ITの現場なのにリモートワークができないシステム運用現場/NOC。フルリモート化への解決策とは何かを考察する。
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2020年4月の緊急事態宣言発令以降、働き方に大きな変化が起きている。テレワーク(リモートワーク)、在宅勤務を導入し、感染予防に努めながら事業を進める企業も多いだろう。
一方で、諸事情により、リモートワークがかなわない業務も存在する。その一つがシステムの運用管理業務だ。特に、サーバ、ネットワークなどのICTシステムを監視、障害検知、障害対応を行うNOC(Network Operation Center)が挙げられる。
ITの現場であるにもかかわらず、なぜリモートワークを実現できないのか。現場が抱える課題とフルリモート化に向けた解決策を紹介する。
現在のNOC業務は出社することが前提だ。大きく3つの要因がある。
セキュリティ観点の懸念から、過去の積み重ねで成り立つ業務フローを変更できないことが主なリモートワークの障壁となっている。
コロナ禍で求められるのは、NOC業務をどんな場所からでも遂行でき、その内容がリアルタイムに共有され、環境の変化に合わせて、素早く柔軟に業務を変更できるような、いわば「バーチャルNOC」だ。
バーチャルNOC構築での基本は、オンプレミスで構築される現状の仕組みを、全てクラウドに移行することだ。昨今は各種クラウドサービスが充実しているため、それらを組み合わせてバーチャルNOCを構築していく。
まず運用管理状況の共有など共通基盤のシステムとしてIT Service Management(ITSM)システムを選択する。ITSMシステムに運用管理状況に必要な情報をまとめていくのだ。電話はクラウド型PBXに移行し、オフィスでしか対応できなかった電話を、場所を問わず架電、受電するようにする。現行の電話番号をそのまま移行できるクラウド型PBXもあるため、要望に合わせて各社のサービスを比較検討したい。
監視システムからのアラートをフィルタリング、集約するサービスで受け付け、ノード単位、システム単位、ネットワーク単位、データセンター単位など必要な単位で集約、メンテナンス情報と比較した静観などのフィルタリングを行い、対応が必要なものをITSMにチケット起票する。
サービスの正常性確認や障害対応はリモートアクセスの仕組みを利用し、セキュアに管理対象へリモート接続し対応する。対応した履歴は全て管理される仕組みを選択し、ITSMシステムと連動させる。サービスの正常性確認や障害対応で繰り返し同じ対応を行っている内容については自動化。アラートをフィルタリング、集約するサービスから自動で対応できるようにするとともに、対応履歴はITSMシステムと連動させる。
顧客とのやりとりも電話での対応が少なくなるように、自動でメールを返信したり、架電したりする仕組みを導入する。
そしてITSMシステムと連動したポータルを用意する。顧客はポータル上でシステムの稼働状況、障害対応状況などをリアルタイムで確認したり、報告書を確認したりできるようになるため、電話での対応よりも利便性が向上するだろう。
そもそもコロナ禍以前から、NOCやシステム運用の現場には多くの課題があった。
管理対象の増加によってシステム運用業務が右肩上がりで増えているにもかかわらず、多くの企業が人手不足で新しい人を雇えない。結果、一人当たりの作業負荷が大きくなり、それに耐えられず人が辞めてしまい、さらに人が足りなくなるという悪循環に陥ってしまうのだ。誰でも作業をスムーズに行えるよう業務を標準化できたらいいが、作業が属人化されているため「○○さんでないとやり方が分からない」といった事態が多い。ユーザー部門からは、「もっと柔軟に新しいシステムを受け入れてほしい」と言われても、そう簡単に課題を解決できないNOCやシステム運用の現場もきっと多いはずだ。
コロナ禍により、多くの企業が変わらざるを得ない状況に直面している。今はこれを前向きに捉え、これまで解決できなかった課題をクリアするチャンスだと思考転換してみてはいかがだろうか。
これまでリモートワークが難しかったNOCでは、バーチャルNOCの構築により、社員の出社ゼロを実現できるだろう。構築タイミングで、現状の業務を調査、分析できるため、これまで属人化されていた作業を洗い出し、「○○さんでないとやり方が分からない」を標準化することができる。
またバーチャルNOCの構築により、今まで人で対応していたアラートの確認、集約、フィルタリング、インシデント登録、メール、電話が自動化されるため、一人一人の作業負荷が減少する。繰り返しの作業が自動化されるため、同じ人数で管理できるシステム数が飛躍的に向上するはずだ。
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