[Internet World Asia 2002開催]
Webサービスは21世紀のTCP/IP

2002/12/6

日本IBMの東京基礎研究所 工学博士 丸山宏氏。「よく知られる技術で相互運用性を実現するのがWebサービスの考え方」と述べた

 日本IBMの東京基礎研究所 工学博士 丸山宏氏は、12月4〜6日に開かれている「Internet World Asia 2002」でWebサービスについて講演し、「Webサービスは生産性のために使われる段階に入った」と述べ、Webサービスの実用化が本格化したとの考えを示した。

 丸山氏はIBMのWebサービス開発でのキーパーソンの1人。主にセキュリティを担当している。丸山氏はXMLについての議論が1996年ごろから始まったことを紹介し、UDDIコンソーシアムが設立された2000年9月から、Webサービスという言葉が使われるようになったと説明した。そしてWebサービスの実用化が本格化した2002年も「Webサービスにとって1つの節目になる年だ」と述べた。

 だが、Webサービスが世に出て約2年たち、Webサービスの定義が変わってきているという。丸山氏によるとWebサービスの定義とは、「URIによって識別され、インターフェイスおよびバインディング情報がXMLによって定義、記述、検索が可能。インターネットプロトコル上のXMLのメッセージを主に使用して、ほかのWebサービスと交信するアプリケーション」だという。「必ずしもUDDIは主要な要素ではない」という考えもあるとした。

 そのうえで丸山氏はWebサービスは現在、2つの点で注目されていると説明。1つは、「WSDLで記述されるアプリケーションとしてのWebサービス」で、「エンタープライズWebサービス」と呼ばれ、主にイントラネットアプリケーション同士の接続に利用が期待されている。もう1つは、「SOAPで呼び出せるアプリケーションとしてのWebサービス」で、「XML Webサービス」と呼ばれ、社外アプリケーションからの接続に利用される。丸山氏は「IBMはXMLで記述されたWebサービスが重要と考えている」と述べて、エンタープライズWebサービスに注力する考えを示した。

 丸山氏はWebサービスの今後の方向性についても説明。Webサービスについては、新しいソフトウェアや新しいアーキテクチャとして紹介されることが多いが、これは誤りで「ビジネスプロセスを、よく知られたWeb技術に基づいて再利用可能にし、素早いインテグレーションを可能にする考え方」と指摘。そのうえでWebサービスの方向性としては「ビジネスプロセスを部品化、統合するための枠組みとしてのWebサービス」と「新たな相互運用性を実現する枠組みとしてのWebサービスがある」と述べた。

 丸山氏はさらに自身の考えとして「通信インフラとしてのWebサービスがあるのではないか」と提起。「ファイアウォールやローカルIPアドレス、家電ネットワークなどで2000年代のネットワークはバラバラになってきている」と指摘し、「Webサービスのプロトコルが個々のネットワークを超えた、ユニバーサルな接続性を提供する」と意義を強調した。そのうえで、丸山氏はTCP/IPがネットワークを超えた接続性を提供したことを挙げて、「Webサービスは21世紀のTCP/IPである」と宣言。「Webサービスによってユニバーサルな接続性が保証される時代が来る」と予測した。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
日本IBM
Internet World Asia 2002

[関連記事]
「WebSphere V5.0」登場、Webシステムの自律化へ一歩前進 (@ITNews)
Project eLizaの最新成果はTivoli (@ITNews)
日本発オープンソース開発プロジェクトが世界へ (@ITNews)
自らを再構築したノベル。新戦略のカギはWebサービス (@ITNews)
Webサービスで異なるDBを統合、IBMがDB2の新バージョン発表 (@ITNews)
「WebサービスにはJavaが最適」 とサンが強調 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)