フルテキストクロールに割り当てられたメモリバッファーの一覧を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(100)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、フルテキストクロールに割り当てられたメモリバッファーの一覧を出力する方法について解説します。

» 2022年04月11日 05時00分 公開
[伊東敏章@IT]

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_fts_memory_buffers」における、フルテキストクロールに割り当てられたメモリバッファーの一覧を出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。

概要

 SQL Serverではフルテキスト検索の機能を使用して、英語や日本語などの特定の言語の規則に基づいた言語検索を実行できます。フルテキスト関数を使用して大量のテキストデータを対象としたテキスト検索をする場合、全文検索をするLIKE句と比較して高速に実行できます。フルテキスト検索では、フォーマットされたバイナリデータ(Microsoft Wordドキュメントなど)を対象とすることもできます。

 フルテキスト検索を使用するには、SQL Serverインスタンスに「検索のためのフルテキスト抽出とセマンティック抽出」機能を追加する必要があります。また、データベースにフルテキストカタログを作成し、対象のテーブルに対してフルテキストインデックスを作成する必要があります。

 フルテキスト検索では、SQL Serverプロセス(sqlservr.exe)以外に、フィルターデーモンホストプロセス(fdhost.exe)が使用されます。フィルターデーモンホストプロセスは、SQLフルテキストフィルターデーモンランチャー(SQL Full-text Filter Daemon Launcher)サービスによって起動され、SQL Serverのフルテキスト検索でドキュメントからテキストを抽出するフィルター処理やテキストの単語区切り処理をします。

 「sys.dm_fts_memory_buffers」動的管理ビューでは、SQL Serverプロセスとフィルターデーモンホストプロセスとの共有メモリバッファーの一覧情報を出力できます。

出力内容

列名 データ型 説明
pool_id int 割り当てられたメモリプールのID
 「0」=Small buffers
 「1」=Large buffers
memory_address varbinary(8) 割り当てられた共有メモリバッファーのアドレス
name nvarchar(4000) この割り当てが行われた共有メモリバッファーの名前
is_free bit メモリバッファーの現在の状態
 「0」=空き
 「1」=ビジー状態
row_count int バッファーが現在処理している行の数
※今後のリリースで削除予定
bytes_used int バッファーで使用されているメモリサイズ(バイト単位)
percent_used int 割り当てられたメモリの使用率

動作例

 テスト用のテーブルを作成し、フルテキストインデックスを追加します(図1)。

図1 図1 フルテキストインデックスを作成したところ

 まずは、フルテキストカタログが構築中ではない状態で「sys.dm_fts_memory_buffers」動的管理ビューを出力してみます。結果は表示されませんでした(図2)。

図2 図2 クロールが実施されていない場合には結果は表示されなかった

 次に、データを追加してフルテキストカタログの再構築の実行中に「sys.dm_fts_memory_buffers」動的管理ビューを出力します。クロールに使用される共有メモリバッファーの情報が、出力されるようになりました(図3)。

図3 図3 クロール中は共有メモリバッファーが使用されていることが分かる

 また、併せて「sys.dm_fts_memory_pools」動的管理ビューを出力すると、共有メモリバッファーが割り当てられたメモリプールに関するサマリー情報を出力できます。

図4 図4 「sys.dm_fts_memory_pools」動的管理ビューにより共有メモリプールが確認できる

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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