「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ174の詳細と使い方」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。
今回は「トレースフラグ174」の詳細と使い方を解説します。
トレースフラグ174は、プランキャッシュ数の上限を増やす設定です。SQL Serverのプランキャッシュには、2つの上限が設定されています。数とサイズです。通常の64bit環境では、4万9個のプランキャッシュのバケットが存在します。プランキャッシュの上限はこの4倍の16万36個です。
環境によってはこの上限がボトルネックとなって、SOS_CACHESTOREのスピンロックを引き起こすことがあります。トレースフラグ174を有効にすることで、プランキャッシュのバケット数を16万1個に増やし、プランキャッシュを64万4個まで保持することが可能になります。
プランキャッシュ数増加に関する詳細は、マイクロソフトのサポート文書に記されています。
設定方法 | 可/不可 | 要/不要 |
---|---|---|
スタートアップ | ○ | ─ |
グローバルスコープ | × | ─ |
セッションスコープ | × | ─ |
クエリスコープ | × | ─ |
トレースフラグ3604、同3605 | − | 不要 |
現在の環境におけるプランキャッシュなどのバケット数を確認するには、次のクエリを実行します。
SELECT name, buckets_count FROM sys.dm_os_memory_cache_hash_tables WHERE name IN ('SQL Plans', 'Object Plans', 'Bound Trees', 'Temporary Tables & Table Variables')
実行結果は次のようになりました(図1、図2)。トレースフラグ174を設定すると、確かにバケット数が増えます。
トレースフラグ174を有効にすることで、SOS_CACHESTOREのスピンロックが多数発生している環境での問題が解消する可能性があります。実装する場合には、検証環境などでその他への影響を十分に確認してください。
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、2017年現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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