や契約に関しては、これまで通り継続していくという。
SRAは業界では古参の創業35年で、1984年にはUNIXを日本で初めて商用OSに仕上げた経緯も持つ。以前からオープンソースやフリーソフトウェアを支援しており、Linuxに関しても3年ほど前から企業向けに推進してきたという。今回の買収に関して同社 代表取締役社長 丸森隆吾氏は、「日本からUnitedLinuxなどのオープンソースの活動に参加し、ビジネスにしていきたい」と期待を語る。
COO兼代表取締役社長に就任予定のターボリナックス ジャパンの代表取締役社長 矢野広一氏 SAPと提携し、ERPのLinux版展開などエンタープライズ領域に進出する計画もあるという |
新会社ターボリナックスの経営陣は、CEO兼代表取締役会長に現SRA 取締役 マーケティングカンパニー プレジデントの渡邊肇氏が、COO兼代表取締役社長にターボリナックス ジャパンの代表取締役社長 矢野広一氏が就任する予定。事業部としては、日本市場の事業部と、韓国や中国など日本市場以外の事業部の2組織での運営体制を築く。また、SRAとの協業により、PostgreSQLを搭載した「TurboDB 7」を発表する予定もある。データベース市場で、PostgreSQLを事業として確立していくというものだ。これらの事業により、SRAでは、現状年間売上高15億円程度のLinux関連事業を、2004年には55億円程度にまで成長させる予定だ。
ターボリナックスは、Linuxとしていち早く2バイトに対応するなど、日本や中国などアジア市場では高いシェアを誇ってきたが、米国ではレッドハットに押され気味だった。今回の買収により、当面はUnitedLinuxをコアに、アジアにフォーカスしたディストリビュータとしての地位確立を目指すことになる。ターボリナックス ジャパンで社長を務めてきた矢野氏は、課題として市場不安の払拭を挙げる。「製品やサポートにクレームはなかったが、経営基盤に不安の声があった。SRAの傘下に入ることにより、顧客に安心感や安定感を与えられるようになる」(矢野氏)。
米ターボリナックスのCFO Ernst J. Cicogna氏によると、Centerlexと社名変更して引き継いでいるPowerCookpit事業に関しても、パートナーを探している状態という。
(編集局 末岡洋子)
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SRA
ターボリナックスの発表資料
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