企業間コラボレーションは欧米企業に学べ
2002/12/6
「SCMを導入しても需要予測ができずに在庫が減らなかったり、欠品が増加するなど十分な効果が出ていない企業が多い」。調査・コンサルティング会社のアイ・ティ・アール代表取締役 内山悟志氏は12月5日に開かれた「大塚商会 B2B ソリューションセミナー」でこう述べ、Webサービスを活用した企業間コラボレーションの促進が必要との考えを示した。
アイ・ティ・アール代表取締役 内山悟志氏 |
内山氏は国内企業のサプライチェーンが抱える問題として「SCMが柔軟性を欠き、在庫が増大したり欠品率が上昇したりして、計画変更が難しくなっている」と指摘。それにより販売機会損失が増加したり、不良在庫が増えるなどして「キャッシュフローを圧迫している」と述べた。
一方で、内山氏によると欧米を中心に企業間コラボレーションを行う企業が増えてきたという。企業間コラボレーションは、ほかの企業とパートナーを組んで商品開発や配送、マーケティングなどを分担して行うこと。サプライチェーンの一部をほかの企業と共有することで、ビジネスプロセスが効率化するという。
企業間コラボレーションを適切に実現するには、企業内をはじめ、企業間の異なるシステムやアプリケーションを統合し、連携させる必要がある。内山氏の説明では、システムの統合にはWebサービスが最適で、「データ追加や機能拡張など変更に強いサービスを実現できる」という。企業内にある既存の販売管理システムとWebサービスのアプリケーションを連携させて、在庫の確認をスムーズにできるという。
内山氏によると、アイ・ティ・アールが提携する米METAグループは、「2003年までにWebサービス対応型ビジネス・アプリケーションが数多く現れて、2004年、2005年にはWebサービス標準が普及することで、独自方式による企業間連携ツールは存在意義が薄れる」と予測しているという。そのうえで内山氏は、「複数の企業間でWebサービスを利用するにはXML文書の用語定義や、ワークフローの定義を共通化する必要がある」と指摘した。
内山氏はWebサービスを利用した欧米企業のビジネスの事例を紹介。ノルウェー最大の金融機関「Storebrand ASA」は、管理している顧客企業の年金計画システムをWebサービス化して、各企業にある給与計算システムから自動でデータを取り込めるようにしたという。Webサービスを利用することで、年間1万時間かかっていた手作業の処理を大幅に削減できたという。米百貨店大手のオンライン販売「ノードストロム・ドットコム」でも、49社のサプライヤとWebサービスを利用したシステムを構築。受発注処理や在庫管理を効率化させた。以前は1日半かかっていた顧客からの注文確認時間を20分に短縮できたという。
内山氏は企業間コラボレーションの構築を目指す日本企業に求められることとして、パートナーシップやコラボレーションを理解し、促進することや、XMLなど技術の標準化を促進することを挙げ、「欧米の企業間コラボレーションから学ぶ点もある」と述べた。
(垣内郁栄)
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