ローコード開発のOutSystemsが、マイクロサービス化した次世代版「Project Neo」を発表「面倒なくスタートアップ企業と同じようなアプリが作れる」

OutSystemsが、同社のローコード開発プラットフォームで、コンテナとクラウドを活用する次世代版、「Project Neo」を発表した。マイクロサービス化しており、スタートアップ企業と同じようなアプリケーションサービスの開発と運用が、一般企業でも煩雑な作業なしにできるとしている。

» 2021年11月19日 08時45分 公開
[三木泉@IT]

 OutSystemsは2021年11月17日(日本時間)、同社のローコード開発プラットフォームで、コンテナとクラウドを活用する次世代版を発表した。「Project Neo」という開発コード名で呼んでいるが、既にパブリックプレビュー版をリリースした。正式な提供開始は2022年を予定している。

 OutSystemsは、大規模で複雑なアプリケーション/システムを高速に開発し、CI/CDサイクルを回していくことを目的としたローコード開発プラットフォーム。画面設計やビジネスロジック、データソースとの連携など、ほとんどの開発作業をビジュアルに行えるようにしているが、複雑なアプリケーションの開発には、プログラミングに関する素養が求められる。

 同プラットフォームは現在、B to Cのモバイルアプリ、Lotus Notesの代替、生産/販売管理、B to Bの購買システム、航空会社の運行管理システムなどの開発に使われている。日本郵船がフィリピンに設立したフィンテック企業MarCoPayは、電子決済、国際送金などの機能を持った船員向けのモバイルアプリを、OutSystemsで開発しているという。

 次世代版プラットフォームProject Neoは、マイクロサービスアーキテクチャに移行する。

 Project Neoを使えば、一般企業でも、開発周りやインフラ周りの面倒な問題を意識することなく、スタートアップと同じようなアプリケーションの開発と運用ができると、CTO(最高技術責任者)のパトリック・ジーン氏は同社イベントで訴えた。

プラットフォームとランタイムを分離し、マイクロサービス化

 Project NeoはAmazon Web services(AWS)で稼働し、サービスとして提供される。既存のOutSystemsはWindows Server仮想マシン上で動くが、次世代版ではLinuxコンテナ、Kubernetes(Amazon EKS)へ移行する。

 開発プラットフォームとランタイムは分離し、マイクロサービス化。プラットフォームサービスはサービスごとに分割される。

プラットフォームとアプリケーションはどちらもマイクロサービスとして動く

 アプリケーションはきめ細かくスケーリングする。プラットフォーム側も同様だ。例えば特定の日時に、多数の開発者が集中的に作業を行った場合でも、自動的に負荷が分散される。開発プラットフォームとアプリケーションは別個にスケーリングするため、アプリケーション稼働への影響もない。

 マイクロサービス化により、アプリケーションのコンパイルにかかる時間は、従来に比べて大幅に短縮される。アプリケーションの修正も、関係するコンテナを再投入するだけなので、リコンパイルによる時間の無駄が防げるという。

 OutSystemsが行うプラットフォームサービスのアップデートにも、マイクロサービス化は生きる。 ダウンタイムなしでローリングアップデートが可能。

 なお、Project Neoのアップデートはリングベースで行うという。ユーザー組織は、常に最新のソフトウェアを使いたいか、慎重に行きたいかによって、アップデート適用の相対的な時期を選べる。

 OutSystemsは現行製品をやめるわけではない。並行して投資を続けるとしている。Project Neoの仕組みはAWSに大きく依存しているため、例えばオンプレミスで動かしたいアプリケーションについては現行製品を選ぶことが考えられる。

AWSの活用で拡張性やセキュリティを向上

 ジーン氏は、Project Neoが持つ他の特徴として次を挙げた。

  • データベースは Oracle DatabaseあるいはSQL Serverを使ってきたが、Project NeoではAmazon Aurora PostgreSQLを採用。ダウンタイムなしで自動的に、実質上無制限のスケーリングができる。
  • これまでは、あらゆるデータをリレーショナルデータベースに格納してきた。Project Neoではデータの種類に応じ、Amazon S3やAmazon DocumentDBなどのストレージを活用できる。
  • セキュリティでは、コンテナスキャニングやAWS WAFを自動的に適用する。認証は開発者、エンドユーザーに対して統一的な適用ができる。OAuth2に対応しているため、デフォルトの認証以外にも選択できる。
  • AWSのグローバルなルーティングが使える。1アベイラビリティゾーンから、マルチリージョンを使ったアプリケーションまで構築・運用ができる。
  • CDNを活用すれば、世界規模のアプリケーションであっても、エッジにおけるセキュリティとパフォーマンスの向上が図れる。
  • テレメトリでは、Open Telemetry標準に準拠した監視機能が使える。

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