[LIVE 2002 TOKYO開催]
電子購買の秘けつは「社内コンセンサス」、とHP
2002/10/31
日本アリバが10月29、30日に開催したプライベートイベント「LIVE 2002 TOKYO」で新生ヒューレット・パッカードの購買戦略が明らかになった。これまで日本ヒューレット・パッカードはアリバの購買システムを利用し、コンパックコンピュータは別の会社の購買システムを利用していたが、合併を機にアリバに統合するという。HPはまた、アリバのソリューションパートナーで企業に対してアリバ製品を推薦する立場。新生HPは世界規模の購買システムをどう活用しているのか。購買システムの導入を検討している企業にとっても有用なアドバイスが聞かれた。
ヒューレット・パッカード・ソリューションデリバリ(HPSD)のB2Bソリューション部長 万仲茂氏 |
LIVE 2002 TOKYOでは日本ヒューレット・パッカードの執行役員 マーケティング統括本部長 松本光吉氏と、米HPと丸紅、日立ソフトウェアエンジニアリングが合弁で設立したヒューレット・パッカード・ソリューションデリバリ(HPSD)のB2Bソリューション部長 万仲茂氏が講演し、新生HPの購買戦略を説明した。
松本氏は新生HPの購買システムについて「まだ正式には発表できないが……」としながらも、「全世界でアリバの購買システムを導入する」ことを明らかにした。万仲氏によるとHPがアリバの購買システム「Ariba Buyer」でやりとりしているのは、コンピュータ部品などの直接材ではなく、間接材と呼ばれる広告宣伝、IT機器、オフィス用品、出張費、人材派遣費など。HPの世界での年間購入費用は、総額で8800億円に上り、Ariba Buyerの導入で、400億円程度のコスト削減になっているという。万仲氏はAriba Buyerの導入メリットとして、「売り上げ、利益の双方に貢献するだけでなく、社内の業務プロセスの効率化につながる」と説明。新生HPは全社の目標として、年間に購入する間接材のうち、発注数で95%をAriba Buyerで購入し、金額ベースでは90%をAriba Buyerで発注することを挙げている。
アリバの購買ツールを社内で運用し、さらにソリューションパートナーを務めるHPSDが、購買システム導入のポイントと考えていることは、サプライヤを集約することと、社内の統制、業務プロセスを効率化すること。万仲氏によると、この中で最も重要で、提案する企業に対しても呼びかけているのは社内統制。購買の新しいシステムを導入する場合、これまでのシステムに慣れた社員の間で戸惑いが広がることがある。この戸惑いを解消するためには「ツールのあるなしではなく、社内のコンセンサスが最も重要」と万仲氏は述べた。
万仲氏はまた、Ariba Buyerを社内で利用して学んだこととして「ツールに過大な期待をしない、目的と範囲をはっきりさせる、プロセス変更による関係者の調整を行う」などを挙げて、「考えることは簡単だが、実行は難しい」と活用の難しさを率直に述べた。HPはアリバの購買システムを企業に提案すると同時に、社内でも活用しているという最も正直な立場にいる。HPが講演で明らかにした電子購買の課題や活用の秘けつは、導入を考えている企業の参考になりそうだ。
(垣内郁栄)
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