[Interview] 統合ソフトベンダが主張する“真のSOA”とは
2004/7/8
SOA(サービス指向アーキテクチャ)とは企業内外のシステムを、XMLやWebサービスといった標準技術を利用して、相互接続・連携させるシステムアーキテクチャだ。しかし、標準化の遅れなどから、現状の標準技術だけではSOAの真のメリットを享受することは難しい──とするのが、EAI/統合ソフトウェアベンダとして知られるウェブメソッドだ。同社が発表した“真のSOA”を実現するプラットフォームについて、コーポレートマーケティング担当副社長 ジム・アイバース(Jim Ivers)氏に聞いた。
――現在、企業のシステム統合のニーズはどのようなものですか。
ウェブメソッド コーポレートマーケティング担当副社長 ジム・アイバース氏 |
われわれの顧客である企業は、より敏捷性を持つこと、自社のお客様からのデマンドに対して、いっそうより即応性を高めるということを求めています。
それには既存のIT資産を再利用するようなシステムが必要で、さらにマーケットのデマンドにあわせて、新しいアプリケーションを適宜に構築することが求められます。
またアプリケーション開発のバックログをなるべく減らしたい、あるいは新しいIT資産を増やすにあたって、それが必要であったとしてもなるべく投資効果を高めていきたいという強いニーズがあります。
われわれは、それをSOAで解決したいと考えています。
──ウェブメソッドにおけるSOAへの取り組みを教えてください。
現在、多くの会社が「SOA」という言葉を使うようになっています。実際に私たちは1996年に各インテグレーション・ツールで、その1つ1つの統合の部分をサービスとして呼び始めました。実は私たちが初めてだったわけです。Webサービスの標準が定まる前から、そのような概念を持っていました。
WSDLやSOAPが登場した現在、サービスを加えていくというインテグレーションは、理にかなったものです。われわれにとってSOAとは、1つ1つのITアセットを1つの大きなビジネスの物体でなくて、個々のサービス、ビジネスプロセスとしてとらえるということです。Webサービスとは、企業内で作られるもの、外部のベンダによって提供されるものなど、いろいろなものを指しています。
──SOAの発展には何が必要ですか?
まず1つが、Webサービスの標準が今後どのように発展していくのかが重要な要素です。ただ、これまでのWebサービスの標準技術だけでは、企業が使いたいような形で十分な活用ができないというのが現状ではないでしょうか? そこで標準ではまだ十分には発展していない部分を補っていくというのが、ウェブメソッドの哲学です。
同時にわれわれは、標準化の動きにも積極的にかかわっています。例えば、弊社は独立系のベンダとして唯一、Webサービスの普及促進団体WS-Iの役員メンバーとして名を連ねています。WS-Iの中のWS-Notificationグループに参加、活動しています。例えばこうした標準が策定され、フル実装される段階になったら、直ちにそれを弊社製品に組み込むという体制になっています。
現状のWebサービスは、セキュリティやイベントドリブン・アーキテクチャのあたりに、まだ機能的に十分な部分があります。それに対して、われわれの製品では、パブリケーションやサブスクリプション機能を備えており、それをWebサービスに統合できる能力があります。こうした機能をお客様にいち早く使っていただき、標準化がされた段階で置き換えていただくという形を考えています。
──SOAを実現する新製品とはどのようなものですか?
先月、韓国・ソウルで“インテグレーション ワールド アジアパシフィック”を開催し、ここで「webMethods Enterprise Services Platform(以下ESP)」という新製品を発表しました。
これは、従来の「ウェブメソッド統合プラットフォーム」と「ウェブメソッド ファブリック(Fabric)」を組み合わせた基盤製品です。イベントドリブン機能を装備しており、この種のものとしては初めての製品です。昨年、非常に革新的なエンタープライズ製品を持つマインドエレクトロニクスという会社を買収し、そのテクノロジを統合したものです。
ESPは、従来の統合プラットフォームとファブリックを統合したもので、個々の接続を全部取り去って、すべてファブリックに置き換えようというわけです。Webサービスをファブリックの中で一元管理して、それぞれをシングル・ポイント・トゥ・ポイントではなくて、1つ1つのインターフェイスで接続を可能にします。また従来の統合ソフトウェアは、ファブリックと相互接続を持ちます。
このファブリックと従来の統合ソフトの部分を連携させるという点がとてもユニークだと考えています。これによって、企業のシステム環境をすべてSOAにすることができます。
──ウェブメソッドの考えるSOAのメリットとは何でしょうか?
従来のインテグレーションをさらに拡張でき、またWebサービスとして提供できるようになります。
他社ベンダの統合ツールは、アダプタなどを介して接続、連携させるというやり方です。ESPでは、既存システムとの接続をすべてESP側が提供します。既存システムには一切手を加える必要はありません。
このコアの基盤システムの上に、コンポジット・アプリケーション開発とビジネスアクティビティ・モニタリング(BAM)、ビジネスプロセス・マネジメント(BPM)が統合されています。ビジネスプロセス・マネジメントがビジネスプロセスとやり取りをして、その下にあるそれぞれのIT資産を活用するという形です。
これまで企業内のシステム、コンポーネントを、本当に価値を創造できる形で強力に統合(ファウンデーション&インテグレーション)することに成功したというのは、非常にまれだったのではないかと思います。
ESPでは、従来エンタープライズ・システム内にあったWebサービスに完全に対応していない機能も、Webサービスを提供できるものに育てていくことができます。それがWebサービスの環境の中で、システムがシームレスに統合にされるということです。
また、Webサービスのマネジメント機能も実装しています。例えばサービスの発見、サービスのレジストリ機能もあり、フェイルオーバー、ロードバランシング、セキュリティ対策にも対応できます。これらにより、個々のビジネスプロセスをWebサービスのプロセスとして、可視化しコントロールできるようになります。
これまではITアセット全体を、大きな規模のグループ・塊としてしか見ることができませんでした。ESPは、これを個々の機能別に管理できます。
SOAの真の意味での価値、そしてメリットがようやくここで実現します。
──今後の販売戦略は?
ウェブメソッドは、これからアジア太平洋地域、特にその中でも日本のマーケットを戦略的に重要視しています。日本国内向けに「日本開発センター」を日本法人オフィスに有しています。これは、日本のお客様の特別な業務要件に対してこれに特化した開発を国内で行うということであり、コーポレート全体の強いコミットメントの表れです。
また、国内においてはNEC、日立、富士通といった強力なパートナーに恵まれ、ウェブメソッドの優位性が継続できていると考えています。こうしたパートナーとの関係を継続していきます。
[関連リンク]
webMethods
ウェブメソッド株式会社
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