EMCがCASで開拓するストレージの新分野とは
2002/10/26
EMCジャパンのコンテンツ アドレスド ストレージグループ テクニカル・ビジネス・コンサルタントの柳生田一範氏 |
ストレージで保存するデータには、企業が日々蓄積していくデータのほか、デジタル医療データや放送データ、電子ドキュメントなど、編集が終了した後、変更されないフィックス・コンテンツと呼ばれるデータがある。これらのデータは、磁気テープなどに保存してオフラインで管理することが多いが、データを探し出すのが困難だったり、データが膨大になるとコストがかかるなど使い勝手が悪かった。
EMCジャパンが9月に発売したストレージ製品「EMC Centera」は、このフィックス・コンテンツがターゲットの製品。EMCはCenteraで、ストレージ製品がこれまで入り込んでいなかった医療など新分野を開拓する方針。Centeraを効果的に利用できるアプリケーションも登場し、国内での普及を急ぐ。
Centeraは保存したデータのコンテンツごとに固有のアドレスを発行する。放送などのアプリケーション・サーバは物理的な格納場所がわからなくても、アドレスを指定するだけでコンテンツを呼び出すことができる。コンテンツの管理を簡単にすることで、完全性と長期保存性を高め、テラバイトからペタバイトまでの拡張性を備えている。EMCジャパンのコンテンツ アドレスド ストレージグループ テクニカル・ビジネス・コンサルタントの柳生田一範氏はCenteraについて「データ保存の手間を最小にする製品で、管理コストをできるだけかからないようにする」とメリットを説明している。
Centeraの対応アプリケーションも出始めてきた。レガートシステムズはEMC Centera向けのバックアップアプリケーション「DiskXtender」のUNIX版を12月に発売する。Windows版は8月に発売しているが、Centeraの利用が必要になるような大規模システムを所有する企業はUNIXを採用している場合が多く、UNIX版の登場が待たれていた。
レガートが発売するCentera用バックアップツール「DiskXtender Unix for Centera」は企業が蓄積したさまざまなデータの中から、使用度の低いデータを自動的にCenteraに移し、よく使用するデータはSANなど通常のストレージにバックアップする。新たにバックアップするのは内容が変更されたデータだけなので、バックアップ時間を短縮できる。レガートの取締役副社長 営業担当 内山潔氏は「Centeraを使うことで、システム管理者を介さずに直接データを取り出すことができるようになり、管理コストの削減にもつながる」と述べ、「CentraとDiskXtenderの組み合わせがベストのソリューション」と強調した。
内山氏によると、CentraとDiskXtenderの売り込み先として小切手や印影のイメージ画像を管理する銀行や、カルテ、レントゲン画像を蓄積している医療関係、電話の通話内容を録音している警備会社や救急医療機関などが考えられるという。一般企業に対してもメールサーバと連動させることで、電子メールの長期保存やメールサーバの負荷の軽減につなげることができるという。
EMCの柳生田氏はCenteraについて「医療分野をはじめ、企業の文書管理やボイスレコーディングなど多くの引き合いがすでに来ている」と説明。「Centeraとデータ通信ができるAPIを組み込んださまざまなジャンルの製品が今後多数登場するだろう」と述べて、新分野開拓が順調に進むとの考えを示した。
(垣内郁栄)
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