ガートナーが提案、CRM戦略はマーケティングを重視せよ
2005/2/22
ガートナー ジャパンの主席アナリスト 片山博之氏は、ガートナー ジャパンのイベント「ビジネス・インテリジェンスサミット 2005」で講演し、企業のCRMについて「CRM戦略の実行にはマーケティング機能が不可欠。CRM戦略はマーケティング部門が主導して行うべき」と話し、新たなコンセプトとである「マーケティング資産管理」(MRM)の重要性を強調した。
ガートナー ジャパンの主席アナリスト 片山博之氏 |
顧客中心の経営を実現するにはマーケティングをより重視し、その効率化と最適化が欠かせないというのが片山氏の主張。企業では一般的にマーケティング部門はセールスをサポートする部門に過ぎないと考えられがちだが、片山氏の考えでは「顧客中心経営を行う企業では、マーケティング戦略は企業戦略と完全に同期が取られている」。マーケティング部門は企業のあらゆるビジネス・プロセスに関係し、顧客中心の観点から、そのプロセスを最適化する。「マーケティング戦略と顧客情報・知識は、すべてのプロセスで共有し、セールスと顧客サポートもマーケティング活動の一環と見なすべきである」(片山氏)。
MRMはビジネスの各プロセスと投資するマーケティングのリソースを管理する考え方。マーケティング活動に必要な予算やブランド、スタッフ、代理店、販売チャネル、営業などのリソースを、どのビジネス・プロセスに割り当てれば最もビジネス上の価値を生み出せるかを自動で弾き出す機能を持つ。片山氏はMRMを導入する目的として、市場の増大する複雑性を管理すること、マーケティング活動の迅速化、知識の獲得と活用などを挙げた。
また、MRMを実現するためのアプリケーションには、マーケティング戦略目標の設定や競合状況の把握、予算との整合性のチェックなどのプロセスを標準化し管理する機能や、マーケティング用資料の作成、プロジェクトの管理、社内外の協業をサポートする機能、マーケティング活動の投資収益率を把握し、レポーティングする機能などが必要と指摘した。
ただ、片山氏はユーザー企業の調査の結果として、「これからCRM導入を予定している企業が、効果を高めるために重視しているのは、分析系CRMとその元となる顧客情報の保護、さらに実行系CRMを融合させたものである」と述べ、「日本ではマーケティング関連アプリケーションの導入に興味を示すユーザーはまだ少ない」と指摘した。
マイクロソフトは「特殊なベンダ」
片山氏はマーケティング活動が企業のブランド価値を高める例として、2004年10月にガートナーがユーザー企業に対して行ったITベンダの企業イメージ調査の結果を示した。この調査は、横軸に「公正/誠実なビジネスを展開しているベンダ」の選択率、縦軸に「長く付き合いたいと思うベンダ」の選択率を設定。つまり、グラフの右上にくるほど、「公正/誠実」で「長く付き合いたい」と思われるベンダということになる。調査によると、最も公正/誠実で、長く付き合いたいとの結果が出たのは日本IBM、次いで富士通、NECが並んだ。さらに日立製作所、デル、NTTなどが入った。
ほとんどの企業は、公正/誠実の選択率に比例して、長く付き合いたいと選択される率も向上している。ただ、例外はマイクロソフト。マイクロソフトは公正/誠実なベンダと思うユーザーは比較的少ないが、それでも長く付き合いたいと答えたユーザーは多かった。片山氏は「マイクロソフトは特殊なベンダ」と指摘し、「事実上標準化された製品を持っていることが影響していると思われる」と説明した。
(@IT 垣内郁栄)
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