Weekly Top 10
Ubuntu Linux、大ブレークの予感
2007/10/09
先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングは第1位は先々週に続いて「川崎のマックがなぜか上位――公衆無線LAN利用調査」だった。2位以下には先週開催されたCEATEC関係の記事がランクイン。「ロームが『不揮発CPU』公開、電源オフでもデータ消失しない」「Googleイメージ検索はもう古い? CEATECは画像認識が面白い」などが入った。
個人的な印象では今回のCEATECではデジタル家電系が絶好調で、IT系、ソフトウェア系は巡航速度。勢いの違いは歴然としていた。その中でも記事で取り上げた画像認識や検索などのソフトウェア技術は将来を感じさせる内容だった。
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デスクトップはLinuxの鬼門
現在、ソフトウェア業界で大きく盛り上がっているのはオープンソースソフトウェアだ。先週は「オープンソースカンファレンス2007 Tokyo/Fall」が開催され、オープンソースのオフィススイート「OpenOffice.org」を自社導入した企業についてのレポート「OpenOffice移行に必要なのはトップの決断」を掲載した。
オープンソースの中で、記者が「そろそろ大ブレークか?」と考えているのはLinuxデスクトップ。特に「Ubuntu Linux」だ。サーバ向けや組み込みデバイス向けでは完全に利用が定着したLinuxだが、クライアントPC向けは鬼門だった。これまでにもいくつものディストリビューションが登場し、いまも努力を続けているが、Windows OSの代替勢力とはなっていない。
Vistaの“敵失”で伸びる
だが、IT環境の変化とUbuntuの登場で流れは変わりつつあるようだ。まずはIT環境の変化ではWebベースのサービスの隆盛が大きい。Webサイトの閲覧だけではなく、電子メールなどの主要アプリケーションをWebベースで実行することが多くなってきている。Windowsでも立ち上げているのはWebブラウザだけという人は結構いるのではないだろうか。つまり、エンドユーザー環境では「Webブラウザがあれば、OSは何でもいい」ということになりつつあるのだ。
さらにWindows Vistaの“敵失”が大きい。マイクロソフトはVistaへの移行をユーザーに呼びかけるが、多大なコストと労力をかけてまで移行する必要がある、もしくは使いたい機能が搭載されているかというと、疑問に思う人もいるだろう。しかし、現行のXPのサポートは将来切れてしまう。その場合、どうするのか? 選択肢としてLinuxが浮上している。
Ubuntu Linuxは分かりやすいユーザーインターフェイスを備え、HDDへのインストールも比較的容易。Live CD機能もあり、HDDにインストールせずに“お試し”ができる。WebブラウザやOpenOffice.orgのような主要アプリケーションもそろっている。Windows Vistaの動作が厳しい比較的低パフォーマンスなPCでも快適に動かせられるのも大きい。OS自体の魅力が人を引き付けている。
NYTがUbuntuを「主要OSの代替になる」
米ニューヨーク・タイムズは10月4日付のオンライン版で、Ubuntu Linuxを紹介する記事「The Next Leap for Linux」を掲載した。一般読者を対象にしたメディアがUbuntu Linuxを取り上げるのは異例。潮目が変わってきたことを印象付けた。
記事はUbuntu Linuxの紹介に始まり、インストール方法、米デルがUbuntu搭載PCを販売していることなどを説明。iTunesの代替アプリケーションも取り上げている。そのうえでこの記事を執筆した記者は「Linuxは現在の主要OSの代替になる。DVDを見たり、iPodを同期するには外部のソフトウェアが必要になるが、バンドルソフト以上の作業をしないという基本的な作業が中心の人々や、技術を心得ているユーザーには最適だろう」などと結論付けている。
コミュニティの熱心な活動のおかげで、Ubuntu熱は日本でも確実に高まっている。大手PCベンダがプリインストールPCを発売するか、企業の大規模導入が決定するか。ターニングポイントは何だろうか。
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