デルが新サーバ、Itaniumに背を向けXeonで基幹系目指す

2005/4/12

 デルは32ビット/64ビット互換のインテル Xeon プロセッサ MPを搭載した4wayサーバ「PowerEdge 6800/6850」の販売を開始したと4月11日に発表した。これまでメインフレームやUNIXサーバが担ってきたミッションクリティカル分野への本格進出を宣言する製品。多くのベンダはItanium 2プロセッサ搭載サーバでミッションクリティカル分野を攻略しようとしているが、デルはXeonプロセッサを選択した。

デルが発表したラックマウント型のPowerEdge 6850。6800はタワー型

 PowerEdge 6800/6850はXeon 3.16GHz 1M L2を最大4個搭載できる。メモリは最大32GBで、4GB DIMMの出荷後は64GBに対応する。チップセットはIntel E8500を採用した。ミッションクリティカル分野での利用を想定し、デルはメモリ関連の機能を強化。6850では複数メモリを1つのカードに搭載したメモリライザカードをホットプラグ対応にして、メモリの障害時もダウンタイムが最小になるようにした。

 また、メモリ冗長化機能としてメモリライザカード内のメモリを2分割して、アクティブ/スペアの運用を行うスペアリング機能や、2つのメモリライザカード間でデータをミラーリングする機能、メモリ全体でRAID5として管理する機能がある。それぞれの機能のうち、任意の1つを選択して実行できる。

 価格は1wayの場合でタワー型の6800が71万1900円(税込)、ラックマウント型の6850が79万650円。4way構成にした場合は200万円弱になる。デルのエンタープライズマーケティング本部 ソリューション本部長 多田和之氏は「現行の4wayサーバの2倍のペースで販売したい」と述べた。

 デルが6800/6850の投入で狙うのはERPなど基幹系アプリケーションや、大規模データベース、メインフレームやUNIXサーバのマイグレーションだ。多田氏は「企業情報システムのTier 1(ファイル/メールサーバ)やTier 2(アプリケーションサーバ)はかなりIAサーバへの置き換えが進んだが、Tier 3(ERP/CRMなど)はUNIXサーバの全盛」と指摘。しかし、64ビットプロセッサを搭載したサーバの投入で「下から上までIA-64の環境が生かせるようになった」と述べ、コンピュータ環境の全域にわたってコモディティ化が進んでいるとの認識を示した。

デルのエンタープライズマーケティング本部 ソリューション本部長 多田和之氏

 ミッションクリティカル分野をメインフレームやUNIXサーバから、IAサーバに置き換えるという戦略は富士通、NECなど各社が採っている。ただデルが特徴的なのは、置き換えをItanium 2プロセッサではなく、Xeonプロセッサ搭載サーバで行おうとしている点だ。

 多田氏はItanium 2プロセッサについて「浮動小数点数演算など高い計算能力が要求される分野に限定される。そのほかの(ビジネス・アプリケーションなどの)分野はXeonプロセッサ」と述べ、Initaium 2プロセッサをハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)などの限定分野でのみ利用する考えを示した。「Xeonプロセッサの4wayマシンであればかなりのビジネスエリアで利用できる。TCOなどトータルの価値を考えればXeonプロセッサは間違った選択ではない」(多田氏)。

 また、ほかのベンダがプロセッサを8way、16wayと搭載できるSMPサーバをミッションクリティカル分野向けにそろえているのに対して、デルは「スケールアウト戦略が基本」(多田氏)。「SMPサーバを構成するには、ベンダ独自の技術が必要になる。しかし、4wayまでなら複雑なテクノロジは必要ない。4wayサーバをスケールアウトで組み、クラスタなどの冗長化技術を用いればUNIXサーバと同等の信頼性を得られる」としている。多田氏は「どのアプリケーションでもスケールアウトのプラットフォームに移行できる」とも述べ、Xeonプロセッサを中心にスケールアウト戦略を展開する姿勢を強調した。

(@IT 垣内郁栄)

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デルの発表資料

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