「狙いが当たった」、日立「BladeSymphony」出荷で自信

2004/12/21

 日立製作所の執行役専務 情報・通信グループ長&CEO 古川一夫氏は12月20日、日立が12月10日に出荷を開始したサーバ、ストレージ、ネットワークの統合製品「BladeSymphony」について、「すでに100以上の顧客から引き合いがあり、50以上の具体的な商談が進んでいる」と述べ、順調な立ち上がりをアピールした。通信や金融、製造などのミッションクリティカル業務や、低コストで高可用性を追求する業務、サーバ統合などで引き合いがあるといい、「私たちの狙いが当たっている」(古川氏)としている。

日立製作所の執行役専務 情報・通信グループ長&CEO 古川一夫氏

 BladeSymphonyは日立製のIAサーバ、ストレージ、ネットワーク機器を1つの筐体に収めてサーバリソースの共有や統合的な運用管理を実現する製品。ネットワーク部には日立の「GS4000シリーズ」をベースにした内蔵LANスイッチ、ロードバランサを格納。IAサーバはブレードサーバで、Xeonプロセッサを搭載したモジュールと、Itanium2プロセッサを搭載したモジュールの2つを用意する。サーバモジュールは1枚当たり2way構成。4枚のItanium2搭載サーバモジュールをSMP構成にして、1つの8wayサーバのように稼働させられる「サーバモジュール間SMP機能」がある。ストレージ部は日立の「SANRISE9500Vシリーズ」をベースにしたRAIDディスクドライブと、ファイバチャネル・スイッチで構成する。

 BladeSymphonyは日立のミドルウェアを搭載。管理ソフトウェアの「BladeSymphony Manage Suite」をはじめ、運用管理ソフトウェアの「JP1」やアプリケーションサーバの「Cosminexus」などを搭載。ブレードサーバ間のリソースの自動プロビジョニングや運用管理の自動化、柔軟なシステム拡張を実現するという。

 日立はBladeSymphonyのような「統合サービスプラットフォーム」製品を今後も強化していく方針。日立製作所 情報・通信グループ Harmonious Computing 統括センタ長 森伸正氏は企業のITシステムの課題として「オープンなハード、ソフトによって組み合わせの自由度は増加した。一方でシステムが大規模化、複雑化した」と指摘。結果として運用管理コストが増大していると説明した。日立の統合サービスプラットフォームは、オープンな部品の単純な組み合わせではなく、日本の“もの作り”の基になっていると日立が指摘する“すり合わせ”を活用し、システム全体を最適化するという。

 森氏は統合サービスプラットフォームについて、「ミドルウェアやマイクロプログラムなど固有の連携要素によってすり合わせを行ったプラットフォーム製品」と説明。「“統合オープン”の考えでやっている」と述べた。日立によるとBladeSymphonyの導入で、運用管理コストを最大50%削減、TCOを最大40%削減できるとしている。

 ただ、日立製品を組み合わせた統合サービスプラットフォームは、ベンダによる顧客の新たな囲い込みにつながるとの見方もできる。他社のハードウェアやソフトウェアを利用できない閉じたシステムであれば、拡張性やコストが心配になる。古川氏は「統合サービスプラットフォームと呼んでいるが、何もサーバやストレージ、ネットワークを日立のプロプライエタリなインターフェイスで閉じ込めるつもりはまったくない」と述べ、この見方を否定。「オープンのよさを生かしながら、いかにスパイスをかけてすり合わせていくかが最も重要だ」として、“オープン重視”を強調した。

(編集局 垣内郁栄)

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