12cに続く最新バージョンの「Oracle Enterprise Manager 13c」の位置付けについて、ダッタ氏は「Oracle Enterprise Manager 12cで磨き上げた“3つの柱”を大きく進化させたバージョン」だと説明する。
ダッタ氏の説明によれば、それぞれの観点における強化ポイントは次のようになる。
まず、エンタープライズクラスの高水準な管理については、監視対象ホストの常時モニタリング機能(Always-On Monitoring)が目玉の1つとなる。これはOracle Enterprise Manager 13cの管理サーバ(Oracle Management Service)がメンテナンスなどで停止している際にも、監視対象ホストに対して24時間365日のフルタイムモニタリングを行う機能だ。常時モニタリング機能を有効にしておくことで、監視対象ホストが停止したり、クリティカルなアラートが検出されたりした際、管理者にメールで通知することができる。
また、ゴールドイメージを介したクラウド規模のエージェントデプロイ機能、取得したイベントログの自動グルーピングによるサイズ圧縮など、特に大規模システムの管理を効率化するための機能が強化されている。
2つ目のクラウドスタックの統合管理については、ハードウェアからOS、データベースを含むミドルウェア、アプリケーションまでを統一されたコンソールで管理できるよう強化された。Oracle Enterprise Manager 12cでは「Oracle Enterprise Manager Ops Center」として提供されていたハードウェアや仮想マシンのモニタリング機能が統合されている。これにより、「アプリケーションからドリルダウンして、OSや仮想マシン、ハードウェアまでのシステム診断を行うといったことが、より容易になります」とダッタ氏は話す。加えて、SPARCプロセッサを搭載したエンジニアドシステムである「Oracle SuperCluster」についても、Oracle Exadataと同様に構成や稼働状況をビジュアルに確認しながらOracle Enterprise Manager上で管理できるようになった。
さらに、ハイブリッドクラウド環境で大規模に展開している複数のシステムにおいて、構成の確認やシステム間での比較などを行うドリフト管理や整合性管理の機能強化、コンプライアンス管理のための“ORAcheck”機能の統合なども行われている。
データベース管理については、従来と比較して“よりきめ細かいアクセスコントロール”に対応した。これにより、データベース管理者や開発担当者などの役割に応じてデータベースに対する操作権限を詳細に設定し、作業の効率性を損なわずにガバナンスを利かせることが可能となっている。
ミドルウェア管理機能としては、Oracle WebLogic Server 12c R2のマルチテナント環境をフルサポートする。また、Oracle Enterprise ManagerとOracle WebLogic Serverの管理コンソールの統合性を高めた他、ミドルウェアやJava仮想マシンの診断機能も改善されている。
なお、Oracle Exadataを含むEngineered Systemsの管理機能も強化される。例えば、Oracle Exadata上で稼働しているデータベースサーバやストレージサーバ、InfiniBandネットワークのスイッチなどのバージョンチェックやパッチ適用を単一のコンソールで行い、必要に応じて作業を自動化することが可能となっている。
- Oracle Database 12cを核としたオラクルのクラウド戦略はなぜOPEX削減にも効果があるのか
製品名にクラウドの名を冠した「Oracle Database 12c」が、さらなる進化を続けている。オラクルのハイブリッドクラウド戦略で核となる同製品が指向する次世代のデータ管理アーキテクチャとは、どのようなものなのだろうか?[パブリッククラウド][プライベートクラウド/データベース統合][Oracle Database 12c][Oracle Cloud][Oracle Mutitenant][Oracle Enterprise Manager]
- Oracle Enterprise Manager 12c R5では何ができるようになったか
モニタリングやパフォーマンス管理、テストなど、Oracle Databaseの運用管理を支援する多彩な機能を備えた管理ツール「Oracle Enterprise Manager 12c」がRelease 5にアップデートされた。新たにOracle Database Cloud Serviceをサポートした同ツールの魅力を紹介する。[パブリッククラウド][プライベートクラウド/データベース統合][運用管理効率化][Oracle Enterprise Manager]
- データベースの運用を意識したプライベートクラウド構築のアプローチはCAPEXだけでなくOPEXも削減する
「社内に散在するデータベースを整理/統合し、運用管理が容易でスピーディに使える統合データベース基盤を作りたい」という企業に適したRDBMSが「Oracle Database 12c」だ。本企画では3回にわたり、同RDBMSを用いたプライベートクラウド構築のポイント、関連ツールを用いた実践ノウハウを紹介していく。[プライベートクラウド/データベース統合][運用管理効率化][パフォーマンス改善][Oracle Database 12c][Oracle Enterprise Manager]
- 心配は無用! バックアップ/リカバリ、パッチ管理、テストが今すぐ、ここまで楽になる
データベース統合基盤として「Oracle Exadata」に魅力を感じながらも、「これまでと運用管理手法が変わり、管理効率が低下するのではないか」と不安を感じている方がいるかもしれない。その心配は無用だ。システム管理ツール「Oracle Enterprise Manager」を使うことで、従来よりもはるかに効率的にデータベースの運用管理が行えるようになる。[データベース統合][Oracle Exadata][Oracle Enterprise Manager]
- もし56日かかったDB構築を3時間に短縮できたら? IT部門もユーザーもハッピーになるセルフサービス化
「Oracle Exadata」とシステム管理ツール「Oracle Enterprise Manager」「Oracle Database 12c」の組み合わせは、データベース統合環境の進化形である「DBaaS」の構築基盤として最適な能力を備えている。サーバー仮想化よりも効率的なデータベース仮想化を実現し、セルフサービス化によってユーザー部門の利便性を高めつつ、IT部門の運用管理負担を減らすことができるのだ。[プライベート・クラウド/データベース統合][運用管理効率化][Engineered System][Oracle Enterprise Manager]
- NTTドコモの6600万顧客のリアルタイムビリング基盤「MoBills」を支えるデータベース基盤とは
「Oracle Exadataで垂直統合型システムのイメージが変わった」──NTTドコモの基幹システムの1つ「MoBills」のインフラ刷新を推進したメンバーの1人はそう語る。約6600万顧客への課金/決済を担う同システムのデータベース基盤に、同社はなぜOracle Exadataを選んだのか?[プライベートクラウド/データベース統合][パフォーマンス改善][Engineered System][Oracle Enterprise Manager]
- 「過去に経験のない」規模の基幹業務DBアップグレード、住友重機械工業の選択
住友重機械工業は先ごろ、生産管理システムなどで利用する約30のOracle Databaseを11g R2にアップグレード。オラクルの支援ツール群を活用した標準化アプローチにより、検証コストの大幅削減と作業効率化を実現した。[運用管理効率化][Oracle Enterprise Manager][Data Integration]
- 日立金属が基幹データベースのプライベートクラウド基盤に課した妥協なき要件と、その選択
グローバル化推進に伴うIT提供スピードの向上、増大するデータ量への対応、高い性能/可用性/信頼性、そして容易な運用管理──日立金属は基幹データベース群のプライベートクラウド基盤の選定に当たり、これらの要件を適正なコストで満たすシステム基盤を子細に検討。選んだのはOracle Exadataであった。[プライベートクラウド/データベース統合][運用管理効率化][Engineered System][Oracle Enterprise Manager]
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.