Weekly Top 10

2つのケータイ関連ニュースの落差

2008/03/17

 先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングは第1位は「フリー技術者に朗報か否か、首都圏コンピュータがJV方式導入」だった。首都圏コンピュータ技術者株式会社(MCEA)は、業務開発を企業とフリーのITエンジニア、システム・インテグレータで共同受注する取り組みを始める。ジョイントベンチャー方式を採用。これによってIT業界の悪弊といわれる多層請負構造を解体できるかが注目される。

NewsInsight Weekly Top 10
(2008年3月10日〜3月16日)
1位 フリー技術者に朗報か否か、首都圏コンピュータがJV方式導入
2位 Linuxの標準化が進まなかった理由
3位 NTTドコモ、iモードメールをPCから利用できるサービスを開始
4位 日本のITILは人材不足が最大のネック、BMCが教育を提供へ
5位 iPhone SDKが4日間で10万ダウンロード
6位 米ヤフー、セマンティックWebと検索オープン化に踏み出す
7位 Haruが“和製Twitter”から脱皮、ミニブログは普及するか
8位 ドコモ携帯で大学のメールを直接送受信、日本通信
9位 「集え千葉を愛するブロガー!」 CHIBAZINEスタート
10位 SASとSATA両用アダプタでハイエンドモデル、アダプテック

 記者が個人的に気になったのは、3位に入ったニュース「NTTドコモ、iモードメールをPCから利用できるサービスを開始」だ。ケータイのメールをPCでも読めるようにするサービスは、長らく待望されたサービスだったと思う。しかし、記者はこのニュースを見てiモードには、いよいよ先がないと感じた。

 NTTドコモがこのサービスをアナウンスする約1カ月前に日本通信が始めたサービス「ドコモ携帯でGmailを使って直接送受信可能に、日本通信」と読み比べていただきたい。日本通信のサービスは年額4800円(月額換算400円)で約6GBのメールボックスが使えるGmailと連携する。一方、NTTドコモの新サービスは月額210円でメールボックスは受信メールについて10MB、送信メールについて4MBというサービスだ。ざっくり言って約400倍以上の容量差だ。容量差は本質ではないかもしれない。より本質的なのは、ケータイのメールをPCメールと統合して使えるかどうかという点だろう。

 NTTドコモのサービスは、あくまでもiモードメールをPC上でも便利に使えるようにするサービスでしかない。短期的にはニーズも市場もあるだろう。しかし、今後ケータイがオープン化していくなかで、このような独自の世界に小さく閉じたメールサービスに未来があるとは思えない。

 先週5位に入ったニュース「iPhone SDKが4日間で10万ダウンロード」とも、是非読み比べていただきたい。キャリアだけが上から下まですべてをコントロールするiモード+端末のビジネスモデルと、全世界の開発者にAPIとSDKを公開してアプリケーション開発を促すiPhoneのビジネスモデルの差はあまりに大きい。アップルは、iPhone向けアプリケーションの配布場所や売買市場まで、音楽同様にオンラインで提供する。

 先週は何よりも、この2つのニュースの落差に愕然とした。スティーブ・ジョブズは、パーソナルコンピュータ、フルCGの映画制作、オンライン音楽販売に続いてケータイでも革命的な成功を収める可能性がある。先日のアップル本社での発表会の様子をムービーで見ていて、そう感じた。たとえそれがiPhoneでなくても、今後はAndroid、Symbian OS、Windows Mobileなどオープンなプラットフォームを提供するモバイル端末と、それらに対応したサービスが続々登場して主流になっていくだろう。

(@IT 西村賢)

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