「1台のコントローラでILMを実現」、ストレージテック

2004/10/22

 日本ストレージ・テクノロジー(ストレージテック)は情報ライフサイクル管理(ILM)戦略を強化する新製品2種を10月21日に発表した。ディスク管理ソフトに機能を追加し、1つのストレージ・コントローラでファイバチャネルとATAの2つのディスクをサポートできるようにした。ストレージテックでは「複数のハードを用意しなくても、1つのコントローラでILMを実現できる」とアピールしている。

日本ストレージ・テクノロジー マーケティング本部 本部長 吉川知男氏

 ストレージテックのマーケティング本部 本部長 吉川知男氏は同社のILM戦略について「ハイエンドのオンライン・ストレージから、ミドルレンジのインライン、テープドライブのニアライン、アーカイブの4階層で実現することを訴えてきた」と説明した。ストレージテックが今回発表したディスクシステム「FlexLine 200/300」はオンライン、インラインの領域をカバーする。テープドライブの「StreamLine SL500」はニアラインとアーカイブの製品だ。

 FlexLine 200/300はストレージテックの現行製品D、Bシリーズを置き換える製品。ストレージテックはほかの既存製品もFlexLineに名称を変更した。FlexLine 200/300はストレージ・コントローラとディスクアレイを別々に販売する。コントローラは「FLX210」の名称で、ファイバチャネル・ディスクアレイは「FLA300」の名称。FLX210とFLA300は、現行製品のコントローラ「FLX240」「FLX280」、ファイバチャネル・ディスクアレイ「FLA200」、ATAディスクアレイ「FLC250」「FLC200」と自由に組み合わせることができる。

 1つのコントローラに対してファイバチャネルとATAのディスクを混在させる使い方は、バージョンアップしたディスク管理ソフト「SANtricity v9.1」の新機能で実現した。現行製品のユーザーもSANtricityをバージョンアップすればファイバチャネルとATAの混在利用が可能になる。従来のストレージテック製品でILMを実現しようとすると、プライマリ・ストレージ用とセカンダリ・ストレージ用に2つのコントローラが必要だったが、SANtricityの新機能を使うことで1台のコントローラでILMを実現できるようになるという。

 ストレージテックの試算では、ファイバチャネル・ディスクアレイを使ったプライマリ・ストレージ(4TB)とATAディスクアレイを使うセカンダリ・ストレージを組み合わせる従来の方式の価格は5660万円。一方、SANtricityの新機能を使い1つのコントローラにファイバチャネル・ディスクアレイとATAディスクアレイを混在させた場合は3350万円となり、「投資を40%削減できる」(ストレージテック)という。FLX210にATAディスクアレイ、SANtricityを組み合わせた場合の最小構成価格は350万円となっている。

 ストレージテックはモジュラー方式を採用した19インチラックサイズのテープドライブ、StreamLine SL500も同日、発表した。SL500はミッドレンジ市場向けの製品。LTOとスーパーDLTに対応する。特徴は拡張性の高さ。基本モジュールに2つのドライブベイ、50のLTOカートリッジ・スロット(最小構成は30スロット)を搭載する。基本モジュールにドライブ拡張モジュール、カートリッジ拡張モジュールを追加可能。ドライブは最大18、スロットは最大577まで拡張できる。最大容量は115TB。最小構成での価格は232万8000円。

 ストレージテックはまた、現行のテープドライブ製品であるLシリーズを最大40%値下げした。ストレージテックでは「Lシリーズはコスト重視の顧客、SL500は機能、パフォーマンス、拡張性を重視する顧客に最適」としている。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本ストレージ・テクノロジーの発表資料(FlexLine 200/300)
日本ストレージ・テクノロジーの発表資料(StreamLine SL500)

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