トランザクションログの概要に関する情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(27)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、動的管理関数におけるトランザクションログの概要情報の出力について解説します。

» 2021年07月20日 05時00分 公開
[椎名武史@IT]

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理関数「sys.dm_db_log_stats」におけるトランザクションログの概要に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2016 SP2以降です。

概要

 以前に紹介した「sys.dm_db_log_info」は、仮想ログファイル(VLF)に関する情報を出力しました。「sys.dm_db_log_stats」はトランザクションログが再利用できない理由、トランザクションログバックアップを実行した直近の日時、トランザクションログの状態などの情報を出力します。

構文と引数

構文 sys.dm_db_log_stats (database_id)

引数名 データ型 既定値 説明
database_id int NULL データベースIDの指定。次のいずれかの値を指定する
 database_id
 NULL
 DEFAULT

NULLおよびDEFAULTは現在のデータベースのコンテキストと同じ値になる

出力内容

列名 データ型 説明
database_id int データベースID
recovery_model nvarchar(60) データベースの復旧モデル。次のいずれかになる
 SIMPLE
 BULK_LOGGED
 FULL
log_min_lsn nvarchar(24) トランザクションログの最初のログシーケンス番号(LSN)
log_end_lsn nvarchar(24) トランザクションログの最後のLSN
current_vlf_sequence_number bigint 現在のVLFのシーケンス番号
current_vlf_size_mb float 現在のVLFのサイズ
total_vlf_count bigint VLFの合計数
total_log_size_mb float VLFの合計サイズ
active_vlf_count bigint アクティブなVLFの合計数
active_log_size_mb float アクティブなVLFの合計サイズ
log_truncation_holdup_reason nvarchar(60) ログが切り捨てられない理由。次のいずれかになる
 NOTHING
 CHECKPOINT
 LOG_BACKUP
 ACTIVE_BACKUP_OR_RESTORE
 ACTIVE_TRANSACTION
 DATABASE_MIRRORING
 REPLICATION
 DATABASE_SNAPSHOT_CREATION
 LOG_SCAN
 AVAILABILITY_REPLICA
 OLDEST_PAGE
 XTP_CHECKPOINT
 OTHER TRANSIENT
log_backup_time datetime 前回のトランザクションログのバックアップ時刻
log_backup_lsn nvarchar(24) 前回のトランザクションログのバックアップのLSN
log_since_last_log_backup_mb float 前回のトランザクションログのバックアップ以降に使用されたサイズ
log_checkpoint_lsn nvarchar(24) 前回のチェックポイントのLSN
log_since_last_checkpoint_mb float 前回のチェックポイント以降に使用されたサイズ
log_recovery_lsn nvarchar(24) 復旧したLSN
log_recovery_size_mb float 復旧以降に使用されたサイズ
recovery_vlf_count bigint 復旧以降に使用されたVLFの数
log_state nvarchar(60) トランザクションログの状態

動作例

 「sys.dm_db_log_stats」を実行すると、VLFやトランザクションログに関するさまざまな情報が出力されます(図1)。

図1 図1 「log_truncation_holdup_reason」列は「ACTIVE_TRANSACTION」と表示され、「log_state」列には「LOG_NORMAL」と表示された

 「total_log_size_mb」列に近い値が「active_log_size_mb」列に表示されていたため、log_truncation_holdup_reason列を確認したところ「ACTIVE_TRANSACTION」と表示されていました。アクティブトランザクションによりトランザクションログを再利用できていなかったため、対象のトランザクションを終了させると、「log_truncation_holdup_reason」列が「OLDEST_PAGE」など別の理由に変化し、「active_log_size_mb」列の値が低下しました(図2)。

図2 図2 「log_truncation_loldup_reason」列が「OLDEST_PAGE」に変化した

 トランザクションログを再利用したりファイル拡張したりすることができずにトランザクションログが枯渇すると、「log_state」列が「LOG_NORMAL」から「LOG_ONLY_CLR_AND_CRITICAL」に変化しましたが、この列に関する情報は公開されていませんでした(図3)。

図3 図3 「log_state」列が「LOG_ONLY_CLR_AND_CRITICAL」に変化した

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 CTP2」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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