通信距離の限界撤廃がコスト削減につながる

2003/10/17

 米TeraBurst Networksは、ハイエンドグラフィックサーバで処理される動画、高精細画像、音声などの大容量データを、品質を保持しながら遠隔地に遅延なく伝送できるメディアコンバータ「広域ビジュアライゼーション・ソリューション」を発売した。同社のメディアコンバータは、高精細、高解像度データを遠隔地間でほぼリアルタイムに送受信できるようにする。ハイエンドグラフィックサーバを所有する企業にとっては、サーバを有効に活用し、稼働率を向上させることに役立つという。

 同社のハイエンドグラフィックサーバで処理されるのは、大容量画像、動画、ステレオグラフィックス(立体3D)、音声、10/100Mbpsイーサネットなどのデータ。音声や画像データをプライベートな光ファイバ回線で伝送する従来の方法では、物理的に1〜2キロの距離制限があり、ハイグラフィックサーバを物理的に移動させる以外に方法がなかった。高価なサーバを安全に移動させるには、当然、保険や移動要員の調達などコストがかかる。

 TeraBurst Networksのメディアコンバータは、ハイエンドグラフィックサーバと光ファイバや高速インターネット回線の接点に設置する。大容量の画像アナログデータをSONET/SDHフレームに変換(V2O)したり、あるいはIPデータに変換(V2D)して伝送することが可能となる。TeraBurstNetworksのラインアップには、メディアコンバータのSONET/SDHフレーム変換タイプとして、距離3キロ以内の構内用と、40キロまでのOC-48/2.5Gbps対応用、40キロまでのOC-3対応155Mbps用がある。価格は1台150万〜1450万円程度。別にIPデータ変換タイプを11月に発売する。

米TeraBurst Networks プレジデント ジョアン・パイロット氏

 TeraBurst Networks プレジデント ジョアン・パイロット(Johan Pirot)氏は、新製品のメディアコンバータについて、「ハイパフォーマンスコンピュータや高額なハイエンドグラフィックサーバを利用する自動車メーカーのデザイン部門や、エンターテインメント、放送分野、研究機関などでの需要を見込んでいる」と話した。遠隔地のユーザー同士がデータを共同利用するケースとしては、「石油会社が石油や天然ガスなどの採掘場所を意思決定する際、広範囲をカバーする正確な地図が必要となる。メディアコンバータを使えば、意思決定者がそれぞれのオフィスにいながらにして、地図を見ながらTV会議をすることができる」と説明した。すでにバイオケミカル系企業、政府、大学などに製品を導入し、経費削減のために利用されているという。

 日本市場では、総合エンジニアリングを主業種とするインテグランが代理店となり、初年度は100台の販売を目指す。TeraBurst Networksは米SGIとリセラー関係にあるため、国内でも日本SGIが販売支援を行う。

(編集局 富嶋典子)

[関連リンク]
TeraBurst Networks
インテグランの発表資料(PDF)

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