「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、動的管理関数におけるトランザクションログの概要情報の出力について解説します。
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本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理関数「sys.dm_db_log_stats」におけるトランザクションログの概要に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2016 SP2以降です。
以前に紹介した「sys.dm_db_log_info」は、仮想ログファイル(VLF)に関する情報を出力しました。「sys.dm_db_log_stats」はトランザクションログが再利用できない理由、トランザクションログバックアップを実行した直近の日時、トランザクションログの状態などの情報を出力します。
構文 sys.dm_db_log_stats (database_id)
引数名 | データ型 | 既定値 | 説明 |
---|---|---|---|
database_id | int | NULL | データベースIDの指定。次のいずれかの値を指定する database_id NULL DEFAULT NULLおよびDEFAULTは現在のデータベースのコンテキストと同じ値になる |
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
database_id | int | データベースID |
recovery_model | nvarchar(60) | データベースの復旧モデル。次のいずれかになる SIMPLE BULK_LOGGED FULL |
log_min_lsn | nvarchar(24) | トランザクションログの最初のログシーケンス番号(LSN) |
log_end_lsn | nvarchar(24) | トランザクションログの最後のLSN |
current_vlf_sequence_number | bigint | 現在のVLFのシーケンス番号 |
current_vlf_size_mb | float | 現在のVLFのサイズ |
total_vlf_count | bigint | VLFの合計数 |
total_log_size_mb | float | VLFの合計サイズ |
active_vlf_count | bigint | アクティブなVLFの合計数 |
active_log_size_mb | float | アクティブなVLFの合計サイズ |
log_truncation_holdup_reason | nvarchar(60) | ログが切り捨てられない理由。次のいずれかになる NOTHING CHECKPOINT LOG_BACKUP ACTIVE_BACKUP_OR_RESTORE ACTIVE_TRANSACTION DATABASE_MIRRORING REPLICATION DATABASE_SNAPSHOT_CREATION LOG_SCAN AVAILABILITY_REPLICA OLDEST_PAGE XTP_CHECKPOINT OTHER TRANSIENT |
log_backup_time | datetime | 前回のトランザクションログのバックアップ時刻 |
log_backup_lsn | nvarchar(24) | 前回のトランザクションログのバックアップのLSN |
log_since_last_log_backup_mb | float | 前回のトランザクションログのバックアップ以降に使用されたサイズ |
log_checkpoint_lsn | nvarchar(24) | 前回のチェックポイントのLSN |
log_since_last_checkpoint_mb | float | 前回のチェックポイント以降に使用されたサイズ |
log_recovery_lsn | nvarchar(24) | 復旧したLSN |
log_recovery_size_mb | float | 復旧以降に使用されたサイズ |
recovery_vlf_count | bigint | 復旧以降に使用されたVLFの数 |
log_state | nvarchar(60) | トランザクションログの状態 |
「sys.dm_db_log_stats」を実行すると、VLFやトランザクションログに関するさまざまな情報が出力されます(図1)。
「total_log_size_mb」列に近い値が「active_log_size_mb」列に表示されていたため、log_truncation_holdup_reason列を確認したところ「ACTIVE_TRANSACTION」と表示されていました。アクティブトランザクションによりトランザクションログを再利用できていなかったため、対象のトランザクションを終了させると、「log_truncation_holdup_reason」列が「OLDEST_PAGE」など別の理由に変化し、「active_log_size_mb」列の値が低下しました(図2)。
トランザクションログを再利用したりファイル拡張したりすることができずにトランザクションログが枯渇すると、「log_state」列が「LOG_NORMAL」から「LOG_ONLY_CLR_AND_CRITICAL」に変化しましたが、この列に関する情報は公開されていませんでした(図3)。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 CTP2」をインストールした環境を想定して解説しています。
日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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