iSCSIを使ったIPストレージ時代がやってきた

2003/5/28

 ネットワールドとネットマークス、米SANRADの3社は、SANRADのストレージ仮想化スイッチ製品「iSCSI V Switch 3000」を6月1日に出荷開始すると発表した。iSCSI V Switchは、サーバ群とはiSCSIを使用して通信し、ストレージ群(ディスクやテープ)とはファイバ・チャネルか従来のSCSIインターフェイスで接続するのが特徴。

米SANRADのストレージ仮想化スイッチ製品「iSCSI V Switch 3000」

 ストレージ業界では「iSCSIかファイバ・チャネルか」という問題がしばしば議論されているが、iSCSI V Switch 3000のポートは、ギガビットイーサネットとSCSI、ファイバ・チャネルのポートがあり、ユーザー環境に合わせて選ぶことができる。希望小売価格は、ギガビットイーサネットを3ポート、ファイバ・チャネルを2ポート、SCSIを2ポート搭載した「iSCSI V Swicth 3000 - Combo」が397万8000円。3社は今後1年で100台の出荷、3億5000万円の売り上げを目標にしている。

 「iSCSIでSANを構成するにはまだ早いとする見方もあるが、iSCSI V Switch 3000の登場でiSCSIを用いたIPストレージの時代がやってきた」とネットワールド 営業支援本部 取締役本部長の森田昌一氏は、iSCSIの準備が整ったことを強調した。2000年に設立されたSANソリューションベンダ、米SANRADのCEO シャル・ガロ(Shaul Gal-Oz)氏も「標準化の遅れで、iSCSIマーケットの立ち上がりが遅れた。しかし、マイクロソフトがWindowsサーバ用のiSCSIドライバを近く提供することからわかるように、今後最もポテンシャルのある市場といえる」と森田氏を加勢した。

米SANRAD CEOのシャル・ガロ氏。「IP-SANでストレージ管理費用は75%削減できる」と述べた

 ガロ氏によると、SANRADはiSCSIを使って米ミシガン大学のユニファイド・メッセージングサービスのシステムを構築。8万5000のクライアントにボイス、ファクス、電子メールサービスを安定して提供しているという。

 また同氏は、ストレージ仮想化に関するiSCSI V Switch 3000と、大手ストレージベンダの仮想化スイッチとの差別化ポイントを説明。「他社のストレージがサーバ側か、ストレージ側のどちらかで仮想化を実現しているのに対して、iSCSI V Switch 3000はサーバとストレージの間に設置して、ストレージの仮想化を実現できる」と述べ、「マルチベンダ環境で構築されたSANを管理する際、iSCSI V Switch 3000が実現するサーバとストレージ間の仮想化は、最も柔軟性の高い方法だ」と強調した。

(編集局 富嶋典子)

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