ストレージソフト市場が前年比減、回復の起爆剤は仮想化技術

2003/1/23

米IDCのストレージソフトウェア リサーチディレクター ビル・ノース氏

 米IDCのストレージソフトウェア リサーチディレクター ビル・ノース(Bill North)氏は、IDC Japanが主催したイベント「Japan StorageVision 2003」で講演し、「世界のストレージ関連ソフトウェアが2002年に初めて前年比減となった」と述べた。企業が新たなIT投資を世界的に控えていることが原因。だが、ストレージを仮想化して運用、管理する流れが進むことで、「相互運用性の向上と標準化が進み、ベンダによる独占がなくなりつつある」と指摘した。

 IDCはストレージソフトウェアに関する世界市場規模の予想を、昨年11月に下方修正した。昨年6月に発表した従来の予想では、2001年から2006年までのストレージソフトウェアの年平均成長率は17.1%としていたが、昨年11月に8.4%に改めた。2006年のストレージソフトウェアの市場規模は従来は135億ドルになると予想していたが、43億ドル引き下げて、92億ドルに修正した。

 ストレージソフトウェア各分野の2006年までの成長率は、昨年11月修正後の数値で、バックアップ、アーカイブ分野が9.2%、ストレージ・リソース・マネジメント分野が10.3%、レプリケーション分野が6.5%、その他ストレージソフトウェアが1.4%と予想。2002年に前年比減となったストレージソフトの市場が回復するのは2003年下半期になってからだという。

 ストレージソフトウェアを健全な成長の道筋にあらためて乗せる技術としてノース氏が期待しているのがストレージの仮想化。ノース氏は「ストレージのアーキテクチャがモジュラー化されることが多くなり、管理するために新しいソフトウェアが必要とされている」と述べて、仮想化技術が求められている背景を説明した。

 ただ、ストレージを仮想的に統合することでシステムを単純化するはずの仮想化技術が、逆に「ストレージ管理を複雑化している」とノース氏は指摘。「技術的に成熟するまでは、ストレージ仮想化の市場が広がるペースは遅いだろう」と述べた。

(垣内郁栄)

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IDC Japan

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