インテルから独立したLANDesk Software、狙いはMSのOS

2003/1/17

 インテルの「Intel LANDesk」を引き継ぎ設立され、製品の開発・販売を行う新会社、LANDesk Softwareの記者発表が行われた。同社代表取締役 井手龍彦氏は「われわれの会社名はアルファベットのLANDesk Softwareです」とあいさつ。これまで日本で認められていなかった英文(アルファベット)表記での会社名が2002年11月より解禁されたのを受け、英文の会社名にしたことを明らかにした。

 同社の主要製品は、クライアントPCのハードウェアやソフトウェアを集中管理するためのソフトウェア「LANDesk Management Suite」、リモートコントロールなどによりユーザー支援を行うソフトウェア「LANDesk Instant Support Suite」、それにネットワークに接続されたPCの管理ソフトウェア「LANDesk Client Manager」など。今回は日本法人の設立発表とともに、LANDesk Management SuiteとLANDesk Instant Support Suiteの新バージョンも発表した。

 「LANDesk Mangement Suite v6.6」は、アプリケーション配布などの機能などに加え、OSの配布機能を追加したことで、複数のクライアントPCにOSやアプリケーションをネットワーク経由でインストールしたり、OSのアップグレードなどができる。対応OSは、Windows系のOS(同製品だけで対応できるファイルシステムはFATとNTFS)。ただし、他社製のツール(シマンテックの「Norton Ghost」やネットジャパンの「Drive Image」と組み合わせることで、LinuxなどのOSにも対応可能となる。

 OS配布機能の搭載で同社が期待するのは、マイクロソフトがOSのサポートを終了することに伴う“OSのアップグレード特需”だ。マイクロソフトは、MS-DOS、Windows 3.1、Windows 95のサポートを2002年12月31日で終了した。また、Windows NT 3.5/3.51は今年3月31日、Windows 98/98 SE、Windows NT 4.0は来年の6月30日でサポートが終了する。サポート期限を迎えるこうしたOSのアップグレード時に、同社のソフトウェアの導入をユーザー企業に積極的に働きかける狙いがある。

 LANDesk Mangement Suiteは、同社のLANDesk Targeted Multicastテクノロジを利用することで、さらに複数のPCにマルチキャストで一斉にアプリケーションを配布できる。その際、従来サブネットごとに必要だったマルチキャストサーバは不用になるという。

 「LANDesk Instant Support Suite Pro」は、トラブルが起きているクライアントPCの画面をリモート操作して、トラブルシューティングを図ることができる。今回のバージョンの最大のポイントは、ファイアウォールやNATなどがあっても、その先にあるPCと接続し、リモート操作ができる点だ。

 LANDesk Softwareが狙うシステム管理・統合管理ツールは、ヒューレット・パッカードの「HP OpenView」や日立製作所の「JP1」など、海外・国内の大手ベンダがこぞって競争を繰り広げるし烈な分野だが、IT投資が細る中でも数少ない有望分野でもある。インテルという傘がなくなり、生き残る道は? 井手氏はそれについて「確かに競合する部分はあるが、当社の製品の一部をライバル企業に提供している事実もある。また、当社の製品はより現場に近いという認識があるが、他社の製品はもっとエンタープライズ分野に特化していると考えている」と説明し、土俵が違うという見方を示し、「競争に巻き込まれないだろう」と予測する。

 インテル時代と異なり、顧客やシステムインテグレータからの要望があれば、製品の一部の機能を切り出して積極的に提供する、という姿勢は注目に値するだろう。これまでにはできなかった小回りのきく展開を行っていく意気込みを感じる。

 井手氏は「現在OEMが7割、ライセンスビジネスが3割。これを5割ずつの構成にしたい」と今後の売上構成比率の希望を語ったが、こうした部品・モジュール提供の拡大によっては、OEMの売り上げがもっと伸びる可能性もありそうだ。

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LANDesk Software

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