日本IBMがRed Hat買収後を説明、これまでと変わらないことと、変わること「Cloud Paks」と「IBM Cloud」を推進

日本IBMは2019年11月27日、Red Hat買収後の事業戦略と、同社が推進しているミドルウェア製品群の「IBM Cloud Paks」について説明した。同社の三澤智光氏によると、Red Hat買収後も事業戦略は基本的に変わらないという。

» 2019年11月28日 09時26分 公開
[三木泉@IT]

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 日本IBMは2019年11月27日、Red Hat買収後の事業戦略と、同社が推進しているミドルウェア製品群の「IBM Cloud Paks」について説明した。

 日本IBMの取締役専務執行役員事業開発担当兼ハイブリッド・クラウド・リードである三澤智光氏によると、Red Hat買収後も事業戦略は基本的には変わらないという。つまり、製品としては同社のミドルウェアとIBM Cloudを軸とし、企業顧客のITシステム構築および運用を支援していく。IBMはRed Hatにとって、パートナーの一社(でしかない)という位置付けだ。

 だが、Red Hat買収を機に変わったこともある。Cloud Paksは変わったこと、変わっていくことを象徴している。

 Cloud PaksはIBMのミドルウェア製品群を「Red Hat OpenShiftに最適化」したもの。同社は既存ミドルウェア製品群に強化を加えてコンテナ化し、用途あるいは機能に基づいて複数のパッケージにまとめた製品群として、約2年半前からCloud Paksを開発してきたという。つまり、元は汎用的なコンテナベースの製品として設計されていた。

 そして2019年8月、IBMはこれを、「OpenShiftに最適化した」製品群として発表した。仕組み的にはさまざまなコンテナ基盤で稼働することは考えられるが、Cloud PaksはOpenShift上でのみ、稼働が保証される。

 つまり、IBMは、同社の事業における武器ともいえるミドルウェア製品群を、その下のプラットフォームと共に、あたかも大きな仮想パッケージのようにして推進できる(顧客は利用するCloud Pakを取捨選択できる)。

 日本IBMは、現時点で6つのCloud Pakを提供している。今後も追加を予定していて、IBM Watsonの機能を提供するCloud Pakも近い将来に登場するという。

 IBM自身、自社のミドルウェアを共通のコンテナ基盤に載せることで、QoS管理やアップデートをはじめとした運用を(顧客のアプリケーションを含めて)統合化できるメリットがある。また、顧客にとってもデジタルトランスフォーメーション時代にふさわしい共通IT基盤としていくことができるとしている。

 三澤氏は、OpenShiftが、既存ITシステムのリフト・アンド・シフトに対応しながら、新しいアプリケーションの俊敏な開発と運用を支援できることと、主要パブリッククラウドなどに対応し、オンプレミスと複数クラウドの間で、柔軟なアプリケーション配置を実現できることを強調した。

 日本IBMは、Cloud Paksを活用し、顧客の既存・新規アプリケーションのOpenShiftへの移行を促していく。これにより、「OpenShiftを基盤として、顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援するITベンダー」としての役割を担おうとしている。

 では、IBM Cloudはどう絡んでくるのか。OpenShiftおよびCloud Paksがマルチクラウドで動くことを考えると、IBM Cloudの価値は発揮しにくいのではないか。

 日本IBMによると、IBM Cloudでは、Cloud Paksをワンクリックで使えるという。一方、他のIaaS(Infrastructure as a Service)では、まずOpenShiftを導入し、その上で使いたいCloud Paksをインストールするといった、複雑な手順を経なければならない。

 また、IBM Cloudでは、ITインフラからOpenShift、Cloud Paksを一気通貫でサポートできるメリットがある。さらに、顧客がオンプレミスとクラウドのハイブリッド構成を望む場合、アプリケーション連携やセキュリティなどで支援しやすい。

 日本IBMは今回、Cloud Paksのうち、2019年11月21日に発表した「IBM Cloud Pak for Security」を詳しく紹介した。

 これはセキュリティアナリストによるインシデントの調査とケースの共有を実現する製品。コンテナソフトウェアから、さまざまなセキュリティ製品のログに対して直接検索/クエリを直接実行し、結果を単一のダッシュボード上に表示する。

 Cloud Pak for Securityでは、オンプレミスや任意のクラウドなど、物理的に分散する拠点を対象に、統合的なセキュリティフォレンジックスが行える。膨大なセキュリティ関連データを1カ所に集めることなく、データの発生場所に留めたままオペレーションが実施できる点が特徴という。

 同製品におけるコンテナ対応のメリットは、どこでも稼働できる点にあるという。

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