HPの自信作、Madison対応のHP-UX新バージョン

2003/6/11

米HP Business Critical Systems Marketing HP-UX Marketing Manager マイク・ワードリー氏

 日本ヒューレット・パッカードは6月10日、インテルのItanium 2の次期バージョン(コードネーム:Madison)を搭載するHP Itaniumサーバに対応したHP-UXの新バージョン「HP-UX 11i version2」を7月1日に販売すると発表した。

 今回発表したHP-UX 11i version2は、同社のエンタープライズ戦略を占ううえで大きな意味を持つ。
 
 HP-UXが登場したのは1980年代後半。HP-UXは当時、市販された初のRISCアーキテクチャだったPA-RISCをべースとしており、HPのエンタープライズ戦略の中核を担うプラットフォームとなり続けた。しかし、1990年代以降のオブジェクト指向プログラミングの導入で、状況が変わり始める。階層的な性質を持つオブジェクト指向言語で開発されたプログラムは、旧世代の言語を使用して開発されたプログラムと比較して圧倒的に分岐が多く、極端にいえば、RISCアーキテクチャでは、使用可能な処理能力の半分以下しか使用されないという状況が生み出されたのだった。その後、インテルとHPがEPICアーキテクチャをベースとした64ビットチップの開発を開始した話は有名である。紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、登場するMadisonは、まさにHPがようやく手に入れた次世代型のチップであり、同チップに対応したHP-UX 11i version2は、これまで同社が築いてきたPA-RISC/HP-UXベースの既存資産を引き継ぎながら、「アダプティブ・エンタープライズ戦略」を展開する基礎にもなる。

 米HP Business Critical Systems Marketing HP-UX Marketing Manager マイク・ワードリー(Mike Wardly)氏によれば、PA-RISCとItaniumアーキテクチャ間におけるマシンレベル命令の1対1マッピングが可能である。そもそもPA-RISC仮想メモリアーキテクチャがItaniumに使用されている。さらに、データフォーマットもPA-RISCとItaniumでまったく同じだ。アプリケーション互換性も確保されており、バイナリ、データ、アプリケーションビルドなどの各互換性を保持している。

(編集局 谷古宇浩司)

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