「成功例が増える前にWebサービス参入を」とガートナー
2003/2/28
米ガートナーのバイスプレジデント兼リサーチディレクター イェフィム・ナティス氏 |
「WebサービスはSOAP、WSDL、UDDIの3つの規格からなる。3つのうち、いずれか1つを採用しているサービスをWebサービスと呼ぶ」。ガートナージャパンが開催したイベント「Gartner IT Summit」で、米ガートナーのバイスプレジデント兼リサーチディレクター イェフィム・ナティス(Yefim Natis)氏はWebサービスをこう定義した。
今回のGartner IT Summitのテーマは「アプリケーション統合&Webサービス」で、ガートナーのアナリストやベンダの担当者がテーマに関する講演を行った。ナティス氏は主にWebサービスの現状と今後の普及について語った。
ナティス氏は「Webベースのサービスにはいくつもの段階がある」と説明し、その中でWebサービスの定義も上記のように指摘した。だが、Webサービスには誤解も多く、2年前に開催したガートナーのイベントで、ナティス氏が聴衆に対して「自社でWebサービスを導入したり、開発している人はいるか」と尋ねると、80%以上の聴衆が手を挙げたという。ナティス氏は「ありえない。少しでもWebをフロントエンドに使っているサービスがすべてWebサービスと思われていた。その答え自体がWebサービスが理解されていなかった証拠だろう」と指摘した。
SOAP、WSDL、UDDIのうち、いずれか1つでも利用しているサービスを、Webサービスと呼ぶのに対して、すべてを利用しているサービスをナティス氏は「Well-behaved Services」と呼んでいる。3つの規格に加えて、ebXMLやWS-T、WS-Cなどに広く対応するサービスは、ナティス氏によると「Enterprise Services」だ。
ナティス氏はWebサービスのハイプカーブも講演で示した。ハイプカーブはサービスの普及状況を示す図で、ガートナーがよく利用している。「若干修正した」というハイプカーブによると、Webサービスは、ユーザーがWebサービスの長所と短所やインパクトの大きさを知って本格化に向かう状態で、しばらくすると膨らんでいた期待が幻滅に変わる。だが、2004年から2005年に再び持ち直してくるという。
また、ナティス氏が示した別の図によると、Webサービスは2003年から2005年までは、大企業がベンダの強力なサポートを受けて、大規模な導入実験を行う「ショーケース・デプロイメント」の時期。ショーケースから本格的な普及期に向かうには、あと12〜24カ月が必要で、ナティス氏は「Webサービスの成功例がしきい値を超えて、一般的に広がっていくだろう」と説明した。
ポイントはそのしきい値を超える前にWebサービスを開発するか、それともしきい値を超えた後に開発するのかということ。ナティス氏は「しきい値を超える前にWebサービスの開発を始めた方が競合他社に対するアドバンテージは大きい」と述べ、「しきい値を超えた後にWebサービスに参入しても競合他社に追いつくために開発しないといけない。すぐにWebサービスの実験を始めるべきだ」と指摘した。
(垣内郁栄)
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