「Webサービスはコスト問題を解決する」とノベル
2003/7/9
米ノベルのワールドワイド戦略担当 バイスプレジデント カーク・クラッソン(Kirk M. Klasson)氏は、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズが開催したイベントで講演し、「インターネットやソフトをサービスとして考えることが重要だ」と述べ、サービス・オリエンテッド・アーキテクチャ(SOA)への取り組みが企業の成長に結び付くとの考えを示した。
米ノベルのワールドワイド戦略担当 バイスプレジデント カーク・クラッソン氏 |
クラッソン氏は企業システムが抱える問題点として、「ビジネスの機能やプロセスが緊密に結び付きすぎることで、変化に対応できなくなる」と指摘した。しかし、多くの企業は企業システムを変化させようとしている。つまり、「個々のビジネスプロセスを別個に存在させ、企業は重要なプロセスにだけ注力。ほかの企業と共有できるプロセスやサービス、インフラはインターネットを介して利用する」という考え方だ。いうまでもなく、これはWebサービスを指している。
クラッソン氏が考えるWebサービスの姿は「ビジネスプロセスをバーチャル化」すること。緊密に結び付いているビジネスプロセスを分解し、必要に応じてネットワーク上のリソースを利用するというイメージだ。SOAでバーチャル化するのはビジネスプロセスだけではない。ネットワークインフラやアプリケーションなどもほかの企業と共有できる。共有化することでビジネス変化に応じて、システムを自由に組み替えることが可能になり、投資額を抑えることができるというのだ。クラッソン氏によると、「ビジネスプロセスをバーチャル化することで、多くの企業がコストを削減できる可能性がある」という。
SOAやWebサービスで重要になるのが、バーチャル化したプロセスやサービス、リソースを適切に扱うためのアイデンティティ管理だ。緩やかに連携するビジネスプロセスやサービスのコンポーネントを効率的に組み合わせるには、それぞれのリソースにアイデンティティを割り振って管理するのが最も効果的という考えである。もちろん、アイデンティティを割り当てる前提として、XMLやSOAP、J2EEなどの標準技術を使いリソースやコンポーネントを動的に構成できるようにする必要がある。
「なぜ、Webサービスが大きな潮流となっているのか」。クラッソン氏はこの問いに対して、「企業システムの現実のコスト問題を解消するからだ」と答えた。コスト問題とは、IT投資の25〜30%になるというコンピューティング環境の統合コストや、旧式のシステムを維持するためのコスト、パフォーマンス不足を心配して過剰に購入してしまうハードに関するコストなどだ。Webサービスを利用し、ネットワーク上から必要なときに必要なサービスを利用することで、これらのコストを削減できるのだ。
クラッソン氏が示した調査結果によると、10億ドルの売り上げがある企業が200万ドルの投資でWebサービスを利用できる環境を整えた場合、6年目にはWebサービスから1200万ドルのリターンを期待できるという。クラッソン氏は、「“サービスとしてのソフト”が最も急速に伸びる」と述べて、Webサービスへの積極的な投資の必要性を訴えた。
(垣内郁栄)
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