データファイルの使用状況を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(23)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、データファイルの使用状況の出力について解説します。

» 2021年07月06日 05時00分 公開
[伊東敏章@IT]

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は「sys.dm_db_file_space_usage」の、データファイルの使用状況の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2008以降です。

概要

 SQL Serverでは、データベースのオブジェクトやユーザーデータはデータファイル(.ndf または .mdf)に記録されます。データの変更などのログ情報は、データファイルとは別に、トランザクションログファイルに記録されます。

 データファイルでは、「ページ」と呼ばれる8KBサイズの基本単位で、オブジェクトやユーザーデータへのストレージの割り当てを行います。ページは「エクステント」と呼ばれる8ページ(64KB)をまとめた領域単位で、オブジェクトやユーザーデータへの割り当てを管理されます。

 「sys.dm_db_file_space_usage」動的管理ビューを出力することで、データファイルのエクステントやページの使用、割り当て状況や用途について確認できます。

出力内容

列名 データ型 説明
database_id smallint データベースID
file_id smallint ファイルID
filegroup_id smallint ファイルグループID
total_page_count bigint ファイルのページの総数
allocated_extent_page_count bigint ファイルの割り当て済みエクステント内の総ページ数
unallocated_extent_page_count bigint ファイルの未割り当てエクステント内の総ページ数
version_store_reserved_page_count bigint バージョンストアに割り当てられる単一エクステント内の総ページ数
user_object_reserved_page_count bigint データベース内のユーザーオブジェクトに対して単一エクステントから割り当てられるページの総数
internal_object_reserved_page_count bigint ファイル内の内部オブジェクトに対して割り当てられる単一エクステント内の総ページ数
mixed_extent_page_count bigint ファイルに含まれる混合エクステント内の、割り当て済みページと未割り当てページの総数
modified_extent_page_count bigint 前回のデータベースの完全バックアップ以降、変更されたエクステント数
差分バックアップの量を追跡するために使用できる

動作例

 空のデータベースにテーブルを1つ作成します。データベースのデータファイルのサイズは200MBに構成し、テーブルは1行のデータの格納に1ページ(8KB)が使用されるように定義しました(図1)。

図1 図1 1行のサイズが8KB弱となるようにテーブルを作成した

 テーブルに1万行のデータを追加し、「sys.dm_db_file_space_usage」動的管理ビューを出力すると、接続先データベースのデータファイルの情報が出力されました(図2)。

図2 図2 テスト用のデータを追加して「sys.dm_db_file_space_usage」動的管理ビューを出力したところ

 「total_page_count」列の値が「25600」となっていることから、データファイルのサイズが200MB(8KB×25600ページ)であることが確認できます。

 「allocated_extent_page_count」列と「unallocated_extent_page_count」列の値からは、データファイルの割り当て済みと未割り当ての領域も確認できます。割り当て済みの領域が81.06MB(8KB×10376ページ)、未割り当ての領域が118.94MB(8 KB×15224ページ)となっていました。追加したデータは1万ページ分ですので、近いサイズの領域が割り当て済みとなりました。割り当て済みのサイズは「Disk Usage」標準レポートの「Space Used」のサイズと一致しました(図3)。

図3 図3 「Disk Usage」標準レポートからもファイルの使用状況を確認できる

 「tempdb」でも、「sys.dm_db_file_space_usage」動的管理ビューを出力してみます。「tempdb」で出力した場合には、ユーザーデータベースでは「null」となっていた「version_store_reserved_page_count」列、「user_object_reserved_page_count」列、「internal_object_reserved_page_count」列の値も表示されました(図4)。

図4 図4 「tempdb」で出力した場合には、全ての列の値が出力された

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 CTP2」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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