「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、リソースガバナーワークロードグループの統計と構成情報を出力する方法について解説します。
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本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_resource_governor_workload_groups」における、リソースガバナーワークロードグループの統計と構成情報を出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)、「Azure SQL Database」「Azure SQL Managed Instance」「Azure Synapse Analytics」「Analytics Platform System」(PDW)です。
SQL Serverでは、リソースガバナーの機能を使用してワークロードが使用するシステムリソースの消費を管理できます。
リソースガバナーでは、アプリケーションからの要求をワークロードグループに割り当てることで、使用できるCPU時間やメモリ量に対して制限を設定したり、ワークロードグループが属するリソースプールに使用できるCPU時間やメモリ量の割合、I/O要求のスループットの制限を設定したりすることができます。
「sys.dm_resource_governor_workload_groups」動的管理ビューを使用することで、リソースガバナーのワークロードグループの統計とメモリ構成情報を出力することが可能です。
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
group_id | int | ワークロードグループのID |
name | sysname | ワークロードグループの名前 |
pool_id | int | リソースプールのID |
external_pool_id | int | 外部リソースプールのID ※SQL Server 2016以降のみ |
statistics_start_time | datetime | ワークロードグループの統計コレクションがリセットされた時刻 |
total_request_count | bigint | ワークロードグループ内の完了した要求の累積数 |
total_queued_request_count | bigint | GROUP_MAX_REQUESTSの制限に達した後にキューに登録された要求の累積数 |
active_request_count | int | 現在の要求数 |
queued_request_count | int | 現在キューに置かれている要求の数 |
total_cpu_limit_violation_count | bigint | CPUの制限を超えている要求の累積数 |
total_cpu_usage_ms | bigint | このワークロードグループによる累積CPU使用量(ミリ秒単位) |
max_request_cpu_time_ms | bigint | 1つの要求に対する最大CPU使用量(ミリ秒単位) ※構成可能な設定である「request_max_cpu_time_sec」とは異なる測定値 |
blocked_task_count | int | 現在ブロックされているタスクの数 |
total_lock_wait_count | bigint | 発生したロック待機の累積数 |
total_lock_wait_time_ms | bigint | ロックが保持される累積合計(ミリ秒単位) |
total_query_optimization_count | bigint | このワークロードグループ内のクエリ最適化の累積数 |
total_suboptimal_plan_generation_count | bigint | メモリ不足のため、このワークロードグループで発生した、最適化されていないプランの世代の累積数 |
total_reduced_memgrant_count | bigint | クエリの最大サイズ制限に達したメモリ許可の累積数 |
max_request_grant_memory_kb | bigint | 統計のリセット以降、1つの要求に対する最大メモリ許可サイズ(KB単位) |
active_parallel_thread_count | bigint | 並列スレッド使用の現在の数 |
importance | sysname | このワークロードグループ内の要求の相対的な重要度の現在の構成値 Low、Medium(規定値)、Highのいずれか |
request_max_memory_grant_percent | int | 1つの要求に対する最大メモリ許可の現在の設定(パーセンテージ) |
request_max_cpu_time_sec | int | 1つの要求に対する最大CPU使用制限の現在の設定(秒単位) |
request_memory_grant_timeout_sec | int | 1つの要求に対するメモリ許可のタイムアウトの現在の設定(秒単位) |
group_max_requests | int | 同時要求の最大数の現在の設定 |
max_dop | int | ワークロードグループの並列処理の最大限度の設定 既定値は「0」で、グローバル設定が使用される |
effective_max_dop | int | ワークロードグループの並列処理の有効な最大限度 ※SQL Server 2012以降のみ |
total_cpu_usage_preemptive_ms | bigint | ワークロードグループのプリエンプティブモードのスケジュール設定で使用された合計CPU時間(ミリ秒単位) SQL Server外部のコード(拡張ストアドプロシージャや分散クエリなど)を実行する場合、ワーカーはプリエンプティブモードに切り替えられる ※SQL Server 2016以降のみ |
request_max_memory_grant_percent_numeric | float | 1つの要求に対する最大メモリ許可の現在の設定(パーセンテージ) ※SQL Server 2019以降のみ |
pdw_node_id | int | このディストリビューションが配置されているノードの識別子 ※Azure Synapse Analytics、Parallel Data Warehouseのみ |
リソースガバナーは既定の構成では無効のため、リソースガバナーを有効化する前に「sys.dm_resource_governor_workload_groups」動的管理ビューを出力してみます。「internal」と「default」の、2つのワークロードグループの情報が出力されました(図1)。
次に、リソースプールを2つとワークロードグループを3つ作成し、リソースガバナーを有効化して「sys.dm_resource_governor_workload_groups」動的管理ビューを出力しました。有効化前に出力されていた「internal」と「default」以外に作成した3つのワークロードグループの情報が出力されました(図2、図3)。
出力内容から、追加した3つのワークロードグループのリソースプールIDや構成内容などを確認できます。
次に、追加したワークロードグループで処理されるクエリを幾つか実行した後に、もう一度「sys.dm_resource_governor_workload_groups」動的管理ビューを出力しました。「Total_cpu_usage_ms」列など、幾つかのカウント値が増加したことを確認できました(図4)。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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