日立ブースでは、同社が推進しているHarmonious Cloudを前面に押し出した展示に注目が集まった(関連記事)。
Harmonious Cloudは、日立グループ共通のクラウド体系、プラットフォームとして整備されている。並行して、クラウドセキュリティ推進協議会など、業界内での技術情報交換などを通じて、企業利用に即したクラウド環境の提供を標榜している。
このグループ共通クラウドインフラを使った独自のクラウドアプリケーションマーケットプレース「MINONARUKI」などを展開している(関連記事)。
電機メーカーとしての顔も持つ日立では、社会インフラにおけるビッグデータ活用といった大きなスケールでのアプローチが可能な点もポイントだが、編集部では直近で発表があった「かんたんHadoopソリューション for バッチ処理」のデモ展示に注目した。
こちらは、「Asakusa Framework」「Cloudera Enterprise for Hadoop」(関連記事)の組み合わせに、統合システム運用監視ソフトウェア「JP1」(関連記事)を加え、オールインワンでHadoop活用を容易に実現するというもの。ハードウェアには、省電力型ブレードサーバである「HA8000-bd/BD10」を採用している。
「バッチ処理はどの企業も何らかの方法で実施していると思いますが、時間がかかり過ぎるため、月次での集計しかしていない、という話も聞きます。このバッチ処理が高速化すれば、週次・日次での分析も可能になるため、経営スピードが大きく変わるだけの効果があると考えられます」(ブース説明員)
バッチ処理の速度が経営に寄与するという点はなかなか経営層には理解できないのでは? という編集部の疑問に「そうした声も少なからずありますが、実際のデモで体感していただければ違いはすぐに理解いただけます」(同)との答えが返ってきた。
もう1つ、注目したのは、日立製作所が2012年1月に発表していたWAN通信高速化の技術である(関連記事)。
基礎技術は、2009年6月から本田技研、日立中央研究所、日立ハイテクノロジーズ(日立ハイテク)の3社共同で研究開発を進め、アプライアンスとして実装したものだ。
「本田技研の場合、日本・南米間には比較的太い帯域の専用通信回線を持っている環境での利用を想定していました。そのため、現行モデルのWANアクセラレータ側も高い性能を持つラインアップになっています。しかし、大規模な図面データなどの伝送の必要のない多くの企業では、帯域の細い環境がほとんど。こうした企業にとってオーバースペックとならず、手ごろに購入できる機器の提供を検討しているところです」(ブース説明員)
より手ごろなモデルは「オフィスモデル」(仮称)として2013年上期の販売開始を予定している。こちらは、小規模拠点とデータセンター間などの通信に適した仕様になる見込みだ。
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